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2023年8月の記事一覧

童話『盲聾の星』第一話

童話『盲聾の星』第一話

――「ぼくはおっかさんがほんとうに幸になるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんの幸なんだろう。」

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』より――

1.

 信じられますか。その時代は、まだ世界に月はなく、いくつかの星だけが夜空を照らしていたのです。大きな父さん星と美しい母さん星がいて、息子の星は、名をラムダ[i]といいました。

 地上の南の小島には、病に臥せってい

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