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【 NFT/XR CREATOR INTERVIEW 】#005 Multimedia Artist Teruki Okamotoさん

CREPOSは、VRやARなどのXR制作を応援する「CREPOS XRサポートプログラム」と、NFT制作を応援する「CREPOS NFT支援プログラム」を運営しています。
このコーナーでは、各プログラムに参加するクリエイターさんやXR/NFT界隈で活躍するクリエイターさんに直接インタビューを行い、どのようにクリエイター活動を始めたか、そしてNFTやXRの魅力について探っていきます。


#005は、Multimedia Artist の Teruki Okamotoさんにお話しを伺いました。
XRの制作を始めるキッカケを伺って予想外の回答で驚いたのと同時に、「なるほど~!!」と一層ワクワクっ♪
読み応えたっぷりのインタビューとなっております!

【PROFILE】
クリエイター名:Teruki Okamoto
Twitterアカウント:@terukiokamoto

大阪府生まれ/ふたご座
Multimedia Artist
幼少より続けているジャグリングの経験から、「人、もの、世界に関わる運動エネルギーの動き」に注目。「様々なエネルギーの動きの中に身体が確かに存在している」という感覚=リアリティを主なテーマに、パフォーマンスと映像を組み合わせた作品を制作している。

■尊敬するクリエイター
たくさんいます、梅田宏明さん、Nibroll(ダンサー、ダンスカンパニー)Jay Gilligan、Wes Peden(ジャグラー)比嘉了さん(メディアアーティスト)Christian Boltanski、梅田哲也さん、久門剛さん、高谷史郎さん(インスタレーション、パフォーマンスアーティスト)

■普段よく使用しているツールやソフト
TouchDesignerを一番使用していると思います。パフォーマンスと合わせた映像を作るときに一番調整がしやすく助かっています。
XR作品を作成するときはUnityとblenderです。これらはどちらも去年から真剣に触り始めたのでまだ大したことはできませんが・・・。せっかくなので、XRだけでなくパフォーマンスでも使えるようUnityのVFXGraphを勉強中です。
曲を作るのにAbleton LiveとMax、資料や動画を作ることも多いのでAdobeのソフトはほとんど毎日触っています。

■CREPOSポートフォリオ
https://crepos.jp/portfolio/terukiokamoto

Q1.現在のクリエイター活動について教えてください。

もともとはジャグリングをやっていたのですが、公演をやるにあたってパフォーマンスと組み合わせるなら同じく時間軸を持つ映像だ、と思い映像制作を始めました。

その後しばらくしてコロナ禍になり、配信しかできない期間が2年ほどありました。その時に面白く見せるためにプログラミングと組み合わせるようになり、プログラミングができるようになってくると、以前から意識していたXRもできるんじゃないかと感じて挑戦しました。映像がうまくなってくるとやっぱり映像として質の高いものが作りたいと思うようになり、最近はパフォーマンスをベースとしたショートフィルムも作っています。

なので今は、マルチメディアパフォーマンス(映像とパフォーマンスの組み合わせ)と、パフォーマンスシネマ(パフォーマンスを基にした映像作品)、VR作品、3つのラインナップを、意識的にはどれに偏るでもなく並行して作っています。

Q2.制作している作品のコンセプトやテーマがあれば教えてください。

リアリティ、というものに非常に興味があります。
僕が言うリアリティというのは、「身体が、世界やものや様々なエネルギーとつながっているという感覚、そこから得られる圧倒的な「身体が在る」という感覚」ということで、デジタルかそうでないかというのは関係のない感覚です。むしろデジタルでもこのリアリティを感じることができると思っていて、テクノロジーの発展した現代で、テクノロジーと身体をどう調和させていくのか、「新しいリアリティの感じ方」を考えるのはとても重要なことだと思っています。
パフォーマンスでも、VRでも、そういった感覚を感じてもらえる、もしくはそういった感覚に関して議論を始めるきっかけにしてもらえる作品にしたいと考えて制作しています。

Q3.クリエイターとしての信念や大切にしていることがあれば教えてください。

テーマと手段、制作するビジュアルが論理的につながっていることです。

作品のテーマは投げかけて議論を始めるためのものだと思うので、テーマ自体が論理的である必要はありません。ただ、そのテーマを受け取ってもらえるかどうかは、その問いかけ方が論理的でなければならないと思っています。

例えば、僕の制作のテーマは「現代において薄くなりつつある、『身体が確かにこの世界に存在している感覚』=リアリティ」です。ジャグリングは「身体(主体)」と「もの(客体)」を扱う技術なので、「身体が世界とつながっているという感覚」を模索するのに適した手法だと感じますし、そこにメディアアート的な演出を付与するのは、「現代においてのリアリティ」を考えた時に、映像技術と身体が調和したものが新しいリアリティになるはずだと考えているからです。

