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M!KEE「HEY M!KEE THE ALBUM 2」全曲解説

東京のラッパー兼プロデューサーのM!KEEがリリースしたアルバム「HEY M!KEE THE ALBUM 2」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。

大分出身で東京を拠点に活動するラッパー兼プロデューサーのM!KEEは12月6日(水)、新作アルバム「HEY M!KEE THE ALBUM 2」をリリースする。

以前、mikE maTida(マイクマチダ)名義で活動していたM!KEEは、軽さと毒気のあるリリックや自在なスタイルをトレードマークにしてきたラッパー。2010年代前半にフリーダウンロード形式でのミックステープを精力的に発表し、KLOOZAKLOなどと共に注目を集めた。また、2013年にはSEEDA主催のミックステープ「CCG THE CHICAGO ALLIANCE」での楽曲公募コンテストで優勝。そのほかAmebreakの新人発掘企画「CO-SIGN」でもピックアップされるなど、アメリカでは現在「ブログ・エラ」と呼ばれている2007年頃から2012年頃の時期に国内シーンを彩った一人だ。さらに、ラッパーとしてだけではなくプロデューサーとしても活躍。KLOOZが2013年にリリースしたアルバム「DECORATON」や、L-VOKALの2022年のEP「STILL LAUGHIN'」などを手掛けている。近年のソロ活動としては2021年にアルバム「HEY M!KEE THE ALBUM」をリリースしているほか、シングルを精力的に発表。シングル「麻子」「XOXOXAY」はSpotifyの人気プレイリスト「+81 Connect」にも収録された。

今回リリースするアルバムは、ビートからミックス、マスタリングまで全てをM!KEE自身が手掛けた全16曲入りの作品。未来的なトラップやジャージードリルなど、多彩なスタイルを導入したものとなっている。M!KEEはこのサウンドについて「mikE maTidaとして活動していた当時のミックステープのような"全部入り"の感じを意識しつつ、全体に流れをつけてまとめました」と語っている。また、リリック面については「今まであまり触れてこなかった地元での薬物絡みの苦い思い出や、上京してからの音楽活動や失敗などパーソナルなことを歌詞にしました。ずっと日本のヒップホップと生きてきたからこその引用や小ネタも随所に散りばめています」と話しており、ラップ・サウンドと共にこれまでの活動の集大成と言える作品に仕上がっている。

客演にはTimpo da flippaSOISL-VOKALが参加。アートワークはTechichiが制作した。


1. WEEZY VIBES
2. TOKYOバナナ
3. A.I.T.I.-4
4. HOW
5. UNTOLD
6. K2MAKU¥EN (feat. Timpo da flippa)
7. Honaloochie Dream
8. T.C.D.G.B.2 (feat. SOIS)
9. ALI de KRGRS 
10. ムーンショット
11. NO YUP ~M!KEEの場合~
12. 麻子
13. XOXAXAY
14. 日常
15. すばらしい (feat. L-VOKAL)
16. あとがきFreestyle


また、リリースページ用の紹介文も担当しました。

「過去に色々出してきましたが、初めてアルバムらしいアルバムに仕上がりました。最近はラッパーが多いですけど、こういったアルバムを作れるラッパーは超少ないと思うんですよね。長年やってきたからこその熟成具合を味わってほしいです。そろそろ茎もパキッと折れる頃合いですw」。そう語るM!KEEのアルバム「HEY M!KEE THE ALBUM 2」は、ビートからミックス、マスタリングまで全てをM!KEE自身が手掛けた全16曲入りの作品だ。

サウンド面では未来的なトラップやジャージードリルなど、多彩な路線を導入。M!KEEはこのサウンドについて「mikE maTidaとして活動していた当時のミックステープのような"全部入り"の感じを意識しつつ、全体に流れをつけてまとめました」と語っている。また、リリック面については「今まであまり触れてこなかった地元での薬物絡みの苦い思い出や、上京してからの音楽活動や失敗などパーソナルなことを歌詞にしました。ずっと日本のヒップホップと生きてきたからこその引用や小ネタも随所に散りばめています」と話しており、ラップ・サウンドと共にこれまでの活動の集大成と言える作品に仕上がっている。

