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ハート(感情)VS マインド(知性)。人生満足度により関連があるのは「ハートの強み」でした

こんにちは、紀藤です。本記事にお越しいただき、ありがとうございます!
さて、今日の論文は、「感情と知性の強みは、どちらのほうが人生満足度に関連しているのか?」について調査した論文です。

性格的な強みの活用が人生満足度に関連することは、過去の研究から知られてきましたが、その内容を更に掘り下げる論文となっています。ということで、早速みてまいりましょう!

<ご紹介の論文>
『性格特性的強みと人生満足度の研究:感情成分と認知成分の特性の比較』
Blasco-Belled, Ana, Carles Alsinet, Cristina Torrelles-Nadal, and Agnès Ros-Morente.(2018)
”The Study of Character Strengths and Life Satisfaction: A Comparison between Affective-Component and Cognitive-Component Traits.”
Anuario de Psicología 48 (3): 75–80.


10秒でわかる論文のポイント

  • この論文では、先行研究で検討されていない性格的強みの「ハート(感情)」と「マインド(知性)」の、どちらがより人生満足度と関連が高いかを調べた。

  • 大学生419名への回答結果から、「ハート(感情)」の強みのほうが、より人生満足度に関連していることがわかった。

ハートとマインドの違い

DeepLで自動翻訳をすると、どちらも「心」と翻訳されてしまう「ハート」と「マインド」という2つの言葉があります。Weblio辞書で調べると、このように解説されていました。

・「ハート」=感情、優しい心・人情が宿ると考えられる心
・「マインド」=知性、身体と区別して、思考・意志などの働きをする心

とのこと。

強みの研究者ピーターソン(2006)によると、「性格的な強みはハートとマインドに分けることができる」と述べています。性格的強みのアセスメントの「VIA」のカテゴリでわけると、

「ハート(感情)」には、熱意、感謝、希望、愛情、好奇心、スピリチュアリティ、ユーモア、審美眼、社会的知性、思いやり、寛容、チームワーク、リーダーシップの強み(=情緒的構成要素特性)と

「マインド(知性)」には、学習欲、創造性、勇敢さ、大局観、忍耐力、誠実さ、謙虚さ、正直さ、思慮深さの強み(=認知的構成要素特性)に分類できるとしました。

人生満足度にはハートのほうが関連が強い

この研究では、スペインの大学生419名(平均年齢19.9歳、女性80%)を対象に調査を行い、分析をしました。

測定した尺度は、「VIAの性格的な強み」と「人生満足度尺度」の2つです。シンプルな項目ですね。

そして、結論をとしては

”全体として「ハート(感情)の強み」は「マインド(知性)の強み」よりも人生満足度と相関していた”

ことがわかりました。

そして人生満足度に対する回帰係数(影響度)は以下の通りになりました。

◯ハートの強み
・希望 .34
・感謝 .32
・熱意 .30
・愛情 .26
・リーダーシップ .24
・好奇心 .23
・社会的知性 .23
・チームワーク .23

◯マインドの強み
・勇敢さ .33
・忍耐力 .32
・誠実さ .32
・学習意欲 .18
・公平さ .23
・大局観 .20

人生満足度に対する回帰分析の結果

上記を見比べると、わずかではあるものの「ハートの強み群」のほうが
人生満足度と相関しているということがわかりました。

まとめ

今回の調査結果は、これまでの先行研究でわかっていた、「希望、熱意、愛情、感謝、好奇心の強みは幸福度と関連がある」という過去の結果を支持するものでした。

今回のサンプルがほとんどが大学生の女性であったということは考慮する考慮する必要がありそうですが、その中で、マインド(知性)の強みと比べたらどうなんだろうか?という疑問を掘り下げて比較し、「ハートの強みが幸福度や満足度により影響がある」と明確にしたことは、一つの進展であると言えるかと思いました。

感情って、やっぱり大事。

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