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【7日目】今年だけのウソ夏休み 救いには名前はつかない無い自由にも

最近、小学生を見ると喉の奥あたりがギュッっと締まるような感覚がある。

最近、大学生のツイートを見ると口の中にもんにょりとした苦さを感じる。

最近、高校生を見ると体内に薄暗い夜のような空気が溜まる感覚がある。

それとともに
「もう戻れないの?」と思う。

戻りたい。

そう、思い続けているんだと思う。

わたしの大学生活は、コロナとともに始まった。
いや、始まってなどない。
入学式も、説明会も、新入生歓迎会も、
授業も何もかもがなくなった。

わたしたちは、入学すらできていない。

「不用意に家から出るな」
「遊ぶな」
「不要不急の外出をして迷惑をかけるな」

そう言われながら、4月を迎え、5月を超えて、やっとオンライン授業が始まって、それは2年生の途中までずっと続いた。
対面授業は、ゼミと一部の授業だけ。
2年生になっても変わらなかった。

夏休みも、「できる限り出掛けてはいけない」

友達と遊ぶことすらも責められている気がして、怖くて仕方がなかった。

医療従事者に対して、本当に敬意を持っていたため、
わたしもコロナの感染拡大の一因にならないように、
頑張って自粛生活をしていた。

でも、大学の友達は一人暮らしを始めたことにより、
寂しくないように同じような一人暮らしの友達と遊び続けていた。
もし、一人でずっと自粛なんてしてたら気が狂うだろう。
だから、そのことは絶対に責められない。
だけど、それが羨ましくて羨ましくて仕方がなかった。
実家暮らしで自粛生活をしっかりしてる人間は、
その仲間の中には入ることはできなかった。

クラブにみんなで行こうなんて、行ってみたくて仕方がなかったけれど、
医療従事者の方に面目が立たない。

大学の対面授業が始まっても、やっぱりその仲間の絆は強くて、
人間関係は形成されていた。

(それと同時に、彼らは大きく仲間割れをしていたりもするのだけど)

そうして、夏休みを謳歌できる日が来た時にはもう、
「就職活動をしろ」
「就活しない人間はクズだ」
「ダメ人間」
という罵りだけが現れる。

大学3年生。
必死に取り戻すように、サークル活動をした。
学祭に向けて準備をした。
個人で主催イベントを実施した。
文学フリマで本を売った。

だけどそれでも社会は、就職課は、学科は
就活をしろと言い続ける。

4年生になっても、就職が決まらなかったわたしは、
夏休みは毎日のようにエントリーシート、卒業制作、面接、面接、自動車学校、御祈りメールを繰り返していた。

余裕なんて1ミリもなかった。
毎日苦痛で、自分が嫌いで、解放されることはないのではないかと不安で仕方がなかった。

そして、不安な中で勝ち取った就職先は、
入社日の次の日に一変した。
意味のわからない理論と責め、小さい違和感は積み重なって、
わたしは壊されると確信して、退社した。

そして今。

27時間テレビを見ていた。
主役は、若者。
高校生をメインに、楽しそうで青春の企画をたくさんやり続ける。

「彼らはコロナ禍で救いがなかった、笑いがなかった」

なんて始まって、たくさんの笑顔と全力と感動が流される。

いいなぁ、と思った。
わたしたちにも救いはなかったんだけどなぁ、と思った。
わたしはもう若者じゃないんだ。
エンタメにおける若者じゃなくて、もう主役にもなれない。

いい笑顔を見て、よかったね、と思った。


そうか、今日から夏休みなんだ。

もう二度と夏休みは手に入らない。

就職をした時、そう思って恐ろしくなった。
あの無意味に自由で、最強な時間はもう二度と得ることはできない。
そう思っていた。

今、退職をして、社会不適合者なのではないかという恐怖と向き合いきれずに
毎日が不安で仕方がない。
キャリアコンサルタントの資格を取ることに決めたけれど、
就職活動はうまくできていない。
自分は本当に無能な人間なんじゃないかと、苛まれている。
巨大すぎる見えない敵にもう囚われて、マグマに沈められようとしている、
そんな状態だ。

だけど、これは、
夏休みの再来なのではないか?

もう、いっそ、
夏休みだと覚悟を決めて、全力で楽しむことにしたら、
わたしの青春コンプレックスも少しは解消されるのではないか?

ちゃんとキャリアコンサルタントの勉強はする。

短歌もいっぱい作るし、noteも書き続ける。
文フリのために本も作るだろう。

でも、この機会にどこかに行く、
何かを体験する、挑戦する、などをやるのもいいじゃないか。

暑すぎる夏だけど、
自由に無限に動けるのは今年が最後かもしれない。

必死に何かをやるにはちょうどいい。

これは現実逃避だ。
一旦は現実逃避をしようじゃないか、何もできない無能な人間だとしても。

大きく笑いたい、
何かを成し遂げたい。
誰かにとって大事なわたしになりたい。

何より、
わたしはわたしを愛したい。

最強なわたしを作って、可愛がろうじゃないか。

夏休み、ど真ん中。
8月18日には誕生日もある。
23歳になってしまう。

20歳までに何者かになって、若くして死んでしまおうと思ってた。
「才能のある惜しい人物を亡くしてしまった」
と嘆いてもらえる人間になりたかった。

ただの人になってもう3年も経ってしまう。
わたしは一体何をできただろう。

何もできていないけれど、
この夏で何かになれるわけじゃないと思うけれど、
人とたくさん関わって、たくさん笑いたいと思う。

何かみんな一緒に作らないか?
遊ばないか?

一緒に青春ごっこをしよう。

何でも誘ってほしい。
頑張るしかねえよ、わたし。

生きろ、そして、戦え。
馬鹿になれ、自由への道はそこにある。

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