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Killer Mike年表

アトランタのラッパー、Killer Mikeが先日リリースしたアルバム「MICHAEL」のレビューをTURNに寄稿しました。

私とKiller Mikeの音楽との出会いからどう接してきたのかを振り返りつつ、今回のアルバムの参加アーティストやサウンドを論じるものになっています。

Killer Mikeは近年はEl-PとのユニットのRun the Jewelsでの活動で広く知られていますが、それ以前からDungeon Familyなどで活躍していた長いキャリアを持つラッパーです。そこで今回はその歩みを音楽面に注目して振り返る年表を作成しました。レビューとあわせて是非。


1975年

・警察官の父と花屋の母のもと、アトランタで誕生。当時両親はまだ10代だったため祖父母の家で育つ。「俺は南部訛りだけど、祖母が教育に関してとても厳しかったから緩和されているんだ」と本人談


1989年

Geto Boysが2ndアルバム「Grip It! On That Other Level」をリリース。Killer Mikeが影響を受けたと話すScarfaceがシーンに登場


1990年

・Killer Mikeが影響を語るIce Cubeがアルバム「AmeriKKKa's Most Wanted」でソロデビュー


1995年

モアハウス大学に進学。在学中にプロデューサーデュオのThe Beat BulliesBig Boiと知り合う


2000年

Outkastのアルバム「Stankonia」収録の「Snappin' & Trappin'」に客演

・映画「Backstage」のサウンドトラックに収録されたOutkast「Funkanella」に客演。サウンドトラックはDJ Clue?制作でRoc-A-Fellaからのリリース


2001年

・Dungeon Familyのアルバム「Even In Darkness」がリリース

・Outkastのベスト盤「Big Boi and Dre Present... Outkast」からの先行シングル「The Whole World」に客演


2002年

・Outkastをフィーチャーしたソロデビューシングル「Akshon (Yeah!)」をリリース

・映画「Scooby-Do」のサウンドトラックに収録されたOutkast「Land of a Million Drums」に客演

Jay-Zのアルバム「The Blueprint 2: The Gift & the Curse」収録の「Poppin' Tags」に客演


2003年

・1stソロアルバム「Monster」をリリース

・Outkastのアルバム「Speakerboxxx/The Love Below」収録の2曲に客演

Bone Crusherのシングル「Never Scared」に客演


2004年

・自身のレーベル、Grind Time Officialからミックステープ「Dat Crack」をリリース

Paul Wallのアルバム「Chick Magnet」収録の「Dat's What Dat Is」に客演


2005年

・ミックステープ「The Killer」をリリース

・Big Boiを中心としたスーパーグループ、Purple Ribbon All-Starsのアルバム「Got Purp? Vol. 2」に参加。グループにはJanelle Monáeも在籍

Gucci Maneのアルバム「Trap House」収録の「Black Tee」に客演

Chamilliaireのアルバム「Sound of the Revenge」収録の「Southern Takeover」に客演


2006年

・2ndアルバム「I Pledge Allegiance to the Grind」をリリース

・Purple Ribbon All-StarsのBubba Sparksのアルバム「The Charm」収録の「Claremont Lounge」に客演

・Outkastのアルバム「Idlewild」収録の「In Your Dreams」に客演


2008年

・3rdアルバム「I Pledge Allegiance to the Grind II」をリリース。各種メディアで高評価を集める

T.I.のレーベル、Grand Hustleと契約

Trinaのアルバム「Still Da Baddest」収録の「Look Back At Me」に客演


2009年

・Grind Time Officialからコンピレーション「Underground Atlanta」をリリース

・Grind Time Officialから発展したコレクティヴ、Grind Time Rap Gang所属ラッパーのPillがミックステープ「4180: The Prescription」をリリース。収録曲「The Work's Hard」にはKiller Mikeも客演。高い評価を集める

・Grand Hustleのレーベルメイト、B.o.B.のミックステープ「B.o.B. Vs. Bobby Ray」収録の「Say What You Want」に客演

Adult Swimが企画したアトランタヒップホップのリミックスアルバム「ATL RMX」がリリース。PillやCee-Lo GreenB.o.B.らの曲を収録。El-PがYoung Jeezy「I Got」のリミックスを制作