「その技術を採用する意味」と問うと、自分がその技術に詳しいからとか、その技術自体以外の要素が入り込んできてしまいます。それは僕はとてもピュアではないように感じていて、「その技術の性質は何なのか」「それが自分のどの性質とあっているのか」「それが自分のテーマのどの部分と合致するのか」「そのビジュアルはテーマに対してどういう意味があるのか」と、あくまで手段、自分、テーマそれぞれの「性質」を深く考えてやっとオリジナリティと必然性のある形に辿り着けるのではないかと思っています。まだまだ僕も徹底しきれておらず悔しい思いを抱えている部分も多いのですが。

Q4.クリエイター活動を本格的に始めたきっかけはなんですか?。

2016年にジャグリングと映像の単独公演を行って、それをポートフォリオに会社を辞めて、パフォーマンスも研究できる筑波大学総合造形領域の修士課程に出戻ったことです。
それが27歳の年だったので人よりだいぶ遅いスタートだったと思います。
そこからは毎年必ず1作以上の新作を作って、自主公演・芸術祭への出展・海外のフリンジへの出展など何かしらの形で発表をしています。

Q5.初めて本格的にクリエイター活動をした時の作品はどのようなものですか?

思い出すのも恥ずかしいのですが、、画像のような作品です。ディスプレイを4つ浮かして、そこに映像を投影し、その映像を背景にパフォーマンスをするというものでした。断片的に見たことがありそうな映像を使用することで、鑑賞していただいた方々の中でそれぞれ補完が起こり、さらにそれを背景に遊んでいる僕の身体があることで、何となく「懐かしい」風景を作ることができるんじゃないかなと考えて制作しました。

Q6.XRに興味を持ったキッカケやエピソードを教えてください。

映像をやってる人間として、平面の次にXRという形式があるのは当たり前に意識はしていました。ですが一般的になるのはまだまだ先だと感じており、また、「なんかすごく難しそうだしまだいいかな…」と思っていました。
作品を作りたいと思ったのは、友人宅でやくしまるえつこさんの「アンノウン・ワールドマップ」のMVをMetaQuestで見たときです。ワールドがバシバシ揺れながら切り替わる揺れ感と、パーティクルが本当に体の周りを飛び回っているような浮遊感に、「これで身体を扱った作品が作れたら絶対面白いな」と思いました。

現実と組み合わせる「半分リアル」な表現がやっぱりXRの第一の面白さだと思いますし、スマホ画面内で起こるARも面白いとは思うのですが、ちょっと自分のやりたい表現からは遠かったのだと思います。(今は視点も能力も上がって、そういう形と自分の方向性をすり合わせたものを作ってみたいと思っています!)

個人的に粒とか線とかアブストラクトな表現の方が好きなのと、主領域がパフォーマンスなので、ちゃんとHMDで見た時の「総合的な身体感覚っぽいところ」がとても刺さったのだと思います。そこで初めて「作品を作ってみたい」と感じ、その翌年のNEWVIEW SCHOOLに挑戦させていただきました。

Q7.NEWVIEW AWARDの作品についてコンセプトと工夫した点は?

コンセプトにしたのは自分の他の作品と同じく「リアリティ」です。

僕は他のXRクリエイターの皆さまよりかなり批判的にXRの可能性を見ていると思います。そのため、意地悪な言い方ですが、XRには現在「技術的に未開拓だからこそ許されている表現」というのがかなりあるなと感じています。ただ、それらはそのままこれからのリアリティになっていくと思ったんです。
そこをいじるというか、ちょっとおちょくるようなことをしたら実際の現実の方の見え方も揺さぶれるのではないかなと思っていました。

映画館やパーティクルといった要素はなんとなく断片的に使いたいなと思っていました。それがある日突然「現実と非現実の境(=映画館)が、『未来の現実』(=VR空間)の中で崩れていって、現実と非現実の最小単位(=分子やピクセル、パーティクルで表現したもの)に溶けていく、そして最後はゴーグルを外して『現在の現実』に戻る、というのは、『現在の現実の認識をちょっと不安にできる』総合的な体験になっているのでは?」といきなりバシッとつながりました。

NEWVIEW SCHOOLがXR制作初経験でしたが、絶対にいい作品を作りたかったので、自分の得意な「動画」や「脚本」という領域になんとか持っていこうと思っていました。なので、最も工夫した点はその僕の武器を活かせる映画館というモチーフを選んだことかもしれません。笑

Q8.クリエイター活動を通して、自己実現できたことや問題解決できたこと、達成できたことはありますか?