客演にはTimpo da flippa、SOIS、L-VOKALが参加。アートワークはTechichiが制作した。

全曲解説します。


1. WEEZY VIBES

太いベースが目立つトラップ。

2010年代前半の国内シーンについて知っている方ならグッとくるであろうリリックです。同時代のラッパーからの引用もあり。


2. TOKYOバナナ

ミニマルなシンセをループした曲。

トラップマナーの手数多めなドラムを使ったビートで、適度な軽さのあるラップを聴かせる曲です。途中のエレクトロニカっぽい展開も印象的。


3. A.I.T.I.-4

ハードなトラップ路線。

フックではオートチューンを使ってFuture的なフロウに挑んでいますが、ヴァースではそれとは異なる詰め込み気味のフロウなども披露しています。後半には妙にポップな歌も。


4. HOW

ジャージードリル要素を取り入れた曲。

全編がジャージークラブ/UKドリルのドラムパターンではなく、柔軟に変わっていく遊び心のあるビートです。自作自演派だからこその良さ。


5. UNTOLD

この曲もちょっとジャージークラブの要素があります。

ふうわりとしたシンセやレゲエのネタ使いが光る、ピースフルなムードの曲です。しかしリリックはそうピースフルではないのが見事。


6. K2MAKU¥EN (feat. Timpo da flippa)

先にリリースされていたシングルのリミックス的な曲。

原曲はフォンク系のビートでしたが、このバーションではちょっとラテンっぽい味のあるホーンが効いたものになっています。Timpo da flippaのクールなラップもばっちり。


7. Honaloochie Dream

浮遊感のあるシンセを使った曲。

Kid Cudiの某曲からの引用も交えて、メロディアスなラップを聴かせる曲です。ちょっと発声を変えて挑むフックもキャッチー。


8. T.C.D.G.B.2 (feat. SOIS)

UKドリル系のベースを用いたハードな曲。

ドラムは軽めで非ドリル的なパターンです。荒廃したムードのビートと生活感のあるリリックの組み合わせが見事。


9. ALI de KRGRS 

極太ベースで引っ張っていく曲。

使っている音色はブーンバップでありそうなものですが、全体的な印象としてはそれとは異なるタイプの曲です。歌心とユーモアのあるラップも楽しく聴けます。


10. ムーンショット

比較的ストレートなジャージークラブラップ。

早めのビートで早めのラップを聴かせるシャープな曲です。メロディアスなフックも魅力的。


11. NO YUP ~M!KEEの場合~

某ベイ名曲へのオマージュ的な曲。

生活感やM!KEEが嫌っているものが伝わってくる、共感ができれば楽しく聴けるであろう曲です。神秘的なシンセを使ったビートも派手さ控えめで、ラップを聴かせる作り。


12. 麻子

エモーショナルなジャージー/NYドリル系の曲。

優しいギターと不機嫌なベース、早回しの声ネタが不思議なバランスで馴染んでいます。全編メタファーで通したリリックも良いです。


13. XOXAXAY

太めのベースを前面に出した曲。

ドラムはトラップ系の細かく刻むものです。ここでのM!KEEはちょっとルーズなフロウで攻めています。


14. 日常

ニュースを見聞きした時の不安が感じられる曲。

ビートはミニマルなシンセを用いたもので、フックではラチェット的なブリブリのベースが入ってきます。リリックのトピックはシリアスですが、適度な軽さがあります。


15. すばらしい (feat. L-VOKAL)

タイトなドラムを鳴らしたブーンバップ。

ここでのM!KEEは歌心のあるフロウを聴かせますが、リリックにはヘヴィな心理描写もあります。L-VOKALのユーモアと毒のあるラップも見事。


16. あとがきFreestyle

ピースフルで暖かいムードの曲。

ギターと軽快なドラムを使ったビートに乗り、かなりパーソナルな面も出したリリックを聴かせる曲です。引用にもニヤリとさせられます。

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