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子育て「真っ只中世代」と「終わった世代」でスーパーマーケットの情報交換をしてみたら



クレイジータンクならびにクレイジータンク独自研究機関「CRAZYTANK research station」では日々スーパーマーケットの研究に勤しんでおります。

しかし所属研究員の年齢層は30代〜40代が中心、子育て真っ只中のメンバーも多く、どうしても情報が偏りがち…。

スーパーマーケットには、古今東西老若男女、とにかく多種多様な利用者そして利用方法があるはずです。CRAZYTANK research stationは、より幅広い視野をもちスーパーを研究していきたい、という思いを常日頃抱いていました。

1:親世代(子育て終わった世代)の、注目すべき!?買い物行動


身近な存在でもありイメージが湧きやすいのは、私たちの親世代(60〜70代)。子育てもひと段落し、生活に時間的な余裕が生まれている世代です。この世代のスーパーマーケット利用方法は、私たち子育て世代と異なるのか否か。

研究員の間でまず話題になったのは、この世代の「数円の安さを追い求めて買い分ける」行動特性。「買い分け」に関するフットワークが驚くほどに軽くはありませんか……。距離が離れたいくつかのスーパーを車で(わざわざ)回るという労力を惜しみません。これは子育て真っ只中なわたしたち世代には真似がむずかしい行動特性です…

チラシをくまなくチェックするところにはじまり、こちらのチラシでは「ごま油」に赤丸、あちらのチラシには「ブロッコリー」に赤丸、といった具合に、数枚のチラシの所々に赤丸がついた状態でチェックが終了。その後、いくつかの店舗を回り、赤丸ついた品々を買い分けながら、それぞれの店舗で必要なものを買い足して、帰宅。

こうして何軒ものスーパーをはしごしているにもかかわらず、なぜか1〜2点買い忘れ、「やだ!買い忘れちゃった!」も結構な頻出ワードです(※この世代の方全員の買い物行動を表しているものではありません。あくまで具体的な経験とイメージをもとに事例としてのご紹介です)。


2:成功も失敗も、酸いも甘いも経験済…だからこそのスーパーマーケットプロ


…と、子育て真っ只中世代からすると「え…ちょ、買い物するときの時間効率…」と思ってしまう子育て終わった世代の買い物行動(事例)なわけですが、こうした複雑な買い物をこなしているからこそ蓄積している情報があるのもまた事実です。

・野菜は、〇〇スーパーでしか買わない
・このスーパーの惣菜の中でも〇〇が美味しい
・このスーパーは何時位に値引きシールやお値打ち品が並び始める  etc…

とにかく足と目と舌で多くの情報を稼いでいます。失敗経験も大切な情報として蓄積されています。

生きていれば、生活すること・食べることからは逃れられません。子育て終わった世代の方々は、どの人も長い時間をかけて多くの買い物経験を積んできていて、ご本人の自覚・無自覚にかかわらず自然とスーパーマーケットプロになっているケースが多数存在するのではないかと考えます。


3:直接話を聞いてみよう


多数の情報を蓄積しているはずの子育て「終わった世代」の方々を中心にお話を聞いてみたい!と思っていたところ、その機会が巡ってきました。

CRAZYTANK Research Stationの研究員1名にとって所縁ある地域で、第1号店となるスーパーマーケット「FFマルシェ」がオープンしたことがきっかけです。

FFマルシェ

新しいスーパーマーケットということもあり、周辺の方々が早速利用し、研究員にいくつか情報が遠隔で入ってくるようになりました。これまで酸いも甘いも経験してきたスーパーマーケットのプロたちですから、それはもうさまざまな厳しいご意見も多数寄せられ…ました。

という状態から「せっかくならば研究員で話を聞きに行ってみよう!」ということに!

オープンしたばかり、かつ、第1号店ということもありますので、この店舗がどのようにして利用者に浸透していく店舗となるのか、その経緯も見れる機会もなかなか無いと捉え、コーディネーターの方に依頼し、利用者(利用予定者)数名に声をかけていただいたら……なんと17名もの方々が集まってくださることになりました!(圧倒!)

そして、本スーパーのことだけではなく、スーパーマーケット利用全般について貴重な情報交換をさせていただくことができました!


4:やはりスーパーマーケットのプロだった


想定以上に多くの方にお話を伺えることになったので、いくつかのグループに分かれて、情報交換をさせていただきました。

まずは、今回の会のきっかけとなったオープンしたての新店舗「FFマルシェ」というスーパーマーケットの話題で盛り上がります。

当たり前かもしれませんが、利用者はこれまで何十年も、何十軒も、何種類ものスーパーマーケットを利用したことある方々。

新店舗に一度足を踏み入れ、さ〜っとひと回りしただけで、「このスーパーはここが強い」「このスーパーのここは改善余地あり」ことを瞬時に判断できてしまうわけです…。これは子育て真っ只中世代の方にも共通しているかもしれません。1度目の来店で、アリかナシかほぼ判断できる…それくらいに顧客はスーパーという場所や特徴を知っています

