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企画展「おがつの匂い」(2021年7月24日〜8月30日)

2021年7月24日〜8月30日の期間、宮城県石巻市雄勝町に新しくできた施設「硯上の里 おがつ」にて開催された企画展「おがつの匂い」に、四倉由公彦として、そして雄勝町伊達の黒船太鼓保存会、雄勝町胴ばやし獅子舞味噌作愛好連として参加させていただきました。

全てのきっかけは、どこから何を、どのくらい、どこまで話して良いのか・・・と、詳しく話そうとするととても膨大な経緯がありますが、簡単に一言で言うと、この企画展の総合ディレクターの中村 真菜美さん(以下 真菜美ちゃん)について軽く紹介しようと思いタイプしていたら、相当長くなってしまったので、ここは簡略にしようと思います(笑)

東日本大震災の頃に石巻へ住み込みでボランティアに来て、住民たちに真摯に寄り添い、耳を傾け続け、不可能と思われた様々なことを形にしていったすごい人。
2015年に区切りをつけて石巻を離れ故郷へ戻り、その後はたまに石巻にも遊びに来たりしつつ復興の歩みを見届けようとしてくれています。

あの震災から10年の今年の春も過ぎた頃、石巻の雄勝へ遊びへ来ていた時に紆余曲折あり硯上の里おがつでの企画展のディレクションをすることとなり、始まりました。

おがつの匂い
雄勝に関わる写真家、画家、音楽家が雄勝をテーマにした各々の展示。

おがつの匂い-チラシ両面01


おがつのいろ:写真 / 鈴木 省一
おがつのね:アンビエントミュージック / 四倉 由公彦
おがつのこえ:絵画 / 宮本 悠合

そして、今の住民の方々にインスタントカメラ(写ルンです)を地区ごとに渡し、リレー形式で撮ってもらい、それらを現像し展示する住民参加型の企画の

「十五浜写真展」

そして、オープニング日の満月には雄勝町胴ばやし獅子舞味噌作愛好連の獅子舞披露、次の満月には雄勝町伊達の黒船太鼓の演奏。

郷土芸能公演 雄勝の鼓動:
雄勝町胴ばやし獅子舞味噌作愛好連
雄勝町伊達の黒船太鼓保存会

おがつの匂い-チラシ両面02

雄勝中に散らばるさまざまな雄勝のかけらを集め、一つの空間と時間に並べ続ける。

僕は音楽家、胴ばやし獅子舞、伊達の黒船太鼓としての参加。と思いきや、企画書の制作に「おがつくりえいてぃ部」というなんだか懐かしい名義を見つける。
そしてアーティストとは別の関係者名簿には四倉由公彦(おがつくりえいてぃ部)と、しっかり入っていました(笑)さすが、真菜美ちゃん。

ということで、全面的に制作協力と、自分の作品制作、黒船太鼓と胴ばやしのまとめ(両団体で事務局をやってもいます)
そして、この企画展の制作が開始されたのは6月に入ってからという強行スケジュールで動き出し、雄勝中が蠢いた期間が始まりました。

まずは自分の作品作りから。基本的には会場内で鳴り続く、BGMにするようなイメージという話だったので、そのイメージ沿っていく作品をイメージしていきました。始めの段階は。

様々な場所や場面でフィールドレコーディングした音源をサンプリングして作る、ミュージックコンクレート、そして空間に溶けていくようなアンビエントミュージックに仕上げていこうと、なんとなく自分の中で制作の流れを作る。フィールドレコーディングを開始していきました。

まず、5月の下旬に雄勝の各集落のロケハンでして、どの場所でどの時間帯にどういう条件でどういう音が鳴っているのか。住民さん達が普段耳にする音は、気になる音は、気にならない音は、と一つひとつ思いを馳せつつ改めて雄勝の各集落をさらっと周る。
真菜美ちゃんや、写真家の省一くんと一緒にまわり各々が何やらを考えている。

ロケハンの時、実はレコーダー本体を忘れてしまい、iPhoneで映像をイメージなどを記録していました。基本自分の作品を作る時は、スタジオでインスピレーションを高めるためにインスピレーションを受けたものや場所を映像で撮ってショートムービーを作っているので、そっちに気力をふっていました。

名振では静かな風景、船越では、お母さん達が漁網から魚を外している作業を見せてもらい、荒では砂浜の海岸、そして波で洗われた小さな貝殻を集め、熊沢地区ではお母さん達が布海苔の作業をしている場面や、漁師さんが昆布の塩茹でしている現場を見せてもらい。そして、晴れて日差しが水面の中を反射して泳いで、色々な色の海藻がユラユラとしている水面をずっと眺め。
そういう、自分が何を聴いていたのかを視覚的に残す映像を撮っていました。

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数日経って、真菜美ちゃんと話をしながら作品内容の話をしつつ、撮っていた水面の映像も見せると


「えっ、いいじゃん。映像もやろうよ。」

と。

こういうアブストラクトな感じの映像を無音でスクリーンとかに投影するブースがあっても面白いなと思い、僕が普段撮っているようなショートムービーも一緒に入れる方向になっていきました。

数日後に小島の漁師さんの銀鮭養殖の現場の収録をさせてもらえるように中村さんがセッティングしてくれたので、僕は音をメインに録る装備で、映像はiPhoneでサラッと撮る感じで夜が開ける前に漁港へ集まり、そこの音を録音しつつ、サラッと映像も撮る。
番屋での会話、船に乗せてもらい船のエンジン音に耳を傾け、生け簀へ餌を流す作業や生け簀に当たる水の音や、船に当たる水の音、水鳥の声、漁師達の会話などマイクからヘッドフォンに流れてくる音に耳を傾けつつ、少し切りが良いときに、その様子や音を感じる風景を撮ったり。

一緒に来てくれている真菜美ちゃんも真剣な表情でiPhoneで色々撮影している姿を見つつ。

後日、録音していた音を整音しつつ話をしていると彼女が撮っていた動画を見せてもらう。これまた凄く良い感じ。というより水の中にまで突っ込んで鮭の群れを撮影しているものもあったり、でもその映像全体から総じて感じる蠢きは、どこか僕が熊沢で撮っていた水面みたいなものも感じる。

「あの水面な感じ意識して撮ってたんだよね」

なんて人だ、この人は。

「私もこんな感じで撮っていくから、映像も作れるね。」

あれ、映像と音楽の作品を作る方向になってしまった(笑)
でもこれはかなり面白そう。
というか、iPhone11 pro, iPhone12 pro max、すごいな。。
なので、撮影は僕と真菜美さん、編集は僕、ディレクションは真菜美ちゃんという役割が阿吽で出来、おがつくりえいてぃ部の長い生涯学習的な制作活動が始まりました。
音響と音楽は基本的に僕が自由に作るということで、

映像:おがつくりえいてぃ部(四倉由公彦・中村真菜美)
音響・音楽:四倉由公彦

というクレジットになりました。

ここから、企画展で展示した作品(公開出来る範囲で)や、その作品を制作する時のことを綴った記事、また企画展では未公開作品や、「おがつのね」の新作(生涯学習化しているので、恐らく雄勝と関わる限り続きます笑)の公開などをマガジンにしていきます。

不定期更新になると思いますが、是非見ていただけると嬉しいです。

ソトコトにも企画展の記事を載せていただきました。


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