イラレの生成AIはパンドラの箱を開けたか? Live - 2023/10/16
Adobe Illustrator 28.0に実装された「テキストからベクター生成 (Beta)」を探求するプロジェクトを開始。
先週末の「イラレの生成AIを探求する」ライブでは(非公式な)ベクターイラスト生成AIチャレンジに参加しましたが、世界には強者がたくさんいる。イラレの達人クラスの人達しかいなかったので、いきなりハイレベルの戦いになりました…
けっきょく、生成AIを使いこなすイラレの達人が最強ということを痛感。
Adobe Fireflyの本体はテキストプロンプトに依存しないUIを実装したユーザーフレンドリーなクリエイティブツールに進化していますが、イラレの生成AIはまだベータ機能で原始的なプロンプト入力なので、ガチャをまわし続けることしかできません。
あと、アイコンやロゴ、UIパーツなどは今のベータ機能だと生成が雑なので、あまり使えない。
とはいえ、下図のようなベクターグラフィックを10分程度で表現できる機能は今まで存在しなかったので、今後の技術進化でどこまで精度を向上させることができるのか大変注目されています(精度を上げてよいのか?という議論もあります)。
作業画面の動画(再生時間:39秒):
イラレの生成AIに追加してほしい機能:
Fireflyの「似た画像を生成」と同等の機能
生成した特定の画像のバリエーションを生成できるFireflyの「スタイル参照として使用」と同等の機能
参照させたい画像を指定してスタイルを一致させる
ベータ機能の公開期間は、エクストリームな使い方で問題点を洗い出し、積極的にフィードバックしていきたいと思います。
今日、明日は、イラレの生成AIを使ったベクターグラフィック作成のケーススタディをこちらのページに掲載していきます。
イラレの生成AIはプロンプトに忠実
まず、こちらの記事の結果を転載しておきます。
※以下のプロンプトは、Midjourneyで意図したとおりに生成できなかったものです。上の記事は、Adobe FireflyとDALL·E 3では生成できるか?という検証をしています。
イラレの生成AI用ではありませんので、不要なワードが含まれています。
プロンプト:
プロンプト:
プロンプト:
イラレの生成AIはプロンプトに忠実です。素晴らしい!
Fireflyなので本体も同様に忠実なのですが、Photoshopの生成AIだと滅茶苦茶になります。人間とは思えないような怖い画像が生成されるので注意が必要。
上記の記事にも書きましたが、Photoshopの生成AIは素材イメージの処理に最適化されていますので、白紙からの画像生成はFirefly本体を使いましょう。
テキストを含むイメージの生成
Adobe Fireflyはテキスト要素を含むイメージも生成することができます。以下は、Tシャツに「Thank you」が表示されています。
※まだベータ機能なので、日本語に対応していません。以下のプロンプトには「ありがとう!」と書かれていますが、生成画像には英語で表示されています。
プロンプト:
イラレの生成AIも同じFireflyなので同様の結果です。
「テキストからベクター生成 (Beta)」パネルの「被写体」を選択すると、背景を生成しないので、プロンプトから「白いフラットな背景」を省いています。
※日本語未対応なので「ありがとう!」が「Thank you」に変わっています。
プロンプト:
生成AIなので、完璧ではありません。間違ったスペルの文字が生成されることもありますので、チェックは忘れずに…
イラレ生成AIをスケッチブックにする
今日は、生成AIでラフイメージを作成するプロセスをご紹介します。
まずは、以下の動画ご覧ください(81秒の短い動画です)。
アートワークの動画(再生時間:81秒):
以下のような複雑なイラストをテキストプロンプトで生成すると、当然ですが「雑なベクターデータ」になります。
上の動画をご覧になって把握できたと思いますが、このイラストは「構成要素」ごとに生成して組み合わせています。
使用したプロンプトは以下のとおりです。
下図は、プロンプト「口を大きく開けたアニメスタイルの可愛らしいドラゴン」の生成画像です。ツノや翼などを個別に生成すると、さらに詳細な制御が可能になります。
一度に生成する要素を減らすことで、より完成度を高めることができます。
生成したベクターグラフィックの不要な部分を削除します。
このベジェの操作がベクターデータの最大の利点と言ってよいでしょう。
個別に生成したベクターグラフィックを組み合わせながら、意図したイメージに近づけていきます。
アイデアをまとめておくクラウドのスケッチブックとして活用できそうです(クラウド保存をお奨めします)。生成AI仕様のまったく新しいスケッチブックと言ってよいかもしれません。
Adobe Fireflyの新しいAIモデル「Firefly Image 2 (Beta)」で、同じプロンプト「口を大きく開けたアニメスタイルの可愛らしいドラゴン」を入力すると、下図のようなリアルなイラストレーションが生成されます。
こういうイラストが生成されると、権利侵害していないか不安になりますが、Fireflyは学習したデータを明らかにしていますので、一応…安心・安全なサービスになっています(※商用利用では出力結果の検証が必須になりますが)。
生成画像を素材として利用する場合、イラレの生成AIは、背景を生成しない「被写体」を選択できますが、Firefly本体では白い背景にするプロンプトを追加する必要があります。
過去の関連記事:
更新日:2023年10月17日(火)/公開日:2023年10月16日(月)