見出し画像

SNSと販売の戦い方。(スイカオンラインショップ2年目の振り返り)

今年も無事、スイカの収穫が終わった。

2021年は梅雨も短く、スイカの味を高めたい時期にガッツリ晴天が続いたので、過去にないくらい高クオリティなスイカをお届けできたと思う。

例年にも増して、強気の発信ができた。

そんな今年は、昨年に引き続くオンラインショップも2年目で、昨年以上に伸ばしていこうと頑張った。

結果…

注文件数、売上共に、昨年のほぼ2倍の成績で着地。

着実に成果が出せたと思う。

今回は、

・なぜショップの成績を伸ばせたのか?
・SNS宣伝との向き合い方

について、今年の販売を振り返りながら整理しておこうと思う。

新しい試み

2年目となる今年、新しくやってみたのが、ショップの予約販売機能を使ったこと。

福賀すいかのショップはBASEを使っていて、この予約販売の機能は出品者なら使うことができる。

この機能を使い、7月から収穫が始まるスイカの注文を6月上旬から受けることが出来た。

注文を早くとるだけで、そんなに売上げが変わるもんなの…?と疑問に思う人もいるかもしれない。

実際にやってみると全然違う。

さっき昨年比で2倍(つまり100%増)といったけど、その増加分のうち30%は先行予約でとることが出来た。

6月下旬から通常の注文も受け付け始めた結果、増加分の50%は6月中に売り上げていた。

つまり、昨年の売上げの半分になる売上げを、スイカを1玉も収穫していないうちに得ることが出来たということ。


農家に限らず、「注文を早くとる」というのはバカにできない。

特に、SNSを使って栽培や制作の過程を発信しているなら、その発信を見ている人から、

「で、それはいつから買えるの?」

という疑問が必ず飛んでくる。

発信を見てくれている人、応援してくれている人というのは、商品やサービスがいつから手に入るのかを気にしている。
そして「いち早く手に入れたい」と思っている人が結構いるのだ。

そういう人たちがいるのに販売開始をギリギリまで待ってしまうのは、せっかくのチャンスを失っているということ。

よっぽどの理由がないかぎり、「さっさと売る」が吉だった。

・発信を見てくれている人は「いつから買えるか」を気にしている
・「いち早く手に入れたい」と思っている人も結構いる
・余程の理由がないかぎり「さっさと売る」が吉

SNSとの向き合い方。

さっきも言ったように、栽培過程をSNSとかで発信することと予約販売はむっちゃ相性がいい。
「気になった方はこちらから購入できます!」という一言を、発信するたびに紐づけることができて導線を作りやすい。


ただ、どういう発信をすればいいのか、SNSをどう活用すれば売り上げアップにつながるのかということに関しては、その商品やサービスの持っている性質によって最善手が変わってくると思う。

ここからは僕がTwitterでどういう立ち回りをしながらショップの宣伝をしていたかを振り返りながら、SNSと販売の戦い方を整理していく。


バズるのは良いことなのか?

SNSで宣伝するなら、とにかく「バズらせたい」「フォロワー増やしたい」と考えると思う。そうすれば売上げアップにつながると考えるだろう。

今年も含めて、ここ2年Twitterで発信しながらスイカの宣伝をした正直な感想を言うと「バズったからって売れるとは限らないし、そもそもバズることが良いことだとは限らない」と言うこと。

実際、今シーズンのうちにプチバズが起きた。

去年もスイカが割れた写真のツイートは400以上のいいね!がついて、まあ今年もそこそこ反応があるだろうなとは思ってたけど、まさか1000を超えるいいね!がつくとは思わなかった。

ここで痛感したのは、現場でスイカを作る僕の思いと、このツイートを見た人たちの反応にギャップがあるということ。


多かったのは「もったいない」「何か活用できないんですか?」「割れたスイカでも良いから買いたい!」といった声。

今だから言うけど、「割れたスイカを安く売ってもらえませんか?」というメッセージも数件あった。

でも。

毎年スイカを作って、おびただしいほどの割れたスイカを処理してきた僕からすれば、スイカが割れることは覚悟してること。

その上で「生き残ったスイカをいかに最高の形に仕上げるか」に全力を注いでいるわけで、「割れたスイカの活用」に使える時間や情熱は一切持ち合わせていない。

そういうレベルでスイカ作ってるわけじゃない。
もちろんみんな良かれと思ってコメントしてくれたんだろうけど、思わず本音を綴ったりもした。

このツイートが拡散されればされれるほど、僕のスイカにかける思いとは離れた場所からのコメントやメッセージが増えて、正直なところ、対応するのに疲れていた時期でもあった。

この時は「収穫まで生き残ったスイカを食べてもらえるのが一番なんです!」という本音を、繰り返し正直にお伝えしていた。


バズる、ツイートが拡散されることで自分と価値観や考え方が違う人たちとの接触が多くなるのは、多分仕方がないことなんだろうと思う。

でもそういう人たちとどれだけたくさん出会っても、結局はミスマッチ。スイカがたくさん売れるわけじゃないし、その人たちが僕の作るスイカで心から喜んでくれるわけでもない。

事実、このツイートがきっかけでスイカが売れることは全くなかった。
(ショップへの導線となる別ツイートをぶら下げておいたにも関わらず)

ただ、価値観の違う人たちとの接触が増えて疲れただけ。バズるって、こういうこと。

来年は、同じようなネタであっても言葉選びを工夫していこうと心に誓った。

・バズると価値観の違う人たちもたくさん集まるので疲れる
・バズったからといって売れるわけではない

SNSで数字を追い求める空虚さ。

実はスイカ販売に関して「やらない」と決めていたことがある。

それは「プレゼント企画」や「割引セール」

Twitterでよく、

アカウントをフォロー
このツイートをRT(リツイート)

