『感じるオープンダイアローグ』読書メモ
精神科医・森川すいめいさんの『感じるオープンダイアローグ』を読みました。
「オープンダイアローグ」とは、フィンランド発祥の対話の方法です。
フィンランドの「ケロプダス」という精神科病院で、困難を抱えた人たちとの対話を始めたのがオープンダイアローグの始まりでした。
この本ではオープンダイアローグの方法や、オープンダイアローグが何をもたらすのかが書かれています。
本の内容のほとんどは著者の実体験を元に書かれています。
著者がオープンダイアローグに出会った背景として、著者自身の複雑な生い立ちと、阪神淡路大震災で被災した人たちやホームレスの人たちとの対話の経験などが語られています。
オープンダイアローグの方法については、著者がフィンランドで受けた研修や、自身の病院での実践が、著者の考えや感じたことを織り交ぜながら書かれています。
ここからは私個人の感想になります。
薬ではなく、対話。
つまり、自分のことを語り、他者に聞いてもらい受け入れてもらうことによって、苦しみが軽くなる様子がよくわかって、とても説得力があるように思いました。
著者はオープンダイアローグに出会ったことで、「鎧を脱いでも大丈夫な人に出会った」と言います。
私にはこのことがとても印象的でした。
まず、鎧をまとっているという感覚が、すごく分かる気がしました。
著者に起きたことは、信頼できる人の前で鎧を脱ぐことができるようになる、ということのように思います。それは、対話をすることで自分を理解し、受け入れ、また他者にも受け入れられ、他者への信頼が回復してきたということだと思います。
私もそういうプロセスを求めて人と関わっているところがあるし、いずれはそんな形で大切な人たちを理解し受け入れたい、と思いました。
ずっと一人を楽しめる人に憧れてきたけど、本当に一人で生きている人なんていないし、人は本来一人で生きて行く生き物ではないのだ、ということを思いました。
私も自分のことを話したいし、自分以外の誰かの話を真摯に聞いてみたい。
面倒くさがりから少し背伸びして、その練習を重ねたい。
そう思える本でした。