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なんでまた思い出して泣いたりするんだろうね

ある時ふと思い出して、SNSで探してしまう。
連絡を絶やして3年経つのに、だ。

彼氏と眠っている時だった。ふと後輩くんを思い出して、あー今何してるんだろう、と考えてすぐ、ぶわっと襲った震えるような感情。
思考はどんどん悪い方へ流れ、彼の胸で涙を流した。彼はもちろんぎょっとしたけど、静かに頭を撫でてくれた。

後輩くんが忘れられないわけじゃない。まだ好きなわけでももちろんない。ただ、あの頃の傷口が突然割れて、血が出る。私はこの傷と、いつまで向き合えば良いのだろう?

***

大学の友達と4人出電話中、「そんな男早く縁切りなよ!」「今がまさにそのタイミングなのかもよ!今!今もうブロックしちゃいな!」と3人から言われ、私はえいっと連絡を絶やした。人と縁を切ることがこんなにも簡単な時代になってしまった。
(すごく皮肉な話だけど、後々この電話した大学の友達3人(正確には2人)と縁を切ってしまったのである)

別の友達にも「縁切ったんだよね〜」と報告すると、「え、そうなの?コヤマちゃんはそれで良かったの?」と聞かれ、その時初めて自分の気持ちに手を当てて考えた。全然良くなかった。

私はまだ全然癒えていない傷に無理やり蓋をしてしまったために、度々化膿して何度も痛む羽目になってしまった。

「若気の至り」なんて言葉で片付けて、奥にしまい込んでいたあの日々は、今こうして突然私の純粋な気持ちを蝕んで脅す。沢山勉強になったなんてそれらしいこと言うけれど、あの頃大切にしなかった自分自身がこうして今も悲鳴を上げる。

きっと、忘れたいけど忘れられない、忘れたくないのに忘れそうになってしまう自分がいて、記憶を呼んだり隠したりしているんだと思う。

後輩くんは、本当に致しておわり。帰りも「気をつけて」とあっさり言ってばたんと扉を閉められ、夜中の真っ暗な田舎道を「仕方ないけど辛いな〜」と言いながら歩いた。
今の彼氏は、何か予定がない限りは必ず送り迎えをしてくれて、致したら体を気遣ってくれて、私を一人の人間として大切にしてくれる。心をからっぽにして全ての気持ちをシャットダウンする必要なんてなくて、彼からの愛情を一心に受け止める事ができる。

ただ、その安心感の裏にはらむ恐怖に、時々綱渡りをしている気分になる。その綱から落ちた時を、落ちた後を私は知っている。「絶対はなさない」と言ってくれる彼の言葉を命綱にするしかなくて、それが時々猛烈な恐怖となって私を押し潰すのだ。

けれど、私一人で怯えている訳ではない。彼は、こんなどうしようもない私に「一緒に乗り越えよう」と言ってくれた。こんなこと甘えていいのかわからない。けれど彼の言葉は少なからず私の心を楽にした。

傷つけてしまった自分自身。痛みや恐怖を思い出すのは、私が向き合い、乗り越えようとし始めている合図なのかもしれない。



【おまけ】
「ほんとに縁があったら、また何らかの形で出会えるし連絡もとれるモンだよ」
私の友達からの言葉。めっちゃ泣いた。



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忘れられない恋物語

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