【経験談】元不登校が語る修学旅行「行かない」という選択肢
私は小中高と1度も修学旅行に行ったことがありません。その理由と「行かない」という選択肢について語ります。
死ぬような恐怖だった初めての宿泊学習
私が修学旅行を行かないと決めたのは、小学校高学年で行った宿泊学習が原因でした。
私は行く前からとても憂鬱でしたが、当時の私は「行かない」という選択肢が浮かばず、荷物の準備もそれを見ることさえもままならないくらいの憂鬱な気持ちを抱えたまま家を出ました。
宿泊施設に到着してオリエンテーションを受ける中、私は不安な気持ちでいっぱいでした。
なぜかその時見た景色は奇妙な程に鮮明で、10年以上たった今でもその景色と当時の不安感は昨日のことのように思い出すことが出来ます。
昼食はなんとか食べられましたが、夕方になると不安感や吐き気が強くなり食事が一切取れませんでした。
この時、「帰りたい」と強く思いましたが、自閉スペクトラム症があり、人に自分の感情や困りごとを伝えるのが極度に苦手な私は先生に「体調が悪い」としか伝えることが出来ず、帰ることは出来ませんでした。
夕食を取らないで休んでいると次第に吐き気は落ち着いてきましたが、不安感は強くなる一方でした。
当時は精神科への通院はしていなかった為、私は強い不安感に混乱し、対処法も分からずひどく動揺していました。
でも私は昔から表情が乏しく、また感情が態度にも現れない為、困っていることが周りに伝わりません。
これも自閉スペクトラム症の特徴みたいです。
なのでこの時も友人や先生に困っていることが伝わらず、爆発しそうな不安感を1人で抱え込み、ひたすら耐えていました。
夜になると不安感はいっそう強くなりました。それは不安感というよりも「耐え難い恐怖」といったものに近かったです。
例えるなら死の恐怖ー。
いきなり大きなナイフを喉元に突きつけられた時に、誰もが感じるような強い恐怖心。
そんな強い恐怖が数時間は続きました。訳もなく怖くて怖くてでもどうしたらいいか分からなくて生きた心地がしませんでした。
でも、当時はその感情を自分の外に出すことすら出来ず、涙も出ませんでした。
そしてこの宿泊学習は1泊2日でこの時点ではまだ1日目だったので、「明日もある」ことに絶望しました。
強い恐怖心に歯を食いしばってひたすら耐えている中、私は心に誓いました。
「こんな思いをするくらいならもう2度と旅行も宿泊学習も修学旅行も行かない。」と。
この思いを忘れないようにと未来の自分と約束するように強く強く心に誓いました。
そのはずだったのに翌年、また宿泊学習に行きました。
行かないと誓っていたのに先生に
「今度は絶対楽しいから。去年はつまらなかったかもしれないけれど、今度は絶対楽しいから。」
と言われそして親にも背中を押され「行かない」と言い出せず仕方がなく行きました。
そして体調不良とまた同じような恐怖が起きました。散々な気分でクタクタになって帰宅しましたが、親には空元気をみせるだけで相談することができずにいました。
修学旅行「行かない」という選択
〜本気で行きたく無い方へ〜
よく「修学旅行に行かないと後悔するよ。」といった話しを聞くことがありますが、私は行かなかったことで後悔したことは1度もなく、むしろあの宿泊学習での出来事から「行かなくて良かった」と思っています。
2回の宿泊学習がきっかけでその後、家族旅行にすら行くことができていません。
トラウマになり、プライベートの旅行にも行けなくなるくらいだったらあの宿泊学習にも行かなければ良かったと何度も後悔しています。
何年も前に修学旅行先で自殺してしまった生徒のニュースを目にしたことがありました。
人間関係で悩んでいたのでしょうか。
それともいじめを受けていたのでしょうか。
はたまた私と同じように精神的な問題を抱えていたのかもしれません。
修学旅行は行動を起こす「きっかけ」に過ぎなかったのかもしれないけれど、もし行っていなかったら違う未来があったのかもしれない。
そう考えずにはいられずとても残念です。
修学旅行は友人や先生との楽しい思い出を作る一大イベントですが、みんながみんなそういう認識でいるとは限りません。
本当に行きたくなくて悩んでいる方、そしてその親御さん、どうか1度「行かない」という選択肢も視野に入れて欲しいです。
そして行くことと行かないことのメリット、デメリットをよく考えて本人にとって納得のいく選択ができることを私は祈っています。
みなさんが学校、プライベート問わず素敵な思い出を作れますように。
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