50歳のノート「スタートアップ泥船航海記 仲間としたい船旅」
○ 時の止まった泥船
経営状態悪化、そして回復は夢物語にもかかわらず人がちらほらとしか辞めていかない。
辞めない理由はと聞くと「フルリモートだから(フルリモートの企業が減っているから)」「楽な会社だから(形だけやっているふうにすれば内容を問われない)」「会社が潰れると思ってない」だそう。
沈みゆく船とうっすら思いつつギリギリまでぬるま湯に居たいということだ。
もはやそれは個人の選択なのだけど、51歳の自分としては時間を無駄にしている、次はあるのか? という市場価値への焦りが出てくる。
○ 泥船に造られた天守閣
そんな中、障害に怒り狂う顧客への謝罪対応の一環で「品質保証の横断組織を作りました!」と言いたいがために新部門が作られた。
自分のチームは丸ごとそこに移動となった。
価値を否定してくるアンチ派の煽りを受け人員削減に追い込まれていたがそこに丸ごと異動となった。
そしてアンチやプロジェクト開発未経験者でひしめくこの会社でサバイバルするために、政治的な動きに長けた同期のYさんを巻き込み天守閣に入った。
○ QAエンジニアという職種と課題
自分のチームの役割は品質改善に取り組むことである。
職種でいうとQAエンジニアという。
テストが主軸になるが、ほぼぼぼの課題はテストでどうにもならないところで起きている。
自分たちだけでどうにもならないことでいっぱいだ。
どうにもならないことをどうにかするためにやれることは大体この二つである。
・草の根活動でエンジニアとつながりながらじわり変えていく
・トップダウンで方針を落としてもらう
ところが今いる泥船のように「自分たちがやっていることを変える必要が無い」という思考停止や激しいアンチがいる土壌だと草の根はほぼ不可能になる。
さらに、トップが方針が無い、提案しても他人事、玉虫色だとこれまた期待できない。
イメージ的にシンプルにいうとこんな感じだ。
ある日会社にダイエットコーチがやってきて、まずは3キロやせろ、炭水化物を半分にしろ、タンパク質を毎日70グラム取れ、毎日1時間筋トレしろというようなものだ。
コーチの知見では「それは正しいこと」なのだろうけど、急に言われた方は「なんでそんなことやらなければならないんだ」となる。
ところが社長が「リモートワークの健康維持のため、毎日30分、業務時間として歩いて下さい」と言ったらまた状況が変わる。
なので、まずトップがどれくらい本気で熱量があるか、が分かれ目になる。
で、悲しい現実は、草の根とトップダウン、どちらも無理な企業がほとんどだ(特にスタートアップでは)。
なので自分たちはなにも追加でやりたくないかわりに、QAエンジニアという職種の人を買ってきて置いとけば痩せることができると思われている。(痩せるサプリ的な?)
で、痩せるサプリが万能ではないことと同様に置いとかれただけで実は効能がないとバレるとまずいQAエンジニアは、
・カタチだけやって「プレゼンス(自分たちはこんな価値あることやってます!を社外、社内問わず発信して立ち位置を作ること)」
活動に勤しむことになる。
これがスタートアップ5社を経験した自分の見立てだ。
そんなあやうい立ち位置なので、相手と環境に左右されてしまう。
何をどこまでやりたいかで良い悪いが決まる。
なので、何をどこまでやりたいか=方針が無いと、どこまでも目線が合わない。
そもそもやりたくないとなったらこれまた方針どころではない。
○ お客様ならぬ開発チームの受託会社
泥船に造られた天守閣で、新たにこれまで担当していなかったチームのプロダクトのテストの依頼が来始めた。
フタをあけると、無茶振りもいいところだったり、エンジニアマネージャーが開発の勘所がなく独りよがりだったりして、相手の言いなりだと結局は市場障害になる未来が見えた。
限られたリソースでお客様の障害を防ぐプランを提案しても刺さらない。
コミュニケーションは受託会社に対する扱いである。
天守閣は役員直下なのだが、その役員も依頼元のエンジニアマネージャーの独自の意見の顔色を伺っている。
つまり、誰もお客様のことを考えていないし、目線が合わないから方針も合わない。
○ 転職市場で求められるもの
スタートアップ5社を渡ることになった理由は、「お客様のことを真摯にずっと考えていたいから」である。
それは一人でやっても会社としては意味が無いので、一緒にお客様のことを考え続けてものづくりの現場でわちゃわちゃしていたかった。
それをもとめて転職をしたのだが、全然辿りつかない。
