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マーケティングニュースまとめ Vol.34:「情報の背景を売る会社の登場」など

日本

情報の背景を売る会社の登場

文化人類学者たちが創業した「モーティヴベース」という会社がある。インターネット上の消費者の言動を調べ、民族誌学的な意味を追求し、そしてこの取り組みを通じて、新商品の開発やマーケティング施策の立案など、企業の事業計画の策定を支援しているとのこと。
彼らは情報そのものではなく、その裏に構成されている「意味」をビッグデータとして蓄積している。情報そのものを扱っているわけではないので、GDPRにも引っかからない。つまり、ある種主観的にに行われていた文脈理解をビッグデータ的に提供している会社ということになる。単純な人類学的アプローチをマーケティングに移植したたけではなく、いっけい相性の悪いデータビジネスと結びつけている点が野心的だ。
クライアントは、大手が多く、イノベーション部門・マーケティング部門の担当が多いらしい。今後の企業成長の鍵を握るのは情報ではなく、文脈なのかもしれない。
k.t

はなまるうどんが展開した、健康保険割引の裏側

その名の通り、はなまるうどんでは、健康保険を提示すると安くなるキャンペーンを実施。その思考方法=そもそも思考を紹介する記事。
オリエンテーションで最初に聞いた仕事の課題は、「50円引きの紙のクーポンを発行するから、それのデザインを頼む」というもの。なんとターゲットは「新入社員」だったらしい。「新入社員」だったら、健康保険証もらったばかりで財布に入れている。だったらすぐにクーポン(保険証)を出すことができる。その文脈でこの企画を考えたとのこと。
クーポンの印刷代がかからず、利用率をあげられる。もしかすると、新規顧客や既存顧客の利用を大きく伸ばせた可能性もある。しかもSNSで広がる。単純な上流工程から考えるのではなく、思考をめぐらせさまざまな文脈からマーケティングを実行する手法は今後も増えていくのだろうか。
k.t

マッチングアプリのTinderが「スワイプ・ナイト」の第2弾を発表

以前のnoteでも取り上げたことのあるTinderのスワイプナイトですが、今回第二弾がでるとのことです。Tinderはパートナー候補のプロフィールを見て左右にスワイプしてアリナシを決めていくUIで有名ですが、その動作をより創造的なユーザー体験に落とし込もうという取り組みがこのスワイプナイトです。第一弾は黙示録的な世界観でユーザー一人一人が物語における行動を選択(スワイプ)することで、その選択がプロフィールに反映されたり、参加者とマッチングされる仕組みです。
次はマッチング前にチャットできる"Fast Chat"機能を活用することを想定しているようで、ユーザー間のやりとりを活発にしようという意図が読み取れます。
s.a

TikTokがFacebookを抜いて「世界で最もダウンロードされたアプリ」に

タイトルで出落ちしてしまっている内容ですが、2020年にはTikTokが世界で最もDLされたアプリに輝きました。記事によると、アメリカやイギリスでは合計再生時間もYouTubeを超えているとのことです。
中国発のアプリということで、国際的な圧力がかかっていることは周知かと思いますが、ユーザーからの支持は絶大だったようです。これは完全に主観なのですが、動画サービスやゲームなどバーチャルなエンタメ全体がどんどんインスタントなものに変わっている気がしますね。
s.a

海外

Tiktokがラジオに進出

TikTokが正式にラジオに進出した。
TikTok Radioは、「TikTokからポップカルチャーを彩るトレンドサウンドをお届けします」と謳っており、ほとんどは、TikTok上で最も人気のある曲をループし続けているらしいが、時折のスペシャル番組も予定されているとのこと。DJは有名なDJを起用することなく、TikTokクリエイターがホストを務め流らしい。SiriusXMによると、@8illy、@itscathaley、@hindzsight、@dirrtykingofpop、@taylorcassidydjなど、「才能豊かで多様なTikTokクリエイターのグループ」がホストを務めるそう。もちろん、その内容は、世間を騒がせている曲ではなく、Tiktokを騒がせている曲。音楽業界ですらも大きく変革を起こしそうな、Tiktokの伝統的メディアへの参入。今後も注視したい。
k.t

バーチャルインフルエンサーは中国でも大人気

日本にすむ大勢にとって、「インフルエンサー」という言葉は実在の人物であると連想されるかと思いますが、中国では少し事情が変わるのかもしれません。中国の若年層の間でバーチャルインフルエンサーが人気になっているという内容の記事です。
バーチャルインフルエンサーと若年層の親和性は何も中国に限らず日本でも同様の傾向はあるかと思いますが、スケールで言うと中国に軍配が上がりそうです。中国事情には疎いのは確証ないですが、バーチャルインフルエンサーに関わらず、デジタルな世界に対する親しみは日本よりも進んでいるのかもなと感じています。近年の中国ゲームアプリの旺盛を鑑みると、新時代のオタク文化の発信地が中国になる日もそう遠くないのかもしれません。
s.a

世界で最も過小評価されているマイノリティグループ

このnoteでも何度も取り上げているように、広告は世界中でよりリベラルな方向に進んでいるように見えます。ただし、それは環境や人種、性的マイノリティにおける問題を取り上げる内容が多く、この世界でも多数存在しているのに(少なくとも広告では)無視されてきた障がい者達にも光を当てるべきという内容の記事です。
この記事で登場するのが、障がい者が立ち上げた代理店のPurpleGoatです。
もともとブランドは彼らに対する知識が希薄なのか、彼らを取り上げることに及び腰であると指摘しています。そうした事態に対応するべく、PurpleGoatは障がい者のインフルエンサーと協力してそうした「表現の間違い」への恐れを取り除いていっているそうです。これは広告だけの話ではなく、ビジネスや社会全体で目を向けるべき課題なのかもしれません。
s.a