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教師の人材確保・質の向上の行方2~社会人と教職~

前回同様、文科省の『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上プランを読んで考えたことを書いていきます。

前回はこちら↓

https://www.mext.go.jp/content/20210201-mxt_kyoikujinzai01-000012476-1.pdf

この文章は、
1 35人学級を担う教師の確保
2 社会人等多様な人材の活用
3 教職課程の高度化と研修の充実
4 教員免許更新制の在り方の見直し

という項目に対してのプランが書かれています。

今回は
2 社会人等多様な人材の活用
について読んでみました。

これは教師の人材確保や多様な教育の実現のためのプランであるととらえました。
方策としては、
①試験により小学校の免許状を取得する
②民間企業等で勤務経験を活かして免許状を取得する
③働きながら単位を修得して免許状を取得する
④民間企業に所属しながら、学校現場での勤務を経験する
⑤学びなおして、学校現場で働く
というものが挙げられています。

まず、多様な人材確保のために社会人を教育現場に巻き込んでいくことは、現場のニーズとも関連していると思うので期待したいと感じました。社会人すなわち教員以外の職務の経験がある人を教育現場に巻き込んでいくことのニーズは、探究学習を発展させていく過程でますます大きくなっていくと思います。
前任校はスーパーサイエンスハイスクールで、実学や研究分野での探究を年間通して行う生徒も多くいたので、学校外の専門性ある方へのインタビューや聞き取りは盛んにおこなわれていましたが、この際どこから企業に交渉しに行くかは少なからず難しさがあったように思います。
今回のプランが成功し社会人から教員になるということが一般的なものになれば、企業経験がある方が多く自治体や私学法人に含まれている状態を作りやすくなります。特に④の中にある「学校雇用シェアリンク」は、現場から見て魅力的だと感じました。
探究学習や進路学習のために、こうした人材が活躍するようになれば、今よりも具体性・専門性のある指導が実現されやすくなることが期待できます。

一方で、①~③にあるような、免許制度の改定で社会人が教員を目指しやすくさせるという目論見については疑問が残ります。
「社会人が免許を取りやすくなれば、教員の母数が増える」というのを実現するには、
「企業で働くより、学校現場で働くほうが魅力的だ」と考えてもらえるくらいに、教職の職業としての魅力を確立することが必要です。
給与、待遇、労働環境…どこぞのブラック企業よりは魅力があるかもしれませんが、絶対評価として教職の労働条件・環境が良好なものであるとは言えないのは明らかです。
こうした部分を改善せず、「やりがい」ばかりを魅力にしているようでは、日本の国際競争力の低下や物価上昇が当たり前となっている経済状況の中で、教職が生活するための職業として人気になることはないでしょう。
そういった部分に対してのプランも是非見てみたいものです。
(現在文部科学省のホームページには給与待遇関連の記事はこういうものしかありませんでした。残念です。https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyuyo/1394395.htm


まとめとしてましては、
・教育の質向上にはプラス→進路学習や探究学習をより充実させていくために、企業や他業種出身の教員が増えることはありがたいし、「学校雇用シェアリンク」等は実現してほしい。
・教員の数の増加への影響には疑問が残る。
ということです。

引き続き、文部科学省のプランには注視していきたいと思います。


今回もありがとうございました!

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