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Musics for Bamboos (2019)(竹であそぶ 2018年9月4日〜2019年1月14日)


Music for Bamboos(Apple Music/YouTube)

仙台の津波被害を受けた三本塚地区で突如竹藪が出現。塩害に強い竹がかつての竹薮の風景を造り出していた。
かつて暮らしとともにあったその竹を使った音楽家・佐藤那美と四倉由公彦による音響ワークショップで繰り広げられた不思議な音源たちが、糸魚健一マスタリングにより竹のつややかな響きとともによみがえる。

涼音堂茶舗 https://www.ryoondo-tea.jp/discography/des056_muisicforbamboos.html

01 Bamboo Forest 佐藤那美 Nami Sato

02 Rainai 佐藤那美 Nami Sato

03 Bamboo Picking(竹採集) 四倉由公彦 Yukihiko Yotsukura

04 Spending time with the Bamboos(竹であそぶ) 四倉由公彦 Yukihiko Yotsukura

制作後記:竹であそぶ 2018年9月4日〜2019年1月14日

この記事は以前の外部記事【日頃の竹の話〜竹であそぶ 2018年9月4日〜2019年1月14日(せんだい3.11メモリアル交流館)】を移行、リライトしたものです。

ワークショップへのお誘い 居久根、竹と音

2018年の夏前くらいに、せんだい3.11メモリアル交流館の方より竹を使った、出来れば楽器作りをメインした音楽系のワークショップを佐藤那美さんと出来ないかどうかとお問い合わせいただきました。僕は手先が不器用なので楽器作りを教えるのは無理ですと伝えると、信じてもらえませんでした。何かがおかしい。どうやら僕は大工もやっている音楽家で自作の楽器もあるという何かが違う風の噂が流れていたそうでした。

多分現役時代の父の仕事が雄勝石瓦屋根の工務店で、それでも僕も屋根仕事、大工仕事もできるようなイメージがあったのかなと推測できました。ちなみに僕が高校生の頃に不器用さと、伝統建築と近代建築への興味の無さ(高校生当時は)で早々に家業のアルバイトも親からクビにされていました(笑)

そういったことを担当の方に丁寧に説明し、楽器作りを教えることは出来ない旨を伝え、でも折角のお話ですし何か自分にできることを模索。話によると震災後に仙台の東部エリアに竹藪が出現し、管理が追いつかず困ったものになっている竹。

仙台藩の名将伊達政宗も推奨した、屋敷の周りに樹木を植える居久根(いぐね)。様々な樹木を屋敷の周りに植えることで、防風、防雪、防砂と屋敷を守る大きな役割を持ってるそうです。その居久根が、3.11大震災の大津波で被災し、殆どが枯れてしまいましたが、竹だけが塩害に負けずに残る。しかし管理の手が届かずにボウボウの藪になってしまっているそうでした。

震災で生き残った江戸時代初期?からあった文化。
僕自身が、震災後から雄勝町などの伝承芸能の中に入って続けていることなど共感することもありました。楽器作りはできないけれど、竹を使った音作りのワークショップなら面白く出来ると思い、それを提案しました。その竹の藪の音、竹を切る音などきっとずっとその地域で鳴っていた音でもあって、音で繋がれる何かがあるのかもしれないと、漠然とした直感もありました。

内容は、地域に昔からある文化の一つに竹があり、その竹がどういう音を鳴らせるのかを見つけてみる。その過程で、楽器的なものへの加工もOK。
最後にみんなでその音をレコーディング。のちにサンプルを僕と那美さんで曲を作り、サンプルと一緒にCDをプレゼントという内容。

「竹であそぶ」のイベント期間スケジュールは竹で虫かご作りや、竹望遠鏡(!)作りのワークショップもあります。その中の一環で「生きた竹の音採集」が僕、そして仙台の電子音楽家の佐藤那美さんのワークショップになります。

201809.04〜2019.01.14 竹であそぶ フライヤー01
201809.04〜2019.01.14 竹であそぶ フライヤー02

竹採集

9月、10月と、担当の方に連れられ仙台東部エリアへ竹を切りに行きました。到着した農家の裏にド〜ンと広がる竹藪がありました。生えているのは、孟宗竹。家の方の話を聞くと風の流れなどもあるので、どの竹を切っても良いという事では無いようです。なので指定された場所の竹を数本切らせてもらいました。別の場所に行くと、真竹、笹、篠竹と別の種類の竹があり、太さや形状、節の長さも色々違いがありました。

色々な竹

竹を加工、いじる、遊ぶ

流石に切ったままの状態を、ワークショップに来てくれた方々にそのまま出して、「はいこれで何かをやってください」というのは流石に乱暴かなとも思いましたので、ある程度はあらかじめ加工することにしました。

危険の少ない丁度良い長さにし、節付き、節無し、節抜き、スリット入り、割ったものなどなど。

加工している最中の音を聞きならがワークショップのアイデアを考えていきます。

竹を切ったり
竹を割ったり
こんなに竹を加工するのは震災前に急遽関わった仙台の夏至のキャンドルナイト以来かも
加工した竹を車に積む。パンパンになる。

ワークショップ当日

どういう方々が来てくれるのかドキドキでした。気がつけば時間になり、20人以上の方々が来てくれました。自己紹介と、仙台東部エリアの竹について軽く説明するだけでも中々緊張しました。

photo: せんだい3.11メモリアル交流館

竹を使ってどういう音が出るのか色々と試しに鳴らして聞いてもらいイメージを膨らませてもらう。

photo: せんだい3.11メモリアル交流館
photo: せんだい3.11メモリアル交流館

一通り竹を色々鳴らし終え、参加者の人たちに好き好きに竹を選んで、好きな音を探してもらう。「これだ!」という音が見つかったら、別室のスタジオで那美さん主導のもと、レコーディングをするというのを伝え、音探し、音採集の時間が始まりました。

別室のレコーディングルーム

蓋を開けてみると、想像以上にみなさん積極的で次から次へとアイデアを形にしようと竹を加工し始めました。それらを投げてみたり、落としてみたり、吹いてみたりと、もうその空間の音自体が相当面白いものになっていました。

当初は、迷っている人がいたらアイデアのヒントとかあげたり、一緒に手を動かそうと思っていたのですが、その必要は全く無さそうでした。逆に僕のほうが沢山アイデアをもらいました。

photo: せんだい3.11メモリアル交流館
photo: せんだい3.11メモリアル交流館
photo: せんだい3.11メモリアル交流館
photo: せんだい3.11メモリアル交流館

終いには、何故か竹のオブジェが出来ていたり(笑)

photo: せんだい3.11メモリアル交流館

レコーディングルーム前は長蛇の列。凄い!

photo: せんだい3.11メモリアル交流館

最後に各々が見つけた音、作った装置、楽器を一斉に鳴らす合奏をして、とても和やかで賑やかな中、ワークショップが終了しました。

photo: せんだい3.11メモリアル交流館

ライブ

その後ワークショップで録音したサンプルを那美さんと分け合い、曲作りに入りました。
2018年12月20日の関連イベント「メモ館談話室#03「まだまだ使える!竹の魅力」で、その曲のミニライブをさせていただきました。

サウンドチェック
ライブ機材
トークコーナー

ワークショップから、制作、ライブまで一連でとても楽しく、そして地域の歴史やこれからについても考えさせられる機会でした。仙台の荒浜含めて東部地区もこれから新しい人の流れと文化ができていくことを祈って。

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