FFマルシェは世間一般的には「高級スーパー」部類です。しかし店舗サイズが小規模で品数の取り揃えが少ない印象を受けたり、オープン当初は駐車場がなかったりと不便さを感じたとのこと。一方まで……

「サーモンは美味しかったで」

「扱ってるパンが最初あかんかってん。でもすぐ改善されたで

「駐車場は提携駐車場ができてん。顧客の声にすぐ反応して行動するのは良いな

貼り紙はオープンしてしばらくしてから追加で貼られた提携駐車場について書かれたもの


こういったお話をきいていくと、皆さん、商品ひとつ、スーパー側の対応ひとつをとてもよく見ていることが分かります。

「野菜はイマイチだけど魚はいい」という捉え方ではなく「茄子はダメだけどサーモンはええで」というところまで解像度を上げてスーパーをチェックしています。また子育て終わっている世代であっても「トイレにはおむつ替えコーナーがなかったな。あれじゃ子ども連れは困るやろ」「エレベーターがベビーカー連れにはあるのはいいな」といったご意見も出ました。

まさに私たち子育て真っ只中世代も、FFマルシェを訪れてみて、ベビーカー連れだと買い物しやすいゆとりある店内ということや、野菜コーナーの目線の低さに子どもたちと会話をしながら野菜を見れるのは好印象だと話していたところでした。

ゆとりある通路がある店内イメージ絵
子ども目線で見れる野菜コーナーイメージ絵

子育て終わった世代の方々は、今の子育て真っ只中世代の私たちにとっても「買い物しやすいスーパー」を知っているように感じました。それは、これまで長年にわたり、本当に多くのスーパーでの買い物経験、そして、それを実際に自身の食卓で味わってきた経験の蓄積があるからこそなのでしょう。

お話伺えた方ひとりひとりの中に、まさに膨大な価値あるデータが蓄積されています。一方で、みなさんはご自分がまさか有益なデータを持ち合わせてると自覚されていない……世の中には多くのマーケットデータと言われる数値データが存在しますが、そこでは表面化してこない真に有益な情報とは、こうしてみなさんの中の無自覚な意識の中に存在しているのではないか、とすら感じたほどでした。


5:守備範囲はデジタル活用まで


最近のスーパーマーケットはアプリ導入やデジタル活用をよく見かけるようになりました。馴染みがあるデジタルとしては、セルフレジでしょうか。

子育て真っ只中世代の研究員私たちの印象としては、アプリを複数店舗分ダウンロードして使いこなすほど時間的ゆとりはなく、せめてポイントなどのベネフィットあるケースでギリギリ利用するかな、程度の印象でした。

しかし、この会で「子育て終わった世代」の方々に伺ってみたところ、co-opのアプリを比較的多くの方が使いこなし、活用していました。決してアプリだけで使用するというよりも、紙チラシと併用して効率的に使ったり、さまざまな価値を上手に享受しながら、まさに「活用」されていました。こちらまで驚かされたほどです。

大変失礼ながら、こういった有益なデジタル活用方法を60〜70代の方々から私たち(30〜40代)がお伺いするとは思っていなかったのです…スーパーマーケットプロたちの「これはええで!」の太鼓判やお墨付きは、私たち子育て世代にとっても有益な情報であることを体感した機会となりました。


6:子育て終わった世代がもつ有益情報は、子育て真っ只中世代の私たちに、生活や買い物にたくさんのヒントをくれた


世代が異なる同士で「スーパーマーケットを語り合う」なんてことは、お互いに初めての経験だったわけですが……

会が終わった後、子育て終わった世代の方から

「もっとこれから意識してスーパー見とくわ」

とまでお言葉をいただきました。

私たち子育て真っ只中世代には、日々の生活や食卓を「回す」ことで精一杯で、スーパーではいつもと同じ食材をスピーディに購入して終わり、なんて日もあります。

しかしごく稀に、店内で、横にいた年配のお客さまから「これ、おいしいわよ」と声かけてもらい、そうして「出逢う」商品もあります。

本当はたくさんの「おいしい」情報が、これまで何年も生活を回してきた子育て終わった世代の方々には蓄積されていて、自然と「これはいいわね」「これは不便」「これは興味ある」という判断軸をもたれているのだと感じました。

今回の会では、そうした先人プロたちからさまざまなスーパーマーケット利用のヒント、いえ、もっというと、「ゆたかに生活する」ためのヒントまで教えていただいた気持ちです。

私たち子育て世代も、毎日なんとか日々をこなし懸命に「生活」する中で、自分たちらしいスーパーマーケット利用や生活のコツを少しずつ蓄積していっているのでしょう。

お話聞かせていただいた「子育て終わった世代」の方たちのように、私たちなりに蓄積したたくさんの情報と知恵が、いつか次世代のヒントになる日がくるのかもしれない、とすこしだけ先の未来が見えた気がしました。


みなさんの周りにいらっしゃる「子育て終わった世代」の方や他世代の方たちとスーパーマーケットについて情報交換できそうなタイミングがあれば、ぜひしてみることをおすすめします。

知っているようで知らなかったスーパーマーケット、わかってるようでわかっていなかった生活の知恵を発見することができ、明日の生活がよりゆたかに、より楽しくなるかもしれません。


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