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【レポート】CRAZY GAL ORCHESTRA 結成コンサート 特集:レベッカ・クラーク
関西ギャルが室内楽で今福鶴見のフロアを揺らす! CRAZY GAL ORCHESTRA 爆裂デビューの現場となった伝説の「結成記念コンサート」は、全曲レベッカ・クラーク、チェキあり、フォトブースありなど様々な点で未曾有のクラシックライブであった。2023年9月2日、約束の地・今福音楽堂に降り立ったギャルズの奮闘やいかに!? 運営ギャルの一人、はこびてゃ視点でレポートをお届けする。
コンサート前日。私はこびてゃ(ギャルネーム)とまょぴ(ギャルネーム)は写真用パネルの制作に追われていました。
「どうやって持っていきます?」
「紙を繋げたらどうにかなるってところまでは作っておいたほうがいいかも」
「パネルは会場で繋げて切らないといけないですね」
およそ前日夜にする会話ではありません。それもそのはず、そもそもこの日の午前からデザインを作りはじめ、一旦は完成したもののさすがにそれと一緒に写真を撮ろうとはならないだろうということになり、全然違うデザインを作り直したりしておりました。パネルの制作で一日が終わってしまったのです。
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しかし、私たち運営ギャルズのやることは、おおむねすべてそんな感じでした。なにせ、前例があまりない試みなのです。誰ひとりとして、答えを持っていませんでした。完成イメージはおろか、理想の形さえもわかっていません。私たちはひとつひとつのことに悩み、議論し、都度決めていました。すべてが手探りで、そして私たちには異様な先延ばし癖がありました。
「明日の荷物ちゃんと持っていけるかな……」
まょぴは数日前から大きなスーツケースに必要なものを詰めていました。グッズ、募金箱や金庫、そして七色に光る流しそうめん機。重そうでした。私も私で、ダイソーで買った発泡スチロールの板や物販ブースで使う物品を持ち運ぶ必要がありました。
なんとか紙を切り終えたあと、私たちは明日の集合時間を確認して解散しました。一体どんなコンサートになるんだろう、と思いながら。
そもそもの発端
いつだったかは忘れましたが、あっちゃむ(ギャルネーム)と飲んでいたときに、「強い女オケ」があるのだから「ヤバい女オケ」を立ち上げたら楽しいのではないか、みたいな話をした記憶がございます。そのうちにまょぴも交えての運営会議がはじまり、女性作曲家の作品を演奏していきながら機関誌を発行していくのはどうか、ということになりました。
結成コンサートがレベッカ・クラーク特集になったのは、執筆&演奏ギャルとして加入してくれたKYOの「レベッカ・クラークを弾きたい」という一言がきっかけでした。
そこからなでぃ、さぁや、MOPPIに声を掛けて、KYOと4人で楽曲の準備をしてもらいました。私たちはその間、チラシやチケットを作り、SNSを更新し、グッズを制作していました。
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グッズや衣装について
ギャルの室内楽コンサートをやるにあたって、物販はマストでした。
でも、ギャルの物販って何……?
困難な問いでした。「ギャル 物販」でGoogle検索をして何かが分かるわけでもありません。結果的に作ることにしたのは、ステッカーとタトゥーシール、それからメリケンサックでした。私たちも初めて知ったのですが、いまUVレジン工作界ではメリケンサックが密かに盛り上がっていたのでした。ゆめかわメリケンサックはなんかギャルっぽい気がしたのです。
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衣装にもこだわり、演奏ギャルズにもギャルっぽい恰好のリクエストをしながら、運営ギャルズもSPINNSに行ったりしていました。私だけなぜか常連とそれ以外で対応が変わるタイプのシーシャバーの店員みたいな恰好になっていましたが、私以外はおおむねギャルだったと思います。まょぴが「お母さん(チケットを売った)の前でへそ出しスタイルをするんや……」と呆然としていたのが印象的でした。
本番に向けて各々がメイクやヘアアレンジを練習し、ネイルにも気合いを入れました。
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当日の私たち
朝の8時に駅に集合して、大阪へと出発した私とまょぴ。お互いひらパーかユニバでコスプレでもするのでなければ説明のつかない謎の大荷物を抱えていましたが、会場となる今福音楽堂は国道沿いの大きなイズミヤの中にあります。
第3回かぐやSFコンテストの最終候補作品の発表を電車の中で確認して奇声を上げたりしているうちに最寄り駅にたどりつき、ギャルたちと続々合流します。
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まだ午前だしぜんぜん時間あるっしょ――そんなことを言いながら、運営ギャルズはフォトパネルや、写真撮影ブースの背景等の作成に取り組み、演奏ギャルズはリハーサルをはじめ、響きや音量のバランスをチェックします。
「つ……疲れた……」
