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pool$ide「hydrate」にコメントを寄せてインタビューしました

兵庫のビートメイカー、pool$ideがリリースしたアルバム「hydrate」にコメントを寄せました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできるほか、CDがAmazonTOWER RECORDSなどで購入できます。

ヒップホップリスナーはしばしば「フレッシュ」という言葉を好むが、本作はその言葉がよく似合う作品だ。例えば、アボカドでもなんでもいいからフレッシュなフルーツを想像してみてほしい。そこにはきっと水滴がついているのではないだろうか。ここでpool$ideが聴かせる音楽は、そんな「水」に関連するイメージが凝縮されている。ヒップホップやエレクトロニカ、ジャージークラブ・・・など多彩な要素が溶け込み心地良く流れていくサウンド。客演に迎えたラッパー二人も、水を得た魚のように輝いている。ラストに配置された四人によるリミックスも、氷や蒸気などに姿を変える水の多様な性質を表しているかのようだ。この瑞々しい作品が多くの人に届き、pool$ideのもとにお金の雨が降ることを願う。


1. soak(intro)
2. hydrate Feat. hyunis1000
3. doggy paddle
4. ULTRA ACTION WATER
5. water dragon
6. shui-shun Feat. Lil Soft Tennis
7. I am water
8. hydrate (Adiem Ouskyer Reyskuo remix)
9. ULTRA ACTION WATER (UMrooms remix)
10. shui-shun (Yille remix)
11. water dragon (Tsudio Studio remix)


あわせてpool$ideにインタビューも行いました。

ジャケ

アボかど:まず軽くプロフィール的なことから聞きたいんですけど。pool$ideとして活動を始めたのはいつからなんですか?

pool$de:アボかどさんにもブログで書いてもらった、「swim EP」っていう作品があるんですけど。あれを出す半年前くらいにpool$ideって名前で始めました。

ア:その前からビートは作っていたんですか?

p:その前はエレクトロニカみたいなのとか、ポストロックみたいなのを作っていました。

ア:じゃあ、ビートメイク自体は前からやっていたんですね。いつから始めたんですか?

p:高校生の時ですかね。元々バンドをやろうしていたんですよ。メンバー募集サイトで募集をかける時に、「こういうのやりたい」ってイメージを曲にして出した方が引っかかるかなと思って作りました。でも全然引っかからなかったので一人でやっています(笑)。

ア:そうなんですね!勝手なイメージなんですけど、バンドをやっていてDTMに流れていったのだと思っていました。

p:コピバンとかはやってたんですよ。オリジナルでやるのは一回もやったことがなくて。

ア:バンドやっていた時は何を担当していたんですか?

p:ベースですね。

ア:ちなみにベーシストとして影響を受けた人は誰ですか?

p:Red Hot Chilli PeppersのFleaですね。一番影響を受けました。

ア:メンバー募集サイトに上げた音源はAbelton Liveか何かで作ったんですか?

p:最初はDTMっていうより、多重録音みたいな感じでした。フリーソフトのSoundEngineを使ってドラムを打ち込んで、ギターとベースを弾いて作っていました。

ア:ギターも弾けるんですね。

p:一応弾けます。

ア:今作っているビートにも、生で弾いている音も入っているんですか?

p:今は入っていないですね。後々やりたいとは思っているんですけど、なかなかうまくいかなくて。試行錯誤中です。

ア:ビートを作る時はどこから始めますか?

p:コードから作る時もありますし、ドラムから作る時もありますね。うまくいった方からどんどん重ねていくみたいな。

ア:ポストロックを前作っていたとのことですが、そういう活動が今やっていることに繋がっていると感じることはありますか?

p:フューチャーベースっぽい音を軸に、浮遊感を加えるのにはポストロックやエレクトロニカの影響はあるかもしれないですね。

ア:エレクトロニック・ミュージックというか、今やっている音楽と繋がるような音楽との出会いはなんですか?

