組織のつくりかたを考えるー高校を実例にー
先日、大学院の授業で
「一方的な組織デザインの例を挙げ、その是非を議論せよ」という課題が出ました。
一方的な組織デザインとは組織の構成員の意向や状況の調査をせずに組織の枠組みを決めることを意味します。
私が真っ先に思いついたのは高校の組織デザインです。
大半の高校では、組織運営の方針が固定化されています。
そのため、年度別に学生の属性に合わせて、組織の枠組みが変わることはありません。
例えば、進学実績を追求する高校では
志望校別のクラスの編成
小テストによるクラス分け
スポーツ推薦組以外は基本的に部活動の所属を避ける
というような組織の枠組みが予め決まっています。
勉強のパフォーマンスの向上という目的に最適化した組織の枠組みと言えますね。
その一方で、現代の高校生にとってその組織の枠組みが最適化であるとは限りません。
経済メディア、SNS、インターネット等の媒体が多様化したことで、アクセスできる情報の質は向上しました。
その結果、
「とりあえずいい大学に行く」
というオプションを疑い始める学生も出てきています。
そのため、
・プログラミング学習→就職
・偏差値によらない進学先の決定
・デザイン系の学部への進学等
といったオプションを選択する可能性も高まります。
そんな状況のなか、
・学業の成果によって学生自身の評価が変わる
・進路のオプションを狭める
ことを前提とした組織の枠組みは学生の意思決定に大きな制限を課しています。改善の余地は大きくありそうです。
これらを踏まえると、
なぜ高校は、学生のニーズに合わせた組織の枠組みを作らないのか
という問いが生まれます。
私は、この問いには3つの答えがあると考えます。
➀高校側のリソース不足(人材、経験)
➁高校生の思考力と行動力の信頼性
➂社会の教育に対する認知不足
➀高校側のリソース不足(人材、経験)
学生の進路に多様性を認めるほど、進路指導は複雑化し、なおかつクラスとしての目標設定が難しくなります。生徒に対するアドバイスの質も低下するでしょう。先生1人で数十人の自由意思を抱えきれません。
➁高校生の思考力と行動力の信頼性
「高校生に自由な意思決定を手にさせた場合、合理的な進路選択とその対策を進められるのか」という問題です。
自由な学習を認められた世の大学生の状況を考慮すると、難しいことが予想されます。
基本的にやれ!と言われなくなれば、多くの学生が目的意識を失い、楽で楽しいことしかしなくなります。
受け身の授業、受験対策と能動的な情報収集、対策の戦略設計、進路選択と比べると、とてつもなく大きな難易度の差がありますからね。
➂社会の教育に対する認知不足
「△△大現役合格○○人!」と書いてある高校の宣伝と
「生徒全員の自己実現を応援!」という宣伝があったとして、
そのどちらが訴求力が大きいでしょうか。
定量的な実績のほうがインパクトがあることは火を見るより明らかです。
また、進学実績は学校間で比較をしやすく、差別化要因になるのに比べ、生徒の意思決定を認める組織の枠組みを学校間での比較が困難です。
高校というものに対する社会の認知を変えないことには、組織の枠組みを変える動機が生まれそうにありません。
①から③を考慮すると、組織の枠組みをいきなり変えるのではなく、クラスの中のバラバラ感を受け入れる議論や仕組みを1つ1つ組み込んでいくことが大事なことのように思います。
ちょっと難しすぎるお題だったので、明確なスタンスは決められませんでした。今後もじっくり考えていこうと思います。
それでは、またあした!
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