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ファシリテーションの極意は「参加者の学習スタイル」を見極めることである

こんにちは。紀藤です。先日は「研修ファシリテーション」をテーマに「そもそもファシリテーションとはなにか?」「研修講師のいくつもの役割の中で、他の役割とどのように違うのか?」等についてお伝えさせていただきました。本日も、続けてまいります。

本日のキーワードは「参加者の学習スタイルに合わせたファシリテーション」です。少しマニアックな話かもしれませんが、研修等に関わられる方には参考になるといいなあ、と思います。それでは早速まいりましょう!
(昨日のお話はこちらからどうぞ)


「参加者に合わせる」のは大事

「研修ファシリテーションの定義」は”研修参加者の知識」の理解を確実にし、行動に落とし込んだり、スキル習得の練習をして自信をつける時間を研修中に組み込んだり、実行したりすること”とされています。(参考:『研修ファシリテーションハンドブック』中村 文子 (著), ボブ・パイク (著))

研修デザインはされていても、参加者に「理解させ、行動に落とし込み、自信を付けさせる」ためには、参加者それぞれに相手に合わせることが必要です。

なぜならば、参加者は知識レベルも、考え方の特性も、興味も違うから。
それらの違った参加者に合わせた「お届けの仕方」をするために工夫すること。そして参加者に「できそう!」と思ってもらえることが研修では重要となります。

「参加者の把握」をする方法

そうした違いがある中で、「参加者に合わせた届け方」をするために、何が必要なのでしょうか? 
それは、「参加者の把握」をすることです。

参加者が、

・管理職か、新入社員か(役職)
・大企業か、スタートアップか(社風)
・営業職か、開発職か(職種)
・会社やマネジャーとの関係性はどうか(研修前の巻き込み)
・これまで行ってきた研修は何か(知っている知識)

等により、いわずもがな知識や前提が代わります。
参加者が、どこの誰で・どんな人で・どんな考え方をしているのか ・・・等を、分かる範囲で事前に調べておくこと。それが「参加者に合わせる」ために必要になります。

ちなみに私の場合、「参加者の把握をする方法」として、以下の項目を研修の事前打ち合わせ時に確認をしています。

<「参加者の把握」をする方法>
・以下項目について、事前にまとめておく。
(1)参加者の基本情報:
 ・年齢、職種、役職
 ・男女比、人数
(2)参加者の特徴:
 ・パーソナリティ、価値観・考え方
 ・モチベーション、欲求、キャリア志向
 ・周囲のサポートなど取り巻く環境
(3)参加者の知識レベル:
 ・学ぶテーマについてどの程度知っているのか(聞いたことがあるレベルか、全く知らないか)

これらのことを並べて整理することで、どのような参加者なのかを推察しやすくなります。

「参加者の学習スタイル」を見極める方法

・・・とはいえ、事前のこの情報だけで全てわかるはずもありません。
なので、研修当日は参加者の様子を見つつ、事前の分析の答え合わせをします。

参加者が集まってきたときの様子を観察し、服装や雰囲気、研修前の表情、話をしている内容や話し方などで、どういったタイプなのかを想像する。そして、実際にどういった関わり方が適切なのかを検討します。

そして、研修ファシリテーションに関わる部分として「参加者の学習スタイル」を見極めることを行います。

ちなみに、学習スタイルとは、『研修ファシリテーション ハンドブック』(ボブパイク氏)によると、3つの分類ができるとしています。

【学習スタイルの分類】

⑴ 情報の構築
新しいことを学ぶ際に、その情報がどのように構築されているのかの好みによる分類。
●具体的タイプ→ 情報が系統立って構成されている方が受け取りやすい(ロジックツリーのように整理・分類されることを好む)
●大枠タイプ→ ざっくりと全体像をつかめるほうが受け取りやすい(細かいインストラクションは窮屈に感じる)

⑵何を学ぶか:
学ぶ内容についての興味・関心の傾向による分類。
●情報タイプ→ 新しい情報を得ること自体が楽しいと感じる。自分の知らないことを知りたい。(経験談、参考図書、裏話などに興味を示す)
●実践タイプ→ 自分に役立つこと、すぐに活用できることを学びたいと感じる。役に立つことを知りたい。(何のためにやるのか目的を明確に示すことが大切になる)

⑶学習プロセス:
どういった学び方を好むのかの傾向による分類。
●参画タイプ→ 人との関わりの中で学ぶことを好む。(他の参加者と話すなどの関わりの中で考えを深める)
●考察タイプ→ 自分一人で考える時間があることを好む。(個人で考える→ディスカッションにする、グループにして他の人の発言中に考える時間が取れるようにする、などが望ましい)

『研修ファシリテーションガイドブック』 P53-56を参考に著者編集

その他にも、グループより一対一の方が安心するとか、全体の前で話すことを好む人がいるとか、アクティビティでも他グループと競うような内容の方が集中力が高まる、など、参加者には様々な特性があります。

それらのことを当日に観察し、参加者に合わせてカメレオンのように、柔軟に進め方を変え、最も効果がある形でお届けすること。
それが、ファシリテーションの極意の一つ、とも言えそうです。

まとめ

同じ料理でも、相手の好みに併せて、料理に一匙加えて、味を変えていくシェフのように、熟考された研修デザインを柔軟に変えていき、参加者にお届けするのが、熟練した研修ファシリテーターとも言えそうです。

もちろん研修ファシリテーターにも、それぞれ得意な進め方がありますし、その人の個性に応じた進め方は武器でもありますので、それぞれのカラーを打ち出すのも大事でしょう。

ただ、いつでも同じ方法ではなく、相手に合わせて最適なアプローチができれば、より研修効果は高まります。

ふと思えば、先日のストレングスファインダーの研修も、超理系の人々(データや分析手法等の厳密性を大事にする)、じっくり考えることを好む、様々な疑問を解消することで学んだ内容の取り扱いを決める、というタイプのようにみえました。
そうした人には、やはりその人にあった関わりが必要だよなあ、と改めて思った次第でありました。

いやはや、ファシリテーションもなかなか奥が深いと改めて感じております。言葉にして、自分なりに体系化できるよう、努力したいと思いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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