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B2B Playlist (with audiot909)

茨城でアマピアノを中心にプレイ・制作するDJ兼プロデューサー、audiot909と一緒にプレイリストを作りました。交互に一曲ずつ選曲した全20曲です。

プレイリスト制作中のやりとりを掲載します。(a)がaudiot909選曲、(ア)がアボかど選曲です。


1. Kabza De Small, DJ Maphorisa & TRESOR「Stimela」(a)

audiot909:一曲目は「アマピアノの王」Kabza De Smallとその相方DJ Maohorisa、同じく南アフリカに住むコンゴ出身のシンガーのTRESORによる超話題作から。Kabza De SmallとDJ Maphorisaは、二人でScorpion Kingsというプロデューサーチームとして活動しています。

アボかど:ウオ〜くそかっこいい…!歌い方に少しSadeに通じるものを感じますね。思いっきり盛り上げるというより、じんわりと熱くさせてくれるようなビートも素晴らしいです。


2. Zion I「DJ DJ」(ア)

ア:自分も入れました。先日コロナで亡くなったBaba ZumbiというラッパーがやっていたZion Iというユニットの曲です。追悼も込めて。

a:おっ良いですね〜。聴いて5秒で反応しました、今。パーカッションが鳴り響くイントロからシンセの派手なリフが入ってきてそう来たか!と(笑)。

ア:これカオスな展開と最後のやたら渋い謎ベースソロが好きで、10年以上経った今もずっと印象に残ってます(笑)。


3. Beyoncé「MY POWER Feat. Busiswa, Moonchild Sanelly, Nija, Tierra Whack & Yemi Alade」(a)

a:Beyoncéは南アフリカでもすごく人気があるらしく、そんな彼女が南アのトップアーティストを呼んで作ったGqomです。フィーチャリングアーティストが多いのが南ア流で、ちょっと見切れちゃってますがとても豪華です。全員知っているわけではないのですが、女帝Busiswa(2分45秒からの熱唱が超カッコいい!)やMoonchild Sanelly、そしてGqomのパイオニアDJ Lagが参加していてBeyoncéの南アフリカでの人気が伺えます。お互い本気度がすごい。

ア:アメリカからはTierra Whackも参加していますね。曲はかなり南ア寄りですが、そんな中でアメリカ勢は合わせすぎることもなくありのままなのが素晴らしいです。コラボの妙ってこういうところかも。


4. Guapdad 4000 & !llmind「She Wanna Feat. P-Lo」(ア)

ア:フィリピン系アメリカ人が3人集まった曲です。これが入ったアルバムのレビューも以前書いています。

a:へーこれアメリカなんですね。かなり良い塩梅のグルーヴです。めちゃくちゃカッコいい。

ア:多分これのオマージュだと思うんですけど、絞った音数でグルーヴ出してておもしろいですよね〜。

a:あーーーなるほど、確かに発想はここから来てるかもですね。どっちも無限に聴いていられる。

ア:癖になりますよね!「She Wanna」のビート作ったP-LoがAgainst The Clockに出た回があるんですが、これもめちゃくちゃ良い回なのでお時間のある時にぜひ!

a:これは勉強になるやつだ。ありがとうございます!


5. Riky Rick「UNGAZINCISHI Feat. Focalistic & Tyler ICU」(a)

a:この流れで「808s & Log Drums」に入ってるスローでドープなアマピアノ入れときました。

ア:お、噂のFocalisticですね。

a:Focalisticメインではないので出てくるのが2分33秒からですが(笑)。一個前のアボかどさんの曲から聴くと良い感じかなと。

ア:最高でした!こういうラップがメインのアマピアノはヒップホップ者にもすんなり入ってきますね。

a:おお、刺さって良かった…。めっちゃ好きだけどちょっと人を選ぶか?と思ってたので。


6. Chingo Bling「Like This N Like That」(ア)

ア:Chingo Blingというテキサスのコメディアンもやっているラッパーが2007年に出した曲です。

a:これコメディアンなんですね、全然そんな感じしない…。

ア:Chingo Blingはふざけた側面もあるんですけど、コンシャスな路線もいけるタイプの人でこれはシリアスモードですね。地元のストリートなところと繋がっていて、これが入っているアルバムはビート作ってるのもそっち人脈なので普通にかっこいいんですよね。

a:ほー意外だ。音だけ聴くとコンシャスな人のだと思ってました。ちなみにですけどやっぱりこれぐらいのテンポのアマピアノの方が刺さりますか?確かに言われてみて気づいたのですが、遅いやつの方がアボかどさんの曲とスムーズに繋がってる気がするんですよね。

ア:流れにもよるんですけど、遅めのアマピアノの方がすんなりと聴ける感じはありますね!


7. K.O.「K:HOVA」(a)

a:なるほど。ではもう一曲試しにヒップホップファンに受けそうだと思うスローなやつを入れてみました。

ア:これはやばい!一発で好きになりました!こういうのが刺さるアメリカのヒップホップファンも多いんじゃないかと思います。

a:やったー!ここら辺が刺さるというのは大きな発見です。


8. Slim 400「Fake Shit Feat. J. Stalin & Lil Blood」(ア)

ア:ちょっと哀愁入ったの来たので哀愁で返します!これは以前レビューも書いたアルバムに入っている曲ですね。

a:あーこれはかなり良いです!返し方がスムーズなのと、スローなアマピアノはこういったところから影響があるはずと如実に感じられて素晴らしいです。


9. Kabza De Small, DJ Maphorisa & Mi Casa「W.H.Y」(a)

a:メロウな流れで本来のアマピアノのBPMのトラックを入れてみました。かつUSのヒップホップやR&Bファンが好きそうなのはここら辺かなというやつです。

ア:いい流れになりましたね!そしてこれめちゃくちゃいいです…。オートチューンとアマピアノって合うんですね。返し悩みます!(笑)


10. Usher「Burn」(ア)

ア:これまでヒップホップだったのでベタなR&Bヒットを入れてみました!アメリカだけではなくイギリスやニュージーランドでも大ヒットした曲です。

a:おお、Usher!そうそう、こういうところが全然分からなくて自分の選んだ曲からこう繋がるのか…という新鮮な驚きがあります。


11. Black Coffee「LaLaLa Feat. Usher」(a)

a:Usher返しということで、南アフリカのハウスプロデューサー/DJ、Black CoffeeがUsherをフィーチャーした曲を入れときました!Black Coffeeはアフロハウス好きな人には有名なのですが、それ以上に南アフリカでは国民的ヒーローという扱いらしいです。国民全体にハウスが愛されているということらしく夢があるなと。

ア:これは最高なやつですね!そしてハウスが国民的スターなのやばい…。

a:ハウス好きの間だとけっこう有名な人なのですが、それ以外の人には意外と知られてないかもなと思い選びました。かなり著名なアーティストとコラボしています。Diplo、Pharrell、Drake、Jorja Smith、David Guettaなどですね。

ア:どっかで名前見たことあると思ったんですけど、こう並べると錚々たる面々ですね…!

a:Drakeのこのアルバムがどれぐらい有名なのか分からないのですがしれっとアルバムに入っています。これはめちゃくちゃ好きですね。


12. Ne-Yo「Closer」(ア)

ア:ハウス繋がりでNe-Yoのハウスっぽいヒット曲を入れました〜。

a:良い!!(デカい声)

ア:これ最高ですよね!

a:やっぱりハウスは無条件にアガってしまいます(笑)。これ誰が作ったのかな…。

ア:プロデューサーはStarGateって人たちです。ノルウェー出身でアメリカ拠点の二人組ですね。

a:StarGateってヒップホップ/R&Bのプロデューサーチームなんですね。ハウス作るの上手い…。


13. Vigro Deep「Blue Monday Feat. Focalistic」(a)

a:ちょっと話が繋がっているのかというと微妙ですが、仮にこれから南アフリカのアマピアノが海外に広がっていくとして、例えばDrakeがこのビート渡されたらどういう風にラップするだろうかとかはすごく気になっています。逆にFocalisticがNe-Yoの客演で呼ばれたらめちゃくちゃ面白いなと。そういうものが見たい、聴きたいという思いで入れました。

ア:ビートをメインに聴かせるような曲なのが興味深いですね。Drakeは本当にアマピアノやりそうな雰囲気ありますからね〜。Ne-YoとFocalisticとの曲はめちゃくちゃ聴いてみたいですね…!


14. Drake「One Dance Feat. WizKid & Kyla」(ア)

ア:ということで、予想も込めて西アのWizkidとDrakeの共演曲を入れました!

a:Drakeは本当にフットワークが軽いですね、嗅覚が半端ないのか。

ア:カナダ人ってことでアメリカとは違うヒップホップを模索してるのかもしれないですね。

a:そしてWizKidもかなり色んなところに顔出す人ですね。実は恥ずかしながら去年までナイジェリアのシンガーと知らなかった上に、なんか名前は聞いたことあるなぐらいの認識でした。


15. Kabza De Small「Sponono Feat. WizKid, Burna Boy, Cassper Nyovest & Madumane」(a)

a:そして自分はこれでWizKidを知りましたという曲を入れました。南アフリカのトッププロデューサー達と、ナイジェリアのトップシンガー達が組んだ総力戦曲ですね。これは去年アマピアノというフィールドを超えてアフリカで大ヒットしたのと、日本でもラジオでプレイされてる方がいたみたいです。すごくメロウでキャッチーだし、R&Bのような感覚で聴けるのかもしれません。

ア:この曲いいですね…あまりバキバキじゃなくてオーガニックな感触だったり、たしかにR&Bに通じるところもありますね。


16. Musiq Soulchild「Just Friends (Sunny)」(ア)

ア:近い感触のネオソウル系ヒット曲を入れました~。

a:えーー!これはめっちゃ良いですね。クラップとベースとローズの上品さがすごく良い…。これってD'angelo周辺と関係あったりしますか?

ア:フィラデルフィアの人でThe Rootsとかと絡みあるので、人脈的には近いですね!

a:ここら辺全然知らないんですけど、本当にめちゃくちゃツボなことに今気付きました(笑)。自分の選んだ曲に対してR&Bやソウルが返ってきたということがすごく興味深いです。あまり自分の中で結びついていなかったので。

ア:そういう予想してない面白さが今回の醍醐味ですね…!

a:ところでお気づきでしょうか、自分の選んだ音楽の8曲中3曲にKabza De Smallという名が入っていることに。そして今とっさに選びそうになった曲もカブザの名前が入ってました…。

ア:通しで聴いてみてKabza De Small何曲か入ってるな〜と思ってました!(笑)。全部やばいですね…まさにキング。

a:次の曲が決まった!と思ったらまたKabza De Smallって書いてました。去年アマピアノがさらに盛り上がってた時期に「I Am the King of Amapiano: Sweet & Dust」というタイトルのアルバムを出したのが結構象徴的だなと。このゲームのテッペンだぞと唱えても誰からも(知る限りで)文句を言われてなかったので。

ア:そういう人マジかっこいいですね…公認キング…。


17. DJ Stokie「Drive Feat. Howard Gomba」(a)

a:派手な展開はないけど、すごくメロウでアマピアノ特有のずっと続くグルーヴを体現しているトラックです。途中コード楽器が省かれるところがすごく斬新でリズムの組み方も抜群にカッコいい曲です。これはちょっと南アフリカからしか出てこない曲だと思っています。ちなみに最初このアルバムの一曲目を入れようとしたのですがKabza De Smallが参加していたのでやめました(笑)。その次に思い付いた曲もKabza De Smallが参加していて、本人名義以外のトラックにも色んなところに顔出してアンセムを作りまくっているという人です。

ア:Kabza De Smallめちゃ強いですね(笑)。ヒップホップでいうところのFutureとかに近い感じでしょうか?そしてこれはやばい…!しっくりくるメロウネスがありつつ南アならではで、今までで一番好きかもしれないです!

a:Futureってそんなに人気なんですね。この曲めっちゃ好きです。

ア:Futureはかなり人気あると思いますよー! めちゃくちゃ色々なところに出てきます。

a:なるほど。これは南アならではだと思うのですが、アマピアノはスタープロデューサーと呼ぶべき人がたくさんいるんですよね。もちろんラッパーやシンガーで人気な人もいるのですが、割とプロデューサー主導のヒット曲が多いのでそこも結構独特かもしれません。アマピアノの場合、日本だと特定のアーティストがまだそこまで知られているというわけではないので、ここで紹介したものが定着すれば良いなと思います。

ア:その辺はハウス人気が高い南アならではって感じがしますね。アマピアノに興味はあるけどプレイリストを漁ってるだけみたいな人(要は自分のことなんですけど…)多いと思うので、いい感じに定着するといいですね!

a:あとこの曲の「ずっと続くグルーヴ」と「軽さ」は南アフリカのアマピアノの隠れた特徴ですね.。ここら辺は海外のプロデューサーから見逃されがちだったりするので、それがうまく伝わって良かったです。


18. Teyana Taylor「Boomin Feat. Missy Elliott & Future」(ア)

ア:Futureの話が出たのでFuture絡みの曲を。Teyana TaylorはKanye WestのレーベルにいるR&Bシンガーですね。これはTimbalandも絡んでます!

ア:うーーんこれはトラックの見事さにまず耳がいきますね。ベースのドンという音がすごくファットで最高だなと。ドラムの音も最高だし、このトラックにこのハスキーな声のこのシンガーはすごく合いますね。これもちょっとアルバム全体を聴きたいです。このテンポのトラップにしては曲が長い感じがするのでそこもまた好きです。

ア:ビートやばすぎますよね… 曲長めですよね。今の時代には珍しい。これアルバム全体ありえんくらい良いのでぜひ!レビューも書いてます!(笑)。

a:やっぱりTimbalandってすげえんだなぁと(笑)。あとアルバムのクレジット見ると錚々たるフィーチャリングアーティストの中にDaVidoが入ってて「おっ」となりました。

ア:DaVidoはこっち方面でもけっこう客演多いんですよね。不思議です。


19. Sha Sha「Abondaba Feat. Samthing Soweto」(a)

a:そういえば女性ボーカルものあまり入れてなかったな…と思い出して南アのアマピアノの歌姫Sha Shaの曲です。良い曲多すぎてどれにしたものかと思いましたが自分もDJで使うことがあるこれを。色んなジャンルにハメられる優秀なトラックだと思います。これが入っているのは2019年に大ヒットしたEPなのですが、後半がアマピアノ色の強い曲が集まっていてそこの曲が高く評価されました。そこで名前が出てくるのがKabza De Smallです。怪物か?

ア:これは歌モノとしてめちゃいい曲ですね!Gラップ好きとしてはスクリュー声をチラっと入れてくるのにも反応してしまいます(笑)。そしてKabza De Small強すぎる…。


20. Birdman「STUNNAMAN with Roddy Ricch & Lil Wayne」(ア)

ア:ラスト一曲入れました。社長ラッパーのBirdmanが、今めちゃくちゃ人気があるRoddy Ricchと元所属アーティストのLil Wayneをフィーチャーした曲です!Birdmanは社長にしてはマシなほうなんですけど、この二人に挟まれるとやっぱ見劣りします(笑)。

a:前後二人が自分でも分かるぐらいスキルなり個性があるので確かにキツそうですね(笑)。

ア:まぁ自分のヴァースよりも豪華客演が社長の強みということで(笑)。締めなので哀愁系、あと今年の曲で締めたかったのでこの曲を選びました。


総評(アボかど)

昨年の年末にアマピアノと出会い、そのメロウネスを備えたサウンドが気になり始めて8ヶ月。何かレビューを書いてみたい気持ちを抱きつつも、なんとなく記事を読みつつプレイリストを漁るだけの状態が続いていました。そんな中、先日Jorja SmithがガーナのGuiltyBeatzとのコラボによるアマピアノ…というより南アのハウスを取り入れた曲「All of This」をアマピアノとしてリリース。その結果、「これはアマピアノではない」「なぜ南アのアーティストを起用しないのか」など、文化の盗用だとして批判を浴びるという出来事がありました。この一連の流れを見るうちに、自分の中で「この問題を自分の中で整理するためにも、アマピアノや南アのことをもっと理解しなければならない」という気持ちが芽生えました。
今回の企画はそこから生まれました。アマピアノや南アの音楽に精通しているaudiot909さんとB2Bのように交互に選曲をすることで、自分のようなヒップホップ/R&Bに親しむリスナーにも伝わりやすいアマピアノが出てくるのではないか。それをヒップホップ/R&Bリスナーに届けることで、南アの音楽への解像度を上げることができるのではないか。それが今回の趣旨です。プレイリストを制作するにあたり、私は「ヒップホップ/R&B」、audiot909さんは「南アの音楽」と軽い縛りを設けました。さらに「相手に聴かせたい曲」という視点も加え、流れを意識しつつ10曲ずつ選んで出来上がったのが今回のプレイリストです。
audiot909さんはDJや執筆だけではなくビート制作も行うので、刺激になるようなユニークなビートの曲をおすすめしたいと思いながら最初は選曲していました。それがZion I(R.I.P. Baba Zumbi。大好きなラッパーでした)の怪曲「DJ DJ」や、Guapdad 4000 & !llmindによるスカスカな「She Wanna」などに繋がっています。しかし、アメリカのヒップホップと近い感覚で聴けるメロウなK.O「K:HOVA」が届いたあたりから、自分の中での方向性がより流れ優先に変わりました。その後に入れたSlim 400のメロウな「Fake Shit」への流れも上手く決まり、ここから息が合ってきたような感覚があります。以降は最初の方針では選ばなかったようなネオソウルなども自然と入っていきました。それをおもしろいものとして受け取ってもらえただけではなく、ヒップホップ/R&Bがアマピアノに与えた影響なども見えてきたのは今回の大きな収穫でした。
流れを意識して選曲するにあたり、アウトロから次の曲のイントロへの繋がりを何回も確認して唸り声を上げていました。そしてそれを繰り返しているうちに、アマピアノではイントロやアウトロでウワモノを抜いてリズムの骨組みだけになることが多くあるような印象を受けました。ヒップホップ/R&Bとの繋がりも見えてきましたが、この曲の構成からはやはりルーツはハウスであることを感じました。また、ヒップホップ/R&Bと交互に聴いていて気づきましたが、アマピアノにおけるラップや歌はビートの一部に組み込まれるような使い方が多いように思います。例えば13曲目のVigro Deep「Blue Monday」ではラップが乗らない余白も多く、次々と紡いでいくというより同じフレーズの反復が目立ちます。これはヒップホップ/R&Bではあまりない構成だと思います。ヒップホップ/R&Bがビートにラップや歌を「乗せる」丼物だとしたら、アマピアノはビートにラップや歌を「合わせる」炊き込みご飯といったところでしょうか。この考え方の違いもハウス由来のように思います。
今回特に印象的だった曲を挙げると、やはりK.O「K:HOVA」は大きかったです。曲名からしてJay-Zですが、アメリカのヒップホップとも共通する要素が多くかなりしっくり来ました。また、選曲中でも触れていますがDJ Stokie「Drive」も印象的でした。Gでこの曲名だと素晴らしいメロウなことが多いですが、そのイメージにも沿ったクールな曲でたまらなかったです。自分はどんなジャンルでもメロウなものが好きなんだな…と再確認しました。余談ですが、audiot909さんが暮らす茨城には「MELLOW」という名前の日本酒があり、新潟にも「ほんやらメロー」という名前の米焼酎があります。「MELLOW」はまだ飲んだことはありませんが、「ほんやらメロー」はけっこう好きです。メロウはどんな分野でも最高です。
閑話休題。曲ではなくアーティストとして特に印象に残ったのは、audiot909さんが強く推していたKabza De Smallです。3曲入ってやり取りの最中にも名前が出たこともありますが、最初の曲の時点で既にかなり持って行かれていました。アマピアノとしての魅力をキープしたままポップさも獲得したそのセンスは圧巻です。自らキングを名乗るところもT.I.やRun DMCといったヒップホップ勢に通じるものがあって惹かれます。きっとこれから名前を見る機会が増えるでしょう。
今後Jorja Smith(失敗しましたが…)に続いてアマピアノに接近するヒップホップ/R&Bのアーティストも恐らく出てくるのではないかと思います。ありえそうなのは選曲中でも触れたDrakeや、既に映画「Black Panther」のサウンドトラックで南アのYugen Blakrokと共演しているVince Staplesあたりでしょうか。どちらの分野とも接点がある、WizKidやBurna Boyといった西アのアフロビーツ系アーティストの作品での共演も考えられます。また、今回audiot909さんが選曲したBeyoncé「MY POWER」は映画「Lion King」のサウンドトラックの収録曲です。「Black Panther」や「Lion King」のようなアフリカに関係する映画のサウンドトラックで、アマピアノとアメリカのヒップホップ/R&Bのコラボレーションが生まれる可能性も高いと思います。これからどんな風にこのクロスオーバーが進んでいくのか、引き続きアマピアノ関連情報を追いつつ楽しみながら注目していきたいです。


総評(audiot909)

というわけで光栄なことにアボかどさんからお声がけいただき、B2Bプレイリストを一緒に作成させて頂きました。
選曲だけでなく曲についての解説や感想をお互いに述べることによって、新たな知見を広げることが出来てとても楽しかったです。
ただ一つだけ心残りがあります。
これだけは絶対に紹介しようと思っていた曲を忘れていたのです。
というわけで掟破りの21曲目です。
往生際が悪いとよく言われます。

「アマピアノで一番好きな曲は何か」と聞かれたら「これだけ素晴らしい曲が多い中選べるわけがない」と返すと見せかけて、実ははっきりとこの曲が一番好きだと言えるぐらい特別です。
そしてここでも燦然と輝くKabza De Smallのクレジット。
「いやそれお前がカブザ好きなだけだろ」と言われると反論出来ないのですが、今回アボかどさんに向けてヒップホップやR&Bのファンが好きそうな曲、かつ必ず刺さると思うものを選ぶと自然とここにたどり着いてしまうのです…。
いっそのこと開き直って、このKabza De Smallというプロデューサーについてもう少し書いてみようと思います。
数曲聴くだけでとても優れたプロデューサーであることはお分りいただけたと思うのですが、個人的に彼の最大の武器はシンプルで控えめなんだけど耳に入った瞬間掴まされる上品なコードを置くことが出来ることだと思っています。
南アフリカのトップトラックメイカーは皆このコードの置き方が抜群に上手いのですが一番好きなのはカブザの曲です。
このシンプルで上品、かつ耳に残るダンスミュージックに映えるコードというのは意外に難しく、これはもうセンスとしか言いようがないです。
もちろんそれだけではなく、ドラムパターンや音楽制作で基本的かつ非常に重要なミックスの巧さなど挙げるとキリがないのですが、さらに長くなるのでここでは割愛します。
今回の企画に臨むにあたって、カブザを特別推そうと思っていたわけではないのですが、アボかどさんと話しているうちに自然と頭の中で流れてくるのでやはりそこがキングたる所以なのかもしれません。
言ってしまえば中々特殊なフォーマットであるところのアマピアノが世界的にブレイクすることになったきっかけの一つは、彼とその相方DJ Maphorisaがアマピアノの持ち味を失わずにポピュラーミュージックとも呼べるレベルにまで昇華することが出来た、その非凡な才能によるところが大きいのかもしれません。
マポリサ(現地の読み方ではマフォリサよりマポリサの方が近いらしいです)の名誉のために書いておくと「I Am the King of Amapiano」の存在感があまりにも強すぎてカブザをメインに書いてしまいましたが、キャリア的には彼の方が先輩で共に素晴らしい才能を持つプロデューサーであることは付け加えておきたいです。
また、上記の「Love You Tonight」はMFR Soulsというアマピアノのパイオニアと呼ばれているユニットがメインで制作したもので、アマピアノが誰か一人の才能によって成り立っているものでもないということも書いておきます。
カブザについてもう少し書くのもいいのですが、せっかくのコラボということでアボかどさんが今回のやりとりで印象に残ったところを再度ピックアップしたいと思います。
色々あるのですが、15曲目の「Sponono」をR&Bのファンも気に入るのではないかと思い選んだのですが、それに対してアボかどさんがMusiq Soulchildの「Just Friends (Sunny)」が返ってきたところが印象に残っています。
「Sponono」自体がアンセムで色んな人に愛されている曲ですが、こういうところに繋がるのか…という新鮮な発見がありました。
今回のこの企画での最も大きな発見は、ヒップホップ/R&Bのファンの視線を踏まえて選曲すると間接的に影響を受けていそうな曲の傾向がうっすら見えてきたことです。
決して南アフリカだけで音楽をやっているわけではなく、様々なものと繋がった上でその素晴らしい才能の発揮に繋がったのだということに気づけました。
そして共通したバックボーンがあるならば、これから更に南アフリカのアーティストたちが活動のフィールドを広げられる可能性があるという意味でも捉えることが出来ると思います。
例えばErykah Badu Feat. Kabza De Smallという字面が実現したら最高だなと。
また、これは思いつきで書きますがコードを置くのが上手いのは上でも書きましたが、ネオソウルやR&Bを彼らが実は熱心に研究していてそれが曲のキャッチーさに繋がり色んな国の人に愛された要因だったりしたら興味深いですね。
ちょっとここら辺はまだ研究が必要なので断定はできないのですが、自分一人だと気づかない点だったので今回のコラボは良い発見がたくさんありました。
4曲目のP-Loのビート感がツボで5曲目のRiky Rickのスローなアマピアノを選んだのですが、ヒップホップファンにはこのBPMが刺さるのではないかと思っていたので新鮮なリアクションで良かったです。
それだけOkay Africaに掲載された「808s & Log Drums」という文章とプレイリストは新たな可能性に満ちたものだったということだと思います。
これと7曲目のK.Oの曲が好きな人はぜひ原文とプレイリストもチェックしてほしいです。
また他に好みだったのは18曲目のTeyana Taylorでしょうか。
声質とトラックのどこまでも沈んでいくようなフィーリングの相性が素晴らしいです。
あとこのキックとベースどうやって出してるんだろ…とかドラムの質感の付け方やコードの置き方など色々示唆に富んだトラックだと思います。
ネオソウルやR&Bは興味がありつつもほぼ知らなかったのですが、ここら辺を研究すると新たな気づきがありそうです。
最後に自分が選んだ曲についてですが、カブザだけをピックアップして少しアンフェアな気もしたのですが、アマピアノというジャンルの名前が日本でも定着した今、誰か一人だけ名前を覚えてもらうとしたら彼だろうということで途中からは少し意識的に多めに言及しました。
南アフリカには沢山の優れたプロデューサー達がいるのですがその中でもそれだけシンボリックな人だと理解してもらえば幸いです。
ただもちろん、カブザだけ聴けばいいというものでもなく、南アフリカには信じらないぐらいレベルの高いプロデューサーがたくさんいます。
彼らもいつか紹介出来たらと思います。
それはまたの機会ということで。
アボかどさん今回は非常に楽しい時間をありがとうございました!
またぜひ何かやりましょう。
読んでくださった皆様もありがとうございました!
他にも色んなところでAmapianoについて書いてるので良かったらそちらもチェックしてみてください。



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