お客様という概念すらないところがその5社に共通していた。
せめてお客様の声が至上主義の会社様は無いものか、、と絶望感に引っ張られつつも泥船の沈没カウントダウンに焦り転職市場に出てみた。
すると、年齢的にありがたいことにお引き合いのチャンスもいただけた。
とはいえ、どこでも入れりゃいいということではない。相手の会社様にも結局は失礼になる。(それは自覚している。。)
これまでの5社とも入る前に分かればよかったのだけど、すりあわせる観点が足りなかったか、自分のやりたいことととフィールドが合っていなかったと思う。
(免罪符的に書いてしまうと、これまでの会社様は辞める時に強いお引き止めをいただいた。短い期間でもその会社様にとって変化量は出せたし、自分の職務経歴書に書けるものも残った)
さあここでラストチャンスよ、、と思うが、自分の経歴を出すと、やはり
・スタートアップ企業
・品質何していいかわからないのでお任せしたい
・組織づくりしてほしい
・マネジメントして欲しい
ばかりである。
カジュアル面談でお会いしてさりげに「方針」の勘所をお持ちかアプローチしてもやはり無さそうである。
辞めた4社、いまの会社も「お客様を大切に」を掲げていた。
けれど入ってみると誰もお客様に興味が無い。
興味が無いことがプロダクトにダメージを与えていることに誰も危機感を持っていない(特にハイレイヤーが)。
まずいぞこれまた転職が成功したとしても同じことになるぞ、、と焦り始めた
○ 楽しいこと×できること
マネジメントと名のつくものはすべて分厚い経歴をお持ちのYさんは大手メーカー出身なので品質文化の大事さを熟知している。
Yさんと本当はお客様にとって大事なことは何かをすり合わせしつつ(もうすり合ってるけども)、この他人事とカタチだけのプレゼンスの集合体の会社で0.0001でもできることを一年半取り組んできた。
アウェイでしかない泥船の天守閣にも入ってくれたYさんだが、そんなYさんに泥船の危機感からとうとう転職の話をし始めた。
一年半助けてくれたYさんに転職を考え始めた話をするのは心苦しかったが、Yさんは「リスクヘッジとしていいと思います!」とからっと受け入れてくれた。
甘えもひどいところだ、、と思いつつ自分の悩みを打ち明けると、即座にYさんはこういう方がcrabさんは合っていると提案してくれた
・さんざんQAエンジニアをやってきて品質は上流からということで企画職をやらせてもらえるところ
・メーカー様の子会社様であるような、
「これを作ってみたけど何に使って良いかわからない、どんな利用方法があるか、使いながら考えてみて」という仕事
のアイデアをくれた。
どちらもワクワクする。特に後者の方。
企画ももちろんやりたいけどもおそらく企画からやったと言えるのは職務経歴上2本だけだから、企画職の応募は難しそう。
からのメーカー様のフィージビリティテストみたいな仕事、まさしく自分にピンポイントで合っているが、何のキーワードで調べたら良いのだろう…
QAエンジニアという求人の枠組みでは無さそうだ。
研究室のエンジニアの方とか企画の方とかが兼務でなさってそうだが、、
エージェントの方に相談してみるが、そのニーズに辿り着くのが難しそうだ。
QAエンジニアの転職支援のご経験値もエージェント様に少ないそう。
なので、転職活動をしながら、同時にエージェントさんに相談されるので、エージェント様、企業様にとってどういう求人アプローチをすればよいのか、自分なりの経験値でアドバイスさせていただいている。
そもそも、ありあまる経験値を誰かにあげたいのだけど(あげたいものがいっぱいあるのだけど)、お客様に興味のない会社だったがゆえ、もらってくれる(喜んでくれる)相手が居なかったのだ。
というわけで、次の船は長く共に航海したい。
同じ船の方にもお喜びいただいて、自分らしい状態(楽しいという言葉はお金をいただくので使えないけれども、経験値、特性的に自然にできることで)でいられるところが良い。
なのでマッチ度が重要になってくる。
心情的には仲間とわちゃわちゃ船旅がしたいだけ。
仕事的にはどの状況でも変化量を出せるしありがたいことに経験値からたくさんの引き出しがある。
あげたいもの、もらって嬉しいもののマッチを祈るような気持ちである。
🦀🦀
こんな仕事、こんなキーワードがあるよ!と情報をお寄せ下さいますと嬉しいです🦀
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