自己実現というと「自分が本当に実現したいということを目指すことが社会への貢献にもつながっている」ということだと思うのですが、僕が自分の実現したいことのビジョンを明確につかむことができたのは割と最近になってからでした。作品コンセプトのご質問で答えさせていただいた「現代で薄まりつつあるリアリティを追求する」ことです。
それからは、個別にこれだとは言えないのですが、「世界を見る視点が変わった!」といったようなとてもありがたいご感想をいただくことは増えてきました。ビジョンがはっきりすることでビジュアルも洗練されてきたからだと思います。

アーティストとしては視点の多様性を増やすこと(その視点を持ってもらうという意味ではなく、「そういう視点もあるんだ」ということを知ってもらうだけでよい)こそが目指すべき社会貢献だと考えています。
なので、上記のような感想をいただけるということは何かしら人間にとって重大な感覚を提示できている、小さいながらも自己実現ができているということなのかなと思っています。

Q9.活動の中で苦しかったこと、挫折などはありますか?

そんなことばかりです、笑

いい作品を見ると挫折することが多いです、自分はなんて未熟なんだろうと思って・・・。ただ、逃げずに何度も見て分析していくと、結局は自分が無意識的に怠けていた部分の積み重ねがその差になっているんだとわかってきます。

それでまた大きく挫折することになるのですが、これはむしろ視点のレベルが一段上がる前向きな挫折だと思っています。ただ挫折する、で終わらせないように何度も見返して考えるようにしています。単純にすごい作品を見るのは、へこみますけどやっぱり好きなので。

Q10.クリエイター活動を通して、生活が変化したことなどはありましたか?

制作のお仕事を受けるようになったことと、大学院に在籍していることで大分変わったんじゃないかなと思います。

大学は文系で卒業後は企画職だったので、制作を仕事にしていたわけではありませんでした。
ですが最近は、作品の上演、映像制作、オンライン配信や制作案件のディレクション・進行管理のお仕事をいただいたり、制作で身に着けた能力を使う機会を多くいただいています。
記事を読まれる方はクリエイターの方が多いかと思うのでもしかしたら当然すぎることなのかもしれませんが、、「ものを作ってそれに対価をもらう」というのはやっぱりすごいことだと思います。

制作と同じくらい、思想を深めることも重要だと感じていて、そちらを深めるために2017年には修士課程に、この4月から博士課程に戻ってきました。制作系のお仕事も、研究者としての活動も、企画系のお仕事をしていたころとは全く違う動き方になっています。具体的には、元々あまりよくなかった生活リズムが完全に崩壊しました。笑

Q11.これからやってみたいことはありますか?

映像やパフォーマンスなどの新作はいつでも作りたいと思っていますが、「新しい形式」として挑戦したいなと思っているのは以下です。

◆VR・ARのパフォーマンス作品
自分がテーマにしている「リアリティ」を考えた時に挑戦すべきところだろうと思いました。大変そうと思っていた技術面も、勉強を重ねていく中で楽しめそうだと感じられてきています。 VRは身体情報をもっていくのが難しく苦戦しています。。ARはまだどういうものになるかは明確に見えてはいませんが・・・ここはゆっくりやっていきたいです。

◆NFT
一度試しに作ってみたことがありますが、よくわかってなくてとりあえずどうやるかは理解した、、という状態です。今は勢いが落ち着きましたが、だからこそ「株式のような応援チケットとして」や「仲間や思想の共有者を作る」といった側面がしっかり理解されて普及することを期待しており、そういったプロジェクトをやってみたいです。

PRがあればどうぞ!

今現在、具体的に告知できることはありませんが、おそらく今年も12月に公演を行います。
他にも映像での出展は様々行っております。告知はSNSで行っていますのでフォローいただけますと幸いです!
Twitter : https://twitter.com/terukiokamoto
Instagram : https://www.instagram.com/terukiokamoto/

過去やった作品はWebページに載せておりますので、ぜひご覧ください。


今回はMultimedia Artist の Teruki Okamotoさんにお話を伺いました。

自分のスキなことから派生して、その表現を拡張するために、挫折をも次の糧にしてとっても研究熱心なTeruki Okamotoさんが生み出す、半分リアルで繰り広げられる浮遊感のあるジャグリングの世界…!体感してみたいですね♪

今後もこちらのコーナーでは、NFTやXR作品を手掛けるクリエイターさんをインタビューしていきますので、次回もお楽しみに。

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