マーケティングニュースまとめ Vol.31:「個人情報で商品を買える自販機」など
日本
トラスト・ファーストとしてのファンマーケティング
ヨナヨナエールを展開しているヤッホーブルーイングの記事。ヤッホーブルーイングといえば、大げさなCMやOOHなどのいわゆるマス的なアプローチは一切せず、熱量の高いファン=ロイヤリティーの高いファンを徹底的に囲い、ファン度を高める熱狂マーケティング的方法論で着実にユーザーを伸ばした会社。その手法としては、「超宴」のようなファンコミュニティ形成を目的としたイベントをうつなど(ハーレーダヴィットソンを参考としているらしい。)オフラインイベントがメインとなる。コロナの社会状況によって、どのように熱量を維持しつつ、オンラインに移行したのか?が詳細に語られている。(ヤッホーブルーイングの方が語っているわけではないが)キーワードとしてできたのが、トラスト(信頼)ファースト。つまり、オフラインでの体験に注目するのではなく、いかに信頼を構築できるか?がキーポイントであるという考え方。具体的な手法としては、あえて、規模を縮小し、少人数で密度を高めるという手法。オンラインでもその密度を高めれば、オフラインで達成されていたブランドへの信頼を同じように得ることができるということである。結局は、メディアと達したい目標への最適化が重要だと気付かされる事例。
k.t
こっちはカビが生えない。スウェーデンのWASAによる「Det Fina Med Knäckebröd」
昨年のカンヌや数多くの国際広告フェスティバルで大きな話題をかっさらった、バーガーキングのカビてゆくハンバーガーを広告に活用した「Burger King | The Moldy Whopper」。そのパロディー広告が登場したらしい。ただし、こっちはカビが295日たってもカビが生えないという広告で。広告主は、北欧のクリスプブレッド(乾パンに近いお菓子。ただし、非常食・備蓄食品としてのポジションはとれていなかったと思われる。)非常食としての長期保存性をアピールしたのであろう。添加物が含まれていないからこそカビが生えないとのこと。バーガーキングも添加物がないということアピールしたそうだが、それに対しての痛烈な批判も感じられる。
k.t
マーケターが「カラリズム」という差別に立ち向かう方法
マーケティング業界で起こる、肌の色が濃い人に対する差別「カラリズム」についてかいている記事です。ぱっとこの記事は米国について言及されており、直感的には日本では少し遠い話なのかなと感じてしまいそうですが、そういうわけでも無いなと感じました。
記事の後半では、「人種的に曖昧な」モデルを好むようになり、「肌の色が薄くて」「中性的な」モデルが望ましいとされていたそうです。また、アパレルのようにモデルが全面的に出てこないから大丈夫と考えていた瓶のブランドも、実際は特定の肌の色に偏った手の素材が散りばめられていたそうです。良くも悪くも「日本人」のコミュニティの大半は「日本人」で完結してるケースが多いと思いますが、自分達は差別とは無縁だいう意識を考え直すときが来ているのかもしれません。
s.a
通貨の代わりに自身のデータを”支払う”自動販売機が登場
データが重要な観点になっている社会らしいなと思わされる事例が登場しました。スペインのクリエイティブエージェンシーが、お金ではなく自分のデータを入力して商品を購入する自動販売機を開発しました。
購入者は端末に乗っているアンケートに回答してその分だけの商品を得る仕組みです。機能自体もそうですが、開発したのがクリエイティブエージェンシーだというのも興味深いですね。
Googleなどのエコシステムは、便利なサービスを無料で利用できる代わりに、利用者が意識しずらい形でデータを入手しています。プライバシー的な議論が盛んになるのは倫理的・政治的な観点以外にも、心理的な抵抗が影響しているのではと思っています。今後は、こうした形で自分で自分のデータを管理する意識を持つようなエコシステムも一般的になるのではないでしょうか。
s.a
海外
使い捨てではない製品をデザインするブランドの重要性
この記事では、プロダクトデザインが計画的な陳腐化から、修理、再利用、長寿命の新しいモデルへと移行する方法を考察している。つまり、廃棄前提でプロダクトを作る=環境にやさしい素材で物を作るのではなく、そもそも壊れ、修理され、再利用されるということが全体としてサービス全体にデザインが促されていることが重要であると述べている。
例えば、オランダの携帯電話メーカーであるフェアフォンという会社は、商品をできるだけ長く使用することを目指しているからこそ、携帯電話を簡単に分解して、部品を修理したりアップグレードしたりすることができるように設計がされているらしい。そのような仕組みにしておくことで、実用的な価値だけでなく、人々が自分の携帯電話をより大切に思うきっかけにもなる。「時間をかけて大切にすることで、その対象物とのつながりが深まることがあります」とこの記事では書かれている。単純な体験価値や経験価値のみならず、自分で考えるきっかけ=思考価値すらも商品の付加価値として必要となっているかもしれない。
k.t
パンデミック後の世界では、OOHこそ最重要
アメリカ人の4分の3は、オンラインで過ごす時間が長すぎて、画面に表示されるデジタル広告に耳を貸さなくなったと訴えているらしい。逆に、消費者に関する調査では、屋外、特にOOHメディアを意識するようになってきており、都市部の消費者の69%が、プレパンデミックよりもOOHを意識しているとのこと。そんな状況において、OOHが、パンデミック後の第一段階=世界でのこれまで慣れ親しんできたことを考える「再考」、第2段階=都市が再開され、消費者が快適さのレベルを決定し、リスクを計算する「再突入」、第3段階=失ったものに対する満足感を求める「リベンジ」で、どのように活用されるのかが述べている。
その中で特に筆者が熱を入れて紹介しているがのが、FacebookのSupport Small Businessesという取り組み。中小企業を促進するための広告に資金を提供し、実店舗に近い場所に無料のOOH広告を出して、地元での商売を促進させたという。パンデミック後世界では、世界の行動が戻ったとしても、その広告あり方は大きく変わるのかもしれない。そんな時代感覚に取り残されないことが大切なのかもしれない。
k.t
実際に泳げるアディダスの広告
アディダスが、ドバイで「泳げる」広告を発表しました。発想はシンプルでまったく同じではなくとも似たような広告の事例はありそうです。今回の事例は、ただ目立つために行っただけの事例でもなさそうです。インクルーシブな水着コレクションに合わせて、どのような場所でもアスリート向けのウェアを開発していることを伝える意図がったそうです。アラブなど中東地域では特にあてはまりそうですが、女性が水着を着るハードルが高めな国ならではの課題を見据えていると言えそうです。
s.a
中国のファッションブランドが米国のZ世代を席巻している
中国のファッションブランド"SHEIN"が他のファストファッションブランドを凌駕するという内容の記事です。この企業は2008年の南京発祥のブランドで、オンラインファッション企業としては世界最大級だそうです。
このブランドの競合優位性として特に優秀なのが、オンラインで直接収集した購買データを活かした商品サイクルの速さです。他のファストファッションブランドより早くトレンドを取り入れ、半額以下で、毎週数百の商品を提供していることです。
今回のコロナショックはこの企業に追い風となりましたが、欧米を中心に関心が高まっているファッション産業と環境問題の関係性もあり、完全に楽観視できるわけではないですね。
s.a