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教えて!ファシリテーターvol.5「企画会議の進め方編」

会議の進め方に困っている教えて!さん。たたき台を用意して企画は練った。さてどうしよう?

はじめに

この連載ではファシリテーターとして、企業や行政の会議や議論の場をまとめ成果に結びつけてきた渋谷健さんに、会議初心者でも取り入れやすい「ファシリテーション」のテクニックや、「会議における疑問・質問」をお聞きする「初心者向けファシリテーション」をお届けしています。


会議を4象限で分解する


初回からの3回では、実際に会議を進行する上での「困りごと」である「沈黙平行線終わらないを取り上げて、それぞれ対応策をお届けしてきました。ただ、会議の種類によって対応策も変わってきますよね。

そこで、会議を2つの軸で分けて、4種類に大別して考えてみることにしました。ここでは「動的・静的」と「攻め・守り」の2軸で整理しています。具体的には、企画会議、定例会、勉強会、トラブル会議の4種類(4象限)を取り上げます。これらの会議はそれぞれ特徴が異なり、適切な進め方も変わってきますので、一つ一つ見ていきましょう。

今回は、これらの会議の一つである「企画会議(動的・攻め)」のについてその2をお届けします。

会議の4象限

会議の進め方解説


教えて!さん:渋谷さん、企画会議を活気あるものにするために、具体的な進め方についてもう少し詳しく教えていただけますか?

渋谷さん:はい、まず会議の始まりを大切にしましょう。会議開始前に、参加者全員と軽く話して、緊張を解きほぐすといいですよ。特に初めて参加する方がいる場合は、皆でお互いを紹介し合って、打ち解けた雰囲気を作り出せるといいスタートが切れます

教えて!さん:会議が始まったら、どのように進行するのがいいんでしょうか。

渋谷さん:会議は予定時間に正確に始めることが大事ですね。遅刻者がいても待たずに始めましょう。まずは主旨やアジェンダ、目的を簡単に説明し、チェックインタイムを設けます。参加者全員に自己紹介と今の気分、会議への期待を簡潔に話してもらいます。これには各人30秒程度を目安にし、全員が終わるまで約5~10分を見込みます。結局1分くらいかかるので、人数×1分と思っておくといいでしょう。
そのうちに遅刻した人が現れるので(笑)、議事が始まる頃には全員そろっているはずですし、場も温まりますよ。

教えて!さん:遅刻してくる人をあらかじめ見込んで(笑)始める、と。勉強になります!では、その後の議論はどのように進めるのが良いでしょうか?

渋谷さん:議論に入る前に、改めて企画の主旨や問題点、ゴール、そしてたたき台について10~15分ほどかけて詳細に説明しましょう。その後、参加者から一言ずつ感想をもらい、それらをホワイトボードに書き出していきま
す。

教えて!さん:「端からどうぞ!」としがちですが、いかがですか。

渋谷さん:ははは。「端からどうぞ!」にするのが一見良さそうに思えますよね。でも、考えるのに時間をかけたい人もいるんですよ。だから、「挙手性」がおすすめです。感想は何でもよくて「よくわからなかった」でも「すでにうちの会社でこれをやっています」もOKです。どんどん書いていきましょう。こうやって皆の考えを視覚的にまめると、理解しやすくなるんですよ。発散と収束の発散ですね。

教えて!さん:みんなで会議を進める、その認識を持ってもらったうえで視覚的に訴えるんですね。その後はどうやって進めますか?

渋谷さん:次は、AIを利用して意見を整理するのが今日的でしょう。AIを使ってたたき台に関する意見や期待、課題点を明確にしたうえで、どのようなアクションを取るべきかについて話し合いましょう。
ここで大事なのは、司会者が自ら行動を提案することなんですよ。「意見をもらえますか?」といわれると、発言した責任を取らないといけないのはちょっと………と後ろ向きになってしまう人もいるんです。

教えて!さん:確かに………。自分から「やります!」というのは勇気がいります。

渋谷さん:誰だってそうですよね。だからこちらから動きましょう。「私は○○をしようと思っていますが▲▲さんも協力してくれませんか?」というように、「自分がまず動くので」と、参加者が行動するきっかけを用意することが大事です。そうすると、「○○はできないけど、■■ならば……」などの譲歩案も引き出しやすくなりますよ。

教えて!さん:はじめやすい「きっかけ」を作るんですね。それなら協力できる範囲を探せそうです。では最終的にどのようにまとめていったらいいでしょうか。

渋谷さん:具体的なアクションを5W1Hで整理し、ラップアップ(会議の最後に行うまとめを。何をいつまでに誰がなどの重要事項を確認する)で今日の議論を振り返ることが大切です。仮説から課題、アクションアイデア、具体的なアクションに至るまでを確認し、次のマイルストーンを決定しましょう。また、これを議事録として残すことで、今後の進捗管理に役立てることもできますよ。

教えて!さん:場を温めて、整理して、きっかけを作る。詳細な計画ときちんとした記録が大事なんですね。企画会議というと、もっと熱意やパワーが前面に出るものだと思っていましたが、自分のシナリオに人を巻き込むことにパワーを使うんですね。渋谷さん、具体的なアドバイスをありがとうございました。次回は企画会議編その3として具体的なアクションの起こし方を教えて頂きます。お楽しみに。

まとめ


  1. 開始前に場をほぐす
    ・全員と一言ずつ話しお互いの緊張を解く(世間話でOK)
    ・初参加ならお互いを紹介する(理想は全員×全員)

  2. オンタイムに始める(遅刻者がいても始める)
    ・主旨、アジェンダ、目的を軽く説明し、チェックインタイムを行う。
    ・名前(所属)/どんな気分/目的(期待すること)を全員の前で発言。
    ・30秒/1人でと声掛け(実際は1分かかる) で全員終わると5-10分かかる(遅刻した人が間に合う)

  3.  改めて企画会議の問題、ゴール、仮説(たたき台)を説明(10-15分)
    ・終わり次第、一言ずつ感想もらう。
    ・感想はなんでもok(例:全然わからなかった。●●はうちでもやってる) ・できた人から挙手で(×端から) →ホワイトボードに書き出す

  4. 意見を整理する(AIが得意)
    ・たたき台に関する意見や期待(よりよい案)課題(問題)点を洗い出し。
    ・どんな「アクション」をとったらいいか?の意見をもらう。
    ・×:意見があれば下さい(責任を取らされるので言い出さない)
    ・○:自分は△△をしたいが、■■さん一緒に●●やってもらえますか?(自分が行動するので助けてください、のスタンス)
    ・●●はできないけど、□□なら手伝えるなどの意見がでてくる。 

  5. アクションを整理してまとめる。(5W1Hが基本)
    ・具体的なアクションを決める
    ・ラップアップ(まとめ)と今日の振り返り。
    ・今日の仮説→課題→アクションアイデア→具体的なアクション →次のマイルストーン(いつまでに何をする)を決めて終了!
    ・ラップアップとマイルストーンをまとめたものが「議事録」


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