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おすすめの一冊『鋼の自己肯定感 ~「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された“二度と下がらない”方法』

こんにちは。紀藤です。今日は「自己肯定感」をテーマにしたヒット作のこちらをレビューしたいと思います。


本書の特徴

さて、本書は「自己肯定感」を取り上げた初めての著書とされています。

同時に、著者はシリコンバレー(自己肯定感が高い人が多い)でのビジネス経験に加えて、海外の大学院でアカデミックに学び、そこにライフコーチとして実践の経験を持たれている方です。

「自己肯定感」みたいな話になると、自己啓発の雰囲気が強くなりすぎて、受け入れづらく感じてしまったり、スピリチュアルなメッセージすぎたりすることもあるテーマでもあると感じます。

ただ、そこに「シリコンバレーのビジネス現場での具体的なエピソード」に加えて「アカデミックな背景理論」そして「ライフコーチとしての具体的な実践方法」が組み合わさることで、「読みやすいけれども説得力がある」とか、「(あやしいと思われそうなことも)やってみようと思える」という効果を感じる著書でした。

以下、本書の紹介文を引用いたします。

本書の理論は、

「最先端の科学的根拠」と
「鋼の自己肯定感が育つシリコンバレーの住人やビジネスマンの習慣」

をベースにしています。

著者は実際に22年間、シリコンバレーで暮らし、働いた経験の持ち主。

さらに著者は、アドラー心理学、ポジティブ心理学、マインドセット、
稲盛和夫氏や中村天風氏や斎藤一人氏などの教えに触れており、
アメリカの大学院で心理言語学も学んでいる。
アラン・コーエン氏の元でトレーニングを受けた認定ライフコーチでもあります。

しかし著者は、決してアメリカ生まれアメリカ育ちではありません。
三重県の漁師町で生まれ育ち。自己肯定感はむしろ低かったのです。

周囲でも自己肯定感が低いことで幸せな人生を送れなかった人をたくさん見てきて、
幸福を獲得するにはどうしたらいいのかを問い続けてきました。

あらゆる学問や教えを学び、シリコンバレーの地で答えを見つけました。
その集大成を、本書では惜しみなく提示します。

以下は掲載項目の一例
↓ ↓
・99%の人が自己肯定感のことを勘違いしている
・自信を高めようとするほど失敗してしまうのはなぜか?
・クビになっても自己肯定感は下がらない
・「ノー」と言われるまでイエスのアメリカ、その逆が日本
・自己肯定感は、自己有用感、自己効力感とは一緒にすると危険
・自己肯定感が低いまま自己有用感だけを高めて行きつく地獄の世界
・自己肯定感が低いまま自己効力感だけを高めても、行きつく先は地獄
・自己肯定感は自己中とも違う
・対処療法をいつまで続けていても、自己肯定感は上がらない
・鋼の自己肯定感はたった今すぐ手に入れることができる
・一番大事な言葉は「私は」
・「私は自分が大好きです」と唱えるだけでいい
・犯人の幸せを願うこともできる ~思考も感情も選ぶことができる
・謙遜も悪くない。でも最小限にとどめよう
・「逃げる」は勇気のある尊い行為

Amazon本の紹介より

本書のポイント

さて、そんな著書ですが、本書において学びになったと感じたところ、魅力的だと思ったところをいくつかご紹介させていただきます。

(1)自己肯定感、自己有用感、自己効力感の違いってなんだ

一般にごっちゃになりがちな、自己肯定感(=ありのままの自分を認める)、自己有用感(=自分は役に立つと思えている)、自己効力感(=自分は何かができるという自信がある)、これらを最初に分けて整理をしています。

そして、「条件付き」で自分を認めるのが自己有用感や自己効力感とし、それらだけ追い求めることの危険性を述べます。

どうしても人は、誰かと比較して、その優劣で自分の価値を考えてしまうことがあります。しかし、その文脈で生きてしまうと、それこそ自分のことが好きになれなかったり、日々不安を感じてしまいます。そして、何よりその状況は、単純にツラいのです(私も20代のときは、そんな時期が続いていたので、非常にわかります)。

そして、本書では「自己肯定感」という、建物の土台にもなるような部分の高め方について述べています。

(2)「自己肯定感」のレベルや上げ下げしてしまう条件を”見える化”する

そして、自己肯定感を高めるにあたって、まずは自分の自己肯定感のレベルについて、どのように測るのか、その自己分析にも似た考え方を紹介しています。

まず、自己肯定感について、1〜10でまずは考えてみよう、と問い掛けます。

0: 24時間 365日自分が嫌い
5: 自分が嫌いになったり、好きなったりする/好きなところもあるけれも、嫌いなところもある
10: 24時間365日、自分が無条件に大好き

