ブレインフォグに対する認知トレーニングを行った臨床論文の紹介と「負荷をかけたペーシング」の重要性とリスクについて

今回は、ブレインフォグに対して認知トレーニングを行った論文を紹介し、この論文を参考にしながら、コロナ後遺症における「負荷をかけたペーシング」の重要性とリスクについての記事となります。

コロナ後遺症におけるPEMと(適切な)負荷をかけたペーシング

コロナ後遺症におけるPEM

コロナ後遺症の症状の1つに、PEM(post exertional malaise)と呼ばれるものがあります。
日本語訳すると「労作後疲労」になりますが、多くのコロナ後遺症患者がこのPEMを抱えている(あるいは抱えていた)と言われています。

私もその一人でした。
外出した2日後に、立っているだけで足に痛みを感じるようになったり、授業で黒板を使った次の日から腕の症状が悪化して、最終的にはコップを持つこともできなくなることもありました。

PEMが筋肉痛と異なるのは、筋肉痛は長くとも数日でおさまっていくのに対して、PEMは痛めた部分の回復に難儀することが多い点をまずは挙げることができるでしょう。
また、PEMの場合は、活動時に「疲れているな」という疲労感がないことも多く、適切な負荷のかけ方が難しい、という点も特徴かもしれません。


とはいえ、適切な対処をすれば、必要以上にPEMを恐れる必要もないと感じています。
個人的な体験談レベルを踏まえて言えば、
私は、「負荷をかけるのが禁物な安心安全ペーシング」から「回復へ向かうための負荷をかけたペーシング」への転換点があると考えています。

実際に私の場合は、2022年の8月頃、EGCGや亜鉛、ビタミンD等のサプリを合わせて摂取し始めたあたりから、負荷のかかる活動を行ってもPEMが起こらなくなりました。


コロナ後遺症の回復と「負荷をかけたペーシング」

この「負荷をかけたペーシング」については、夏目さん(現在は回復された)という方と幾度もTwitter(X)のスペースで話してきました。

当時、コロナ後遺症には負荷をかけた運動や活動は禁物だ、という意見が主流で、<回復のために負荷をかけた活動を行う必要がある>という話をすれば批判をされてしまうリスクが多くありました。(実際にスペース中に批判されたこともありました。)
そんな中
個々人にあった負荷のかけ方について等、かなり事細かに話せた記憶があります(この点については夏目さんの方が僕よりもうまく語れると思っているので、よろしければぜひ夏目さんのTwitter(X)のアカウントを覗いてみてください。そして、とても忙しいみたいだけれどいつか情報まとめてくれないかなと勝手に期待)。
※最近では、「運動は禁物だ!」という考えは、SNSにおいてもコロナ後遺症外来においても基本的にはかなり減ってきたのではないかと思っています。

※補足
私個人の意見を言えば、何らかの抗ウイルス対策や抗血栓対策を適切に行うことで、「負荷をかけたペーシング」を開始することができるようになると感じています。これらの対策をしない限り、ゆっくりゆっくり安心安全ペーシングをして回復してきても、活動量を増やせば再びPEMが起こってしまうというループからなかなか抜け出せないような気がします。

ともあれ、負荷をかけた活動とPEMの関係という論点は、罹患時期や過去の状態、あるいは処方薬歴など、各人による変数が多く、その多様さゆえに、この短い記事で一律に論じることは現段階では到底できないとも感じています

結論めいたことを言えば、
ある程度の適切な負荷をかけたペーシングは、回復には不可欠であるかもしれない。
しかし、どのようなレベルの運動が「適切」なのか、このあたりの調整や休息とのバランスなどは個々人によって著しく異なるので、一律に論じるのが難しい。
ということになると思います。

今日の記事はこの「負荷をかけたペーシング」に関連して、ブレインフォグに対する在宅コンピュータ認知トレーニングを行った臨床論文を紹介していきたいと思います。


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