p:FleaもメンバーだったAtoms for Peaceです。あれはバンドなんですけど電子音楽っぽい、Radioheadみたいなアプローチが入っていて。そこから電子音楽を知っていきました。Thom Yorkeのソロアルバムが初期衝動かもしれないです。

ア:(pool$ideが所属するコレクティヴの)Auto Save Collectiveはどうやって結成されたんですか?

p:バンドのメンバー募集の時に、ドラマーとしてYilleと出会ったんです。オリジナル作るのは上手く行かなかったんですけど、友達として関係は続いていて。そしてYilleの大学の友達にAdiem Ouskyer Reyskuoがいて。意気投合して始めました。

ア:メンバー募集で引っかかった人が、違う形になったんですね。Local Visions入りのきっかけはなんだったんですか?

p:「swim EP」を出したくらいから、(Local Visions主催の)捨てアカさんとTwitterで相互フォローだったんです。結構聴いていただいていたみたいで、そこからですね。

ア:なるほど。最初から「swim」ですし、pool$ideの活動は水をテーマにしているじゃないですか。なんで水なんですか?

p:たまたま、pool$ideで一番最初に作った曲が水っぽい曲になったんですよ。「swim EP」にも入っている「pool」って曲なんですけど。あれきっかけかもしれないですね。

ア:そうなんですね!そこから名前も決めて?

p:そうですね。設定は後付けです(笑)。

ア:「$ide」を付けたのはなぜですか?

p:語呂が良かったので(笑)。

ア:影響を受けたアーティストとかっていますか?

p:ビートメイカーを始めてからは、Sad Boysみたいなクルーを神戸でやりたかったんですよ。Yung Leanとかがやっているような、ああいうふわふわしたのを作りたくて。

ア:ヒップホップからスタートしたんですね。

p:一番最初の作品はそっち方面の影響がデカいです。クラウドラップというか。二枚目以降は、Ryan HemsworthのレーベルのSecret SongsのTennysonとかGrynpyretからの影響がデカいですね。

ア:この流れで、史上最高のビートメイカーを5人挙げていただきたいのですが。

p:まずはMura Masa。Cashmere Cat。TennysonとGrynpyret、そしてThom Yorkeですね。

ア:曲を作る時も、そういうアーティストを参照する時とかもあったりしますか?

p:結構ありますね。Tennysonとかは。

ア:「swim EP」のジャケットはヴェイパーウェイヴっぽさがありますよね。「vaporizer」って曲も入っていますが、ヴェイパーウェイヴの影響はありますか?

p:視覚的には影響を受けているかもしれないです。アートワークとか。

ア:クラウドラップやヴェイパーウェイヴは混ざっている感じがありますよね。

p:それこそYung LeanもそういうMVがありますよね。その影響は大きいかもしれないです。

ア:新しいアルバムについて聞きます。今回はコンセプトが「水と混ざり合い、アルバムが進むたびに聴く人が水と一体化する感覚になる」というものでしたが、コンセプトを立てて作ったのは今回が初になるんですか?

p:そうですね。「swim EP」や「aquarius」とかはできたものをじゃんじゃん入れていくって感じだったんですけど、テーマに沿って作るのは今回が初めてです。Mura Masaの「Soundtrack to a Death」というアルバムがあるのですが、それが世界観みたいなのがしっかりとあって。そういう感じにしたいと思ったんですよね。

ア:「水と一体化する」に決めたのはなぜですか?

p:曲名やアルバムタイトル決める時に、水に関する英語をGoogleで調べるんですよ。それでたまたま「hydrate」という単語が出てきて、いいなと思って決めました(笑)。

ア:Googleで検索するの面白いですね(笑)。今までの作品だと水に関係する言葉が出てきても、「water」という直接的な言葉は避けていたイメージがあったんですよ。ですが、今回は「water」という言葉をよく使っているじゃないですか。ここに来て解禁した理由ってあるんですか?

