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お家性教育ブームが、性教育をお家で行なわなきゃ!と焦りを持つママを生み出してしまっている現状

国内外で性教育を学んできた性教育講師、橋本阿姫です。
今日は先日のLadyUPイベントでの、参加者さんとの交流会であるママさんから相談いただいた内容について、私の意見を書きます。


お家性教育ブームでママに負担?

お家性教育がコロナによりおうち時間が多くなったことも相まって、この2・3年でちょっとしたブームになってきています。親子で学べる性教育本も2019年ごろから増えてきていることからも、お家で親子で学ぶ性教育への関心が高まっているのは確かです。

とはいえ、お家で「親子で」学ぶ性教育といっても、「ママと子供」で学ぶ性教育となっているのが現実
パパの育児休暇が促進されて(例:東京都では育業と呼ばれ育児参加しやすい環境づくりもされている)いるが、実際のところまだまだ。ママが子育てを行い、お手伝い程度でパパが参加しているのがほとんど。ママが子供と一緒にいる時間が長いからこそ自然な流れではあると思うが、性教育や子供の性トラブルにまで気にかけたり、気づいたりするのはママが多いよう。そのため、ママが主導となって子どもへの性教育を考えるようです。

ママも性教育に気にはなるが、とはいえ結局のところよく分からない。そのため、最近多く出版されている性教育本を手に取り、性教育本の内容がママにとての性教育のベースとなるようです。何も分からないままに手に取る本には、「0歳から始める!」「3歳から!」「5歳から!」と、従来の性教育では驚くような低年齢から性教育を始める内容の本も出ており、そのワードを見てママは焦ってしまうようです。

また性教育が、「海外の先進的なもの」「性教育を行う家庭は余裕がある家庭」のような、少し敷居が高い扱いを受けているイメージです。そのため、性教育を行なっていることは、ママのお家での教育がきっちりしているという印象に繋がるようで、性教育をお家ですることへの焦りが、ママの中でより大きくなっていきます。


お家性教育を焦らなくてもいい

こういった流れや環境から、お家性教育へ焦りを感じるママですが、焦って急いで行う必要もない気がします。
今回お話ししていたママも、「3歳から性教育は行うと書いてあって何をすればいいのか結局わからない」とのことでした。
性教育本で読んでも、結局のところ子供にどう切り出して伝え始めるのかが分からない、子供が興味を持っているのか分からないのが実際のようです。

大事なのは、成長段階に合わせた内容を伝えること・子供が興味を持った時に対応できる知識を蓄えておくことだと思います。

成長発達に応じた内容

子供の成長に合わせ、子供の興味に合わせた内容を伝える必要があります。この辺りは今回省略しますが、子供の成長に合わせた性教育についてまた書いていきます。(本もいくつか出版されています)
子供の興味は成長とともに変化していきます。例えば、「3歳から始める性教育!」とよく見かけるのは、3〜5歳ごろから相手と自分の違いを意識しだすからです。特に保育園や幼稚園に行っていると、多くのお友達に出会うので自分と周りのお友達の違いを感じることが多くなるのではないでしょうか。

特に自分と相手の違いを、身体の特徴で違いを判別するため、相手や自分の身体の特徴に興味を持ち、相手や自分の性器を触ったり見たりしたくなるのです。親からすると、なんてことを!と思ってしまいますが、実はこれは成長過程で生じる自然なこと。

そのため3〜5歳の間に、プライベートゾーン(水着で隠すところ+口)は、自分だけの大事なところで、自分以外の人に見せたり触らせたりしないように、相手のプライベートゾーンを見ようとしたり触ったりしないようにと伝えているのです。
このプライベートゾーンの話は、防犯・安全にもつながるので、お友達間だけでなく、不審者や知らない人に対しての対応としても伝えられています。

プライベートゾーン 資料

ただこの内容も、3〜5歳ととっても幅広くアバウト。
それは、個人個人の成長レベルが異なり理解能力に差があるから・その子の周囲の環境によって必要度が変わるからだと思います。

子供が過ごす環境やそれに伴う興味・理解レベルに合わせて、その時々に必要なことを伝えるのが良いと思っています。もちろん、防犯のように未然にトラブルを防ぐためのには少し早めの教育がいいのかもしれませんが、やはり早めといっても、子供の環境・興味と理解レベルがベースにあるかと思います。焦って3歳から伝えなくても、子供に合わせて伝えていけばいいのではないでしょうか。

(とはいえ、早めに始めたい!という方には、2〜3歳のトイレトレーニングが性教育スタートにはGOODタイミングと伝えています。詳細はまたNoteに書いて、リンクをはります)

子供が興味を持った時に対応できるように

例で挙げた、3〜5歳で相手や自分の身体に興味を持つ傾向のように、成長段階で興味を持つ事柄が違ってきます。
子供は興味を持ったことはママや大人に「なんで?」とたくさん聞いてくると思います。その「なんで?」で、子供の興味のアンテナを見つけ、そのアンテナに対応していくことで、子供と一緒に興味を話せるのではないでしょうか。
「子供にどのように性について話を切り出したらいいのか分からない」と言われたりしますが、子供が興味を持って「なんで?」と聞いてきたときがタイミングだと思います。そしてその時に、答えられ、子供と一緒に考えれるような準備をしておくことが大切なのではないでしょうか。

またおそらく、ママが一番不安なのは、子供が興味を持って聞いてきたときに何て答えたらいいのか分からないことだと思います。そのために、信頼できる性教育本、性教育講師や保健師さんなど相談できる人を見つけておくことも大切かもしれませんね。

私も、親子むけに「成長発達に応じた性教育講座」「ヨガでふれあいながら親子で性教育を実践」など、イベントや講座を行っています。こういったイベントに参加してみることも1つの手段としていいかもしれません。


ヨガ×性教育 イベントチラシ


子供と過ごす時間を充実させて

今回イベントでお話しした方にも当てはまるのですが、性教育に力みすぎなくていいと思っています。成長する中で、生活をする中で、子供が興味を持ったタイミングに伝えれるように備えておくスタンスで、慌てずに少しづつママも知識を蓄えていけばいいと感じています。

子供が過ごす環境やそれに伴う興味・理解レベルに合わせて、その時々に必要なことを伝えれるように準備することが大切です。
まずは、子供の興味アンテナをキャッチできるよう、子供との時間を充実して過ごしていただくことがいいのではと思った次第です。


2022/12/22




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