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4曲中3曲に出演しているさぁやが、会場の椅子で横になりました。見るからに疲弊しています。運営ギャルズの様子も連日の作業でおかしくなっており、私も人間工学に基づいた結果まっすぐ紙を切ることができないハサミや明らかに使いどころのない大量の紙飾りを会場を出て1分のところにあるダイソーで買ってきていました。
気付けばもう開場直前。お客さんがもう外にいたため、慌てて受付の準備をはじめました。
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物販をお願いしていたVG+の井上彼方さんが金髪で現れ、私がレベッカ・クラークの出てくる小説を寄稿した『京都SFアンソロジー』を並べていただきました。
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コンサートの様子
全曲レベッカ・クラークのプログラム、チェキブースあり、という前例のない演奏会。集客を危ぶんでおりましたが、なんと55名の方に来ていただきました。会場直後から続々と集まったお客様。演奏会場の中で運営ギャルズが作成したプログラム冊子を読んでくださっていました。
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《前奏曲、アレグロとパストラーレ》(1941年作曲/ヴィオラ:KYO、クラリネット:さぁや)で幕を開きました。クラークの作品のなかでも一番チルでドープな曲です。
それからMCのあっちゃむが曲目やCGOについて話したのち、《ドゥムカ》(1941年作曲/ヴァイオリン:MOPPI、ヴィオラ:KYO、ピアノ:なでぃ)に移りました。《前奏曲、アレグロとパストラーレ》と同時期に書かれた、ダークなエモさが魅力的な作品です。
休憩時間中のロビーは物販やフォトブースでのお客様の記念撮影で賑わい、また関連書籍や楽譜の展示を手に取ってながめる人々もいました。
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後半はクラークが1921年にクーリッジ夫人の音楽祭のために書き下ろしたピアノ三重奏曲(1921年/ヴァイオリン:MOPPI、チェロ:なでぃ、ピアノ:さぁや)を演奏し……
そして、ステージ上でギャルたちのトークタイムが始まりました。
「演奏してみて感じたレベッカ・クラークの魅力は?」「ピアノは難しかったですか?」「次に演奏する《ヴィオラとピアノのためのソナタ》のアピールポイントは?」あっちゃむの質問に対して、演奏ギャルズたちが時に実演も交えながら答えてくれました。
そして最後に、クラークの一番有名な作品である《ヴィオラとピアノのためのソナタ》(1919年/ヴィオラ:KYO、ピアノ:さぁや)を演奏しました。
レベッカ・クラークの曲は演奏難度が高いだけでなく演奏頻度も高いとは言えず、参考となる音源や動画も多くはありません。運営ギャルズが謎のグッズを作っていた数か月の間、難曲の数々を綿密に作りあげてくれた演奏ギャルズ。4人全員がそれぞれの持つ個性を爆発させ、ギャルマインドに則って全力で演奏をしてくれました。譜めくり席で見ていて、本当に感動しました。
終演後のロビーではギャルズとお客様のみなさんとのチェキ撮影タイム。お友達、ご家族、フォロワー、ファン……色々な関係の人々がギャルズと記念撮影を楽しんでくれました。
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反響と考察
21名の方からアンケートの回答があり(回収率は、チケット手売りが多かったとはいえ驚異の約38%)、「レベッカ・クラークについて知ることができてよかった/好きになった」「演奏がよかった」「楽しかった」という意見が多数ありました。ヴィオラを弾く人でも知らない方が多い作曲家を55人の方にみっちり聞いていただく、有意義な時間になったのではないかと思います。また、プログラム冊子やチェキや物販についても好評の声が多く、コンサートというイベントそれ自体を楽しめる時間にするという狙いは成功したのではないかと思います。
ヴィオラをここまでフィーチャーしたコンサートに初めて触れた、という感想もいただき、これは一人のヴィオラ弾きとしては嬉しく思うと同時に、独奏楽器としての地位がある楽器とそうでない楽器がある、ということを改めて感じました。今後もコンサートや機関誌でそういった話題にも触れていければと思っております。
一方で、ギャルのコンサートって結局何だったの? というところについては未だ明確な答えを得ておりません。特に、コンサート本体は結局じっと座って拝聴する慣習的なスタイルになってしまいました。そういった演奏と鑑賞のあり方についても考えをめぐらせつつ、次回もクレイジー・ギャルにしかできない演奏会をつくっていければと思います。また、まょぴに運んでもらった七色に光る流しそうめん機を会場に展示し忘れてしまったため、こちらについても次回以降の課題とします。
【NEWS】第2回ライブの開催決定❤️🔥❤️🔥❤️🔥
結成記念LIVEから約1年――クレイジーなギャルたちが、今度は教会でLIVEをやるよ! ギャルって教会に入れてもらえるんですか⁉(もしも入れてもらえなかったら、コンサートは中止です……。)今回ギャルズがGODSに見守られながら演奏するのは、5人の女性作曲家の作品。メンバーも増えてますますクレイジーパワーがUPしたギャルズの演奏お聞き逃しなく! 物販とかチェキもまたやるヨ。
ライブ詳細&チケット予約はココから👇💞
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