制度もなにもなく抜け落ちる子たちに向けた「若者のためのシェアハウス」 | CPAO通信 No.08
2022年4月15日発行
CPAO通信 [Child Poverty Action Osaka Journal] No. 08
コロナ禍でさらに追い詰められる10代のために何ができるか?
【活動報告】2021定期総会 特別講演
対談:ライター・佐々木チワワさん、徳丸ゆき子(CPAO代表)
■プロフィール 佐々木チワワさん
ライター、2000年生まれ。慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)在学中。
10代のころから歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。
単著 「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 (扶桑社新書) 、2021年。
■思春期の子たちとの関わり方が、本当に難しい
徳丸ゆき子(以下、徳丸):質問むちゃくちゃいただいてます。
大阪の子がどんどん東京に行ってしまうんですけど、大阪と比べて歌舞伎町は様々な取り締まりが緩いと子どもたちから聞きました。
佐々木チワワ(以下、佐々木):やっとトー横関係で事情聴取のカルテを警察が作って、どこで偽造身分証を手に入れたとか、SNS投稿と本名とを把握する作業を最近するようになったそうです。
トー横の子たちはそれを「警察なう」とか「警察と自撮りしたー」とかあげちゃうんですけどね。
徳丸:子どもたちは警察や行政を恐れていないですよね。「捕まるのは大人でしょ?未成年の僕らは捕まらない」と言います。
警察や私たちも、例えば児童相談所も、人権を当たり前に守りながら自由に繁華街で過ごす子どもたちと対峙するということを、本当に大変に感じています。
少しでも自分にネガティブな言動があれば、すぐに心を閉ざしてしまいますし。
佐々木:子どもたちからシャットダウンしてしまいますよね。
徳丸:だからこの対峙の仕方を言葉一つ一つ、薄氷を踏む思いで対応しています。1回だけの対応で、その後一切会えなくなる子たちも多いので。
佐々木:一対一で15~6歳の子と喋るのは、すごく大変ですよね。彼らのメンタル面を考えると、知ろうと思うほどにすごく難しくて「話したいことある?」とざっくりした聞き方になってしまいます。
「なんでそうなっちゃったの?」「どうしてそんな?」とかは禁句で、そうしたワードが出てくるのは一つでも駄目ですよね。
徳丸:その中でも、「この人になら言ってもいいかな」と話してくれる子もいるわけですよね。
佐々木:そうですね。「あなたの話しや時間には価値があるんだよ」ときちんと伝えて、助けたい気持ちもあるけど、話を聞かせてくれたお礼として、対価として最低限謝礼を渡したり。そうした態度は心がけていますね。
徳丸:私たちもアンケートやヒアリング調査を行うのですが、答えてくれたら謝礼を支払うことがあって、それだと確かに関わってくれる子もいますね。
初めの頃は物を配っていたんですけど、それは「いらない」と言われて。実はお金は持っていたりするので、物じゃないんですよね。
おとなが考えるように単純でなく、彼らとの関わり方やアプローチそのものが、本当に一つ一つが難しいことを理解していただきたいと思いますね。
この辺の質問も近い話ですよね。
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