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Say Goodbye to Hollywoodを自分の為に

今日はカントリーとは離れて、Billy Joelを聴いている。
Billy Joelの”Turnstiles(ニューヨーク物語)”というアルバム。

Turnstilesとはニューヨークの地下鉄の自動改札機のことらしい。Billy Joelの第4作目で、ちゃんとニューヨークのUltra-Sonic Studiosで録音されている。
New York State of Mindを録音するのだから、ナッシュビルのスタジオで録音するわけにも行くまい。

Ultra-Sonic Studiosのグランドピアノはどこのピアノだったのだろう。レコードで聴くだけだとよくわからない。