p:たまたまですね(笑)。「ULTRA ACTION WATER」って曲があるじゃないですか。90年代に流行った「スポーン」っていうフィギュアがあるんですけど、それに「ULTRA ACTION FIGURE」って書いてあるんですよ。それをもじって「ULTRA ACTION WATER」にしたら、ダサ格好良いかなと思って付けました(笑)。

ア:「ULTRA ACTION WATER」はヤバいですね(笑)。私は曲名だと「water dragon」が好きです。タイトルの力が強すぎる(笑)。

p:絶妙にダサいタイトル付けるのにハマってて(笑)。

ア:この曲はLocal Visionsのコンピ「Oneironaut」にも入っていましたよね。

p:今回のアルバムの雰囲気の軸は「water dragon」ですね。これを中心に作った感じがあります。

ア:この曲は2019年には出ていた曲ですが、アルバムの制作自体もそのぐらいから始めたんですか?

p:そうですね。ゆっくり作りました。

ア:苦労した曲とかってありますか?

p:タイトル曲の「hydrate」ですね。展開が多くて作るのに時間がかかりました。

ア:あれわけわかんないビートでしたもんね。今回、新しく挑戦をしたことってありますか?

p:フィーチャリングは今まであまりやってこなかったので、新しい試みでした。

ア:そうですよね。「swim EP」で一曲入っていたくらいで。今回客演に迎えたこの二人の人選はどういう理由で?

p:hyun君(hyunis1000)とは、ずっと一緒に曲やりたいとは言ってたんですよ。それがタイミング合った形ですね。Lil Soft Tennis君は、Mikikiのインタビューで「一緒にやりたい人」として名前を挙げてくれてて。それで誘ってみたら、めっちゃ最高のものができました。

ア:あれヤバいですよね!客演を入れた曲は、先にビートができて合いそうな時に投げた形なんですか?それとも一緒に話し合いながら?

p:合いそうなビートができた時に投げた形ですね。

ア:そうなんですか!あのビートができた時にLil Soft Tennisに合いそうだと思ったんですね。今後一緒にやってみたいアーティストっていますか?

p:NSPのness君ですね。あとはYNG JOE$さん。あの方はTwitterのアカウント名が「YNG JOE$ 水」って書いているんですよ。水から影響を受けているってことで、すごい親近感が湧いてて(笑)。一緒にやってみたいです。

ア:水と関係ある人はやっぱり気になります?Frank Oceanとか(笑)。

p:最高ですね(笑)。

ア:コンセプトについてもうちょっとお聞きします。今回は「進むたびに聴く人が水と一体化する」とのことですが、これは7曲目の「I am water」で水になるよっていうことなんですか?

p:そうですね。水になります。

ア:その後のリミックスはボーナストラック的な?

p:そういう感じですね。

ア:あのリミックスは、それぞれ「この曲はこの人に合いそう」と思って投げたんですか?それとも人にやりたい曲を選んでもらった形?

p:どっちもですね。進行しながら、「今作ってる曲はこの人に頼もう」って浮かんだりしました。

ア:そもそもリミックスを入れようと思った理由は?

p:Auto Save CollectiveにYilleが半年くらい前に入ったんですよ。それでちょうどいいタイミングだと思ったんですよね。あと、毎回Auto Save Collectiveのメンバーがリリースする時には、リミックスを提供し合うのをずっと必ずやっていて。それで三人はやってもらおうと思いました。Tsudio Studioさんは、「water dragon」はLocal Visionsから出したのでやってもらおうかなと思って。

ア:なるほど。ラストのリミックスの流れは個人的にも好きでした。マイクリレーのビートメイカー版みたいな趣があるというか・・・。最後に、今後の予定を教えてください。

p:3月14日(日)に大阪のSocore Factoryでリリースパーティをやる予定です。今回のアルバムに参加してくれた人が全員出演します。詳しくはAuto Save CollectiveのTwitterをご覧ください。


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