を参加条件にしたプレゼント企画がある。その中から抽選で〜みたいなやつ。

あれをやってる農家さんは時々見かけるし、打ち手としては悪くないんだろうなって思ってはいるけど、福賀すいかでは絶対やらないと決めていた。

確かにツイートは拡散される。バズることだってあると思うし、フォロワーも増える。

でも、そうして集まってきた人たちは「無料」とか「割引」がなければ集まらなかったんじゃない?
それに「抽選に外れたら大人しく買おう」って人なんてほとんどいない。買う気があるなら最初から買うし。

それに、
僕らのスイカを楽しみにしてくれて、しっかりお金を払って買ってくれる人がいるのに、「フォローとリツイートをしただけの人」にスイカを渡せるわけないじゃない!

こんな言い方はすごく嫌な感じだとは百も承知だけど、現実だから言う。

プレゼント企画や割引セールで集まってくる人たちは、「無料」や「安さ」につられて来ているのであって、商品の価値を本気で見出だしてはいない。
そうしてフォローやリツイートを増やしても、それは「フォローとリツイートをしただけの人」であり、商品を愛し続けてくれる人にはならない。

そんな中身のない形でフォロワー数を膨らませても、実はなにも前に進んでいない。本当に買ってほしい商品やサービスを買ってくれる人は増えていないから。

・「無料」や「安さ」で人を集めても商品を愛してもらえない
・中身のないフォロワー数だけ膨らませても売上げは伸びない

さっきバズることの話題でも言ったけど、これも「ミスマッチ」のひとつ。

「無料」や「安さ」に飛びつく人たちは僕らとは価値観が合わないのは明らかで、間違いなく噛み合わない。

そんな人たちとつながってしまうのは、「認知が進まない」ことよりもはるかにリスキーなんよね。

SNSをどう使う?

ここまで(根気よく)読んでくれた人からすると、

じゃあSNSをどう使ったんだよ?
売上げ伸びたんだろ?なにやったんだよ?

という疑問があると思う。

そもそも「バズらせること」を狙わない、不特定多数を集めて囲い込まないというスタンスならSNS使う意味なくない?という考えを持つ人も多いと思う。

そういう人たちとは、たぶんSNSというものに対するスタンスそのものが違う。

そこで具体的になにをやっていたかについては、昨年書いた記事にも書いてあるから、ぜひそっちも読んでほしい。


…読んだ?

たぶん読まないだろうからここでも書くけどw


スイカシーズンの間、日課として欠かさずやっていることがあった。

それは、Twitterで「スイカ好き」「スイカ食べたい」とかのワードを検索すること。

そして、「この人…相当スイカ好きだな…」と思わず唸りたくなるホンモノのスイカ好きを血眼になって探す。

そして、

絡む。

絡む。

絡む。


これが僕のSNS宣伝のスタンス。

不特定多数に向けて情報をばらまくのではなく、「この人になら…」と思える人に、ひとりひとり情報を手渡ししていく感覚。

だからお客さんが僕らを検索して見つけてくれるのを待つのではなく、僕らがお客さんを検索して死ぬ気で見つけるということを日常にしていた。

・情報はばら撒かずに「手渡し」する
・自分からお客さんを検索して見つける

ひたすら続ける。

繰り返しになるけど、去年と今年でショップの成績は2倍になった。

でもこういうSNSでの立ち回りに関して、去年から今年にかけて新しく始めたことはこれといって無い。

去年からやっていることを、より強力にゴリゴリ続けただけ。

それで、2倍になった。

そう。

バズって一気にバカ売れするとか、フォロワーが激増してお客さんも激増するとか…そういうのは幻想で。

とどのつまり、売上げを伸ばすための打ち手というのはいつも、一番泥臭いことを誰よりも地道に続けることだった。


こんなオチで申し訳ない…でも、これが現実なので、来年も再来年もその次の年もずっと、たぶんこのスタンスは変わらない。

ひたすら続けるのみ。というか、こういう泥臭いことを続けられなきゃ結果なんて出せないんだろうね。

SNS販売の戦い方。

スイカのオンラインショップ2年目の動きをまとめると、

⑴発信をするなら予約販売で早く売り出す
・発信を見てくれている人は「いつから買えるか」を気にしている
・「いち早く手に入れたい」と思っている人も結構いる
・余程の理由がないかぎり「さっさと売る」が吉

⑵SNSで数字を求めると空虚になる
・バズると価値観の違う人たちもたくさん集まるので疲れる
・バズったからといって売れるわけではない
・中身のないフォロワー数だけ膨らませても売上げは伸びない

⑶SNS宣伝のスタンス
・情報はばら撒かずに「手渡し」する
・自分からお客さんを検索して見つける

ー泥臭く地道に頑張ったら売上げは伸ばせるー


特に僕らが作るスイカのように「作るのに手間がかかる」「量産が難しい」「高単価」の商品やサービスはこのスタンスで押していけばまず間違いなく売上げを伸ばしていけると思う。


でも、これ以上Twitterでの立ち回りに目新しい打ち手は思いつかないから、来年からはfacebookやInstagramも加えて、今年以上にゴリゴリ頑張って売っていこうと思う。


画像1

オンラインショップで購入してくださったみなさん、いつもTwitterで応援してくださっているみなさん、本当にありがとうございました!

また来年も、最高のスイカをお届けします。

期待して待っててください!では!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?