私たちは植物のように愛し合った⑦
君をきちんと傷つけるんだ。
君が俺にして欲しい事をきちんと理解する必要がある。
きちんと理解できたら、それを別の女にしてあげるんだ、できる限り俺のことをきちんと愛してくれる女にそうするんだ。
すると君は疑いようもなく、目に見えない、感覚も共有しない、傷、をつけてしまう事になるんだ。
俺のこと、好きだからね。
もしもその傷がつかないとしたら、俺は死ぬ。
もうこの身体ではいられない。
だって君に愛されないんだから。
あー、あたま、ちょいおかしい。
私じゃなくて、男。
人を好きでいる事はもっと単純じゃないかな。
単純ってなにかなって?
単純?
くっつきたいとか。
きもちいいとか悪いとか、それは単純じゃないから求めないや、求めてたりするかもしれないけど、それは、男を好きって事とはまた別の、よくわかんないけど、エゴみたいなもんかな、だから求めてみたりするけど、欲しいわけじゃないんだよなぁ、ただくっつきたいよ。
久しぶりに二人で歩いた。
これはたぶん日曜日か?
空は青い。晴れ。雲はほとんどない。
まあまあ暑い。脇汗、まあまあでる。
私も男も花に興味がないが、花が咲いている。
花にはどうして名前があるんだろう。
興味がある人がつけたのか、もしも親がつけたのだとしたら、花語だろうから私たちは発音することができないだろう、周波数が違うんだよ。
アスファルトの道はなんて雑なんだろ、歩いても歩いてもお互いのリズムが浸透しないじゃないか。
昼間に寝てるホームレスを見つけて納得する。
正しい身の守り方です。
なんか手を繋いでみたんだ。
男はパサパサ、私は子供手。
ちょっとした吸着力。
少し力を入れて掴む優しさは、男の甘え。
でも、まあ、くっついてるんだ。
そこだよ、そこそこ、そこだよ、私がきちんと傷つくとしたら、そこだよ。
君がやった行為じゃなくて、そうしてしまった君の崇高ではない孤独だ。
私たちはくっつけないでいる。
そして男が私を傷つけるためにしたとある女が自殺未遂をした。
悲劇とは、ギリギリでとどまる喜劇である。
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