見出し画像

「初任者授業改善システム」を考える1~公立で行われる研修の内容とは?~

こんにちは。コジマです。

1学期が終わりました。
どの学校でも新しい先生が入り(自分も今の職場では新人です)
日々奮闘している姿が見られたのではないでしょうか。

新たな環境で、
新たな学習集団に、
きっちりフィットする授業を提供するのはいつも難しいもので、
僕自身も1学期は日々授業改善に奮闘した記憶が強く残っています。

また、それは初めて教職のキャリアを始めた初任の先生にとっては、
なお一層ハードな時間だったのではないかと推察します。

教員をやっている皆様の職場には、
初任者の皆様を支え、育成し、安心して日々の業務に入っていけるようにするような「システム」はありますか?

今回は自分の公立時代の記憶を元に、
「入職後の研修システム」について振り返りながら、
今後どのようなシステムがあれば初任者の方が働きやすくなるのかについて検討してみたいと思います。
第一回は前者、すなわち公立で入職後に行われる研修システムの振り返りを行ってみたいと思います。




1 教育委員会主催の研修


都立時代は
「初任者研修」や「希望者研修」など教育委員会が主催して情報を提供してくれる機会がありました。
公務員として、教師としての心構え(法規や判例などを踏まえて)を学んだり、
生活指導や学級運営、教科指導の「基礎の基礎」に関するお話を聞いたりすることが多かったように思います。

1年目の初任者研修は4月1~3日は集中的に実施され、
その後は、
隔週で1回程度研修センターに赴き、ありがたいお話を聞いた記憶があります。また教科ごとに授業力が高いとされるベテランの先生の授業を参観する機会もあったように記憶しています。

1年目の夏期には宿泊研修もあり、一般的な研修(学級運営、生活指導など)を受ける時間と、15~20分程度のモデルティーチングと検討会などもあったような。

2年目~3年目は年に数回程度の研修となり、校務を実践しながら先輩を「見て学ぶ」のがメインとなったように思います。

これらの研修は、一般化された情報を受け取るのが主なので、都の教育活動や方針の概要をとらえることが主であり、
当然ながら、受動的に話を聞いているだけで指導力や授業力が完成されることはありませんでした。当然のことですが。

2 校内での研修


初任者を中心に学校内で定期的に「研究授業」を行う機会が設けられます。
1~3年目は年に3回が義務でしたが、
多くの教科内外の先輩教員が観てくれてフィードバックをくれる機会であったので、
やるたびに新たな課題の発見があり勉強になった記憶があります。

研修内容としては
指導案作り → 単元や教材、指導法を丁寧に研究する機会になります。授業研究は毎授業行っていますが、指導案に起こす「言語化」「文字化」のプロセスによって自分の授業を客観的に見直すことができました。
実践 → 当日は先輩や管理職の先生方を招いて授業を行います。板書やICT教材の使い方に加え、生徒への発問や説明の仕方をチェックしてもらいます。僕の時は指導案に「特にここを悩んでいる」「工夫している」ということを明記して注目してもらうようにしていました。(ほしいフィードバックが得られやすくなった気がします)
検討・フィードバック →大きな研究授業の機会の場合(校内で発表者の指定を受けているなど)の場合は、会議室などで参加者みんなで指導案を見直しながら、ポイントごとに検討する会が催されることもあります。
そうでない場合は、個別に観てくれた先生のところを回ってフィードバックを受けたり、フィードバック用の紙(チェックポイントが明記されている)ものを受け渡したりすることでその後に生かす、ということが多いです。

その他にも初任者向けのガイダンスが4月に行われることが多いですが、これは校内の分掌の仕事や教科内での業務分担などが確認されることがメインであり、初任者を継続的に育成することを目的とはしていなかったように思います。
校内の研修は大変効果的であると感じていましたが、幾分「散発的」であるのは否めないかもしれません。

3 専門性向上研修


ここからは1~3年目の初任者向けではない研修になります。
経験年次が深まっていくと、専門性をさらにアップさせる研修が設けられていきます。
授業方法や教材を考案する「教育研究員」への参加
年間通して授業案の作成とグループ内での授業実践を繰り返しながら、指導教員に指導を受け続けたり道場参加者内で意見を交換したりする「教師道場」
一定期間海外の大学で学ぶ「海外派遣研修」(主に英語科向けですが、国際バカロレアの研修の場合その他の教科の先生も参加します)などの制度があります。
これらの研修は都の教員としての専門性をかなり高めるものであり、
年間通じて活動し続けることになるためかなりの負荷があります。
僕は「教育研究員」と「海外派遣研修」に参加したことがありますが、
これらで得た知識や技術は現在の僕の授業を支える柱となっています。
しかし、これらは一定の経験を有した後で受けるのがメインであり、教員全体を対象とした研修ではないので、
入職後すぐにこういった専門性を磨く機会はない、ということになります。(もちろん、段階的に無理はあるのでしょう)


と、このような研修システムがあります。
内容は勉強になるものが多くありますが、現場での対応力や授業力をダイレクトに磨いていく機会ばかりではなく、
また若干散発的であり、継続的に一貫性を持って育成していく視点が不足しているようにも感じていました。

次回は「どのようなものがあったら嬉しかったか」「今必要とされている研修とは」ということについて書いてみたいと思います。

本日はありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?