(つぶやき)私の場合、7くらいな気がします

そして、自己肯定感が、上がったり下がったりする人の傾向は、大きく以下の4つの要素を「条件」としているからと述べます。具体的には

1、他人からの評価
2,他人との比較における自己評価
3,失敗と成功
4,不測の事態(病気、宝くじなど突然の幸不幸)

の4つです。そしてその要素をより具体的に示すと、以下のようなものになります。

<自己肯定感を上げ下げする人が「条件」とするもの>
●見た目(顔、髪、身長、体重など)
●成績、学歴
●仕事、役職、キャリア
●貯金額、収入
●友達の数、人気(SNSのいいねの数、フォロワー数など)
●パートナーの有無(既婚/未婚など)
●家族、親戚
●才能、能力
●性格
●習慣、行動
●過去に自分がしたこと、あるいはしなかったこと
●過去に自分に起こったこと
●今自分がしていること、あるいはしていないこと
●今自分に起こっていること

宮崎直子. 鋼の自己肯定感 ~「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された“二度と下がらない”方法 (pp.67-68). 株式会社かんき出版. Kindle 版.

なるほど。結局条件付きで自分を認めたり認めなかったりすると、自己肯定感はブレてしまいますよ、ということですね。

よって、誰に好かれようが嫌われようが、評価されようがされなかろうが、能力があろうがなかろうが、健康であろうがなかろうが、常に安定した自己肯定感を持つことを目指そう、と述べるのでした。

(3)具体的な方法「アファメーション」

では、具体的にどのよう自己肯定感を高めることができるのでしょうか?

そ方法として、「アファメーション(=自分で自分に語りかけるポジティブな言葉)」というものを紹介しています。

余談になりますが、私もこの「アファメーション」なるものを、一時期やっていたことがあります。今から20年前の20代前半の頃、自分を全く認められない時代がありました。自分を嫌いというのは、とても辛いというか、楽しくない日々でした。

そんな話をしていたときに、当時の友達が「自信がない?自分が嫌い?じゃあ、このCDがいいよ」と、半分ネタのように教えてくれたことがありました。当時、壺など提案されていたら買っていそうでした。

アメリカから翻訳された何かの本に付属していたCDだったのですが、内容は、CDを流すと、なんだかヒーリングの曲のようなものと、まろやかな男性の声の音源です。そして再生すると、こんな内容が流れてきました。

「さあ、目を閉じて・・・。力を抜いて、ゆっくりリラックスします。」
「あなたは、今日はよくがんばりました。そして、心の中で、こう唱えましょう。『私は自分が大好きです』『私は素晴らしい』。さあ、深呼吸して・・・」

こう伝えた時点で、10人中8人くらいが、怪しい・・・と思いそうでしたが、今思うとこれが「アファメーション」でした。

その後も、中村天風氏の著書などでも全く同じことが紹介されており、「これって、古今東西、言われている重要なことなのでは?」と思う機会が増えました。

色々あって真面目にやってみたのですが、少なからずその行為のおかげで、自己肯定感は育まれてきたように思っています。

一方、こうした考え方は抽象的ですし、なによりも効果を感じている自分ですら怪しさを感じるので、ちょっと抵抗感を感じることもあるわけです。
その、やり方を、抵抗感を覚える気持ちも認めつつ、具体的にポイントを教えてくれているのが本著書の魅力です。

たとえば「私は〜です」と「私は&である」と断定する形で言葉にする(例:私は自分が大好きです)。それが抵抗があれば、少しずつ緩める形でやってみる、などです。

1.私は自分が大好きです。
2.私は毎日少しずつ、自分を好きになっています。
3.私は毎日少しずつ、自分を好きになることを学んでいます。
4.私は毎日少しずつ、自分を好きになることの大切さを学んでいます。

というような4段階の方法などです。

まとめ

わかりやすいけれども、浅い話ではない、こうした本が多くの方に届くのだな、学びを得た書籍でした。

そして、多くの人が、自己肯定感が持てない、条件付きで自分を認めることで、生きづらくなっているのは、一人だけではないのだと感じる著書でした。

タイトルも「鋼の錬金術師」みたいでキャッチーで良いな、と思いました。勉強になりました。

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