読書レビュー『一生食える強みのつくり方』&『書くだけであなたの「強み」がわかる本』
こんにちは。紀藤です。出版に向けて「強み」についての話を、様々な出版社の編集者の方々と進めているところです(まだ出版が決まったわけではありませんが、すでに出す気満々です。ダメだったら悲しい・・・)。
その中で、ある編集者の方から言われたことがありました。
「”強み”というと、市場で勝たなければならない、生き残らなければならないというメッセージが暗に含まれていて、それが重たく感じる人もいる気がしますね」
とのこと。
なるほど・・・。と思いつつ、そういった”勝つため”の「強み」に関するメッセージは、世の中に多いようにも思いました。確かに、一般的に「強み」と聞くと「個人や組織の、市場における競争優位性」と考える人も少なくありません。(もちろんそれが間違っているとか、悪いとかでもありません)
ただ、実際に「強み」に関する書籍を読んでみると、「市場で勝ち残るために」という視点から書かれた内容もあり、非常に勉強になりました。
今日は、そんな既に発売されている「強み」の本について、2つの本から学んだことを共有させていただきたいと思います。
それでは、どうぞ!
『一生食える「強み」のつくり方』
まず1冊目の本が、こちらです。
2014年に出版された本で、副題として”「プチスキル」をかけ合わせて「レア人材」になる”と記載されています。
本書では、弁護士や医師など、長い時間をかけて取得するスキルではなく、2.5年程度で取得できるスキルを「プチスキル」と定義し、これらを100人中に1番目くらいのスキルに磨くこと。そしてそれを3つほど組み合わせることで「レア人材」になることができる、といいます。
100人中1人レベルのスキルであれば、努力次第で十分に獲得可能です。
たとえば、私の場合「マラソン」をやります。マラソンやっている人の界隈では、中の上くらいですが、市場いるすべてを含めれば、100人の中では一番目になれるレベルで、走ることはできます。(これが市場で強みになるかはわかりませんが・・・)
また、「人材開発・組織開発の専門知」として、大学院で学んだ経験も、人材開発に携わる人の中では、100分の1のスキルとなっているようと思います。
こうしたプチスキルの3つの掛け合わせでレア度を高めるというのは、これからパラレルキャリア等で自分を活かす上でも、実用的な考えだと感じます。
『書くだけであなたの「強み」が見つかるノート』
ニ冊目の本が、2021年に出版された以下の本です
本書では、本当の強みとは、個人が思う「絶対的な強み」ではない、と述べます。
そうではなく、強みは周りが評価する「相対的なもの」であるとして、強みを評価する「相手」や、自分が周りと比べて優れているかという「ライバル」も想定した上で、自らの強みをつくることを提唱しています。
この書籍の特徴は、”社会に組み込まれている自分の強み”を前提としていることです。そして、強みを見つけるステップとして、以下の5つを提唱しています。
目指すゴールを達成するために「価値を届けたい相手(クライアントや上司)」が何を求めているかを分析する。そして「ライバル(同僚や競争相手)」が持っている能力や提供できることを整理する。
その上、「自分(自分の強み)」を考えることによって、「相手に喜ばれ、またライバルに勝てる相対的な強み(=本書で言う「本当の強み」)を乱すことができる、と述べています。
以前お伝えした、「チームの中での強みの活用方法」について述べられた文献(以下の記事参照)の内容に、通ずるものがあると感じます。
まとめと感想
どちらの書籍も、市場や職場で「どのように価値を発揮し、競争に勝つか」という視点からノウハウが整理されています。
1冊目の『書くだけであなたの「強み」が見つかるノート』は、特に相手のニーズや、競合を分析する「3Cモデル」を個人に応用したものとも考えられます。それを個人向けにしたワークシートが充実しているので、これに真面目に取り組むと、自分の戦い方の方向性を見定めるきっかけになると感じました。
同時に、「性格の強み(Character Strengths)」の論文にある「強みとは自分らしく、活力が湧くもので、それを活用することで幸福度や自尊心が高まる」という考え方は、まだ一般には浸透していないと感じます。
こうした視点もあるということを、もっと多くの人が知ると、より自己肯定感を高められたり、チームの関係性を高めることに役立つようにも思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!