2010年

・T.I.のアルバム「No Mercy」収録の「That's What I Thought」に客演

・Pillのミックステープ「1140: The Overdose」収録の「Westsiders」に客演


2011年

・アルバム「PL3DGE」をGrand Hustleからリリース

・ミックステープ「BANGx3」をリリース

Cartoon Networkのエグゼクティブ、Jason DeMarcoからの紹介でEl-Pと知り合う


2012年

・El-Pが全曲をプロデュースしたソロアルバム「R.A.P. Music」をリリース

・El-Pのソロアルバム「Cancer 4 Cure」収録の「Tougher Colder Killer」に客演

・Big Boiのアルバム「Vicious Lies and Dangerous Rumors」収録の「Thom Pettie」に客演


2013年

・El-Pと共にRun the Jewelsを結成し、アルバム「Run the Jewels」Fool's Goldからリリース

Flumeのアルバム「Flume」のデラックスエディションに収録の「Insane」に客演

Yelawolfのアルバム「Trunk Muzik Returns」収録の「Rhyme Room」に客演


2014年

・Run the Jewelsの2ndアルバム「Run the Jewels 2」Mass Appeal Recordsからリリース

PRhymeのアルバム「PRhyme」収録の「Undergroud Kings」に客演


2015年

・Run the Jewelsのリミックスアルバム「Meow the Jewels」をリリース


2016年

・Run the Jewelsのアルバム「Run the Jewels 3」をリリース

DJ Shadowのアルバム「The Mountain Will Fall」収録の「Nobody Speak」に客演

・映画「The Birth of a Nation」のサウンドトラックに収録されたSir the Baptist「The Birth of a Nation」に客演


2017年

・Big Boiのアルバム「Boomiverse」収録の2曲に客演

Statik Selektahのアルバム「8」収録の「Put Jewels On It」にRun the Jewelsで客演

・映画「Baby Driver」のサウンドトラックに収録されたDanger Mouse「Chase Me」Run the Jewelsで客演


2018年

・映画「Venom」のサウンドトラックにRun the Jewels「Let’s Go (The Royal We)」を提供

・Grind Time OfficialメンバーだったCuz Lightyearのアルバム「Blue Slime」収録の「Chiccen Talk」に客演。アルバムはMass Appeal Recordsからのリリース

Tom Morelloのアルバム「The Atlas Underground」収録の「Rabbit's Revenge」に客演

Bun Bのアルバム「Return of the Trill」収録の「Myself」にRun the Jewelsで客演

Lordeのシングル「Supercut」のEl-PによるリミックスにRun the Jewelsで客演

Bootsのアルバム「#DARKDAZE」収録の「Delete Delete」にRun the Jewelsで客演


2019年

Freddie Gibbs & Madlibのアルバム「Bandana」収録の「Palmolive」に客演

Danny Brownのアルバム「uknowhatimsayin¿」収録の「3 Tearz」にRun the Jewelsで客演

・DJ Shadowのアルバム「Our Pathetic Age」収録の「Kings & Queens」にRun the Jewelsで客演


2020年

・Run the Jewelsのアルバム「RTJ4」をリリース

・ゲーム「Cyberpunk 2077」にRun the Jewels「No Save Point」を提供

・T.I.のアルバム「The L.I.B.R.A.」収録の「How I Feel」に客演

Black Thoughtのアルバム「Streams Of Thought, Vol. 3: Cane & Able」収録の「Good Morning」に客演

Travis Barkerのシングル「Forever」にRun the Jewelsで客演


2021年

・Big Boi & Sleepy Brownのアルバム「Big Sleepover」収録の3曲に客演

・ゲーム「Madden NFL 22」にソロ曲「Yes!」を提供


2022年

・ソロシングル「Run」をリリース

・Run the Jewelsのリミックスアルバム「RTJ Cu4tro」をリリース

・映画「Aqua Teen Forever: Plantasm」にRun the Jewelsでオープニングテーマ曲を提供

Robert Glasperのアルバム「Black Radio III」収録の「Black Superhero」に客演

DJ PremierのEP「Hip Hop 50: Vol. 1」収録の「Terrible 2's」にRun the Jewelsで客演

・Danger Mouse & Black Thoughtのアルバム「Cheat Codes」収録の「Strangers」にRun the Jewelsで客演

Westside Gunnのアルバム「10」収録の「Switches On Everything」にRun the Jewelsで客演


2023年

・ソロアルバム「MICHAEL」をリリース


雑感

全てを拾ったわけではありませんが、こうして振り返ってみるとやはりRun the Jewels以降は活動領域が変わっているように思えます。それまではOutkast(というよりBig Boi?)周辺での活躍やGrand Hustle入り、Pillのフックアップなどアトランタに軸足を置いた活動を多く行っていましたが、Run the Jewels以降はそういった動きはかなり減少。反対にDJ PremierやFreddie Gibbs & Madlibといったブーンバップ方面の作品への客演が増加しています。

しかし、TURNのレビューでも書きましたがKiller Mikeは「MICHAEL」で再びアトランタ色強めな音楽性に回帰しました。今後Killer Mikeがどういう動きを見せていくのか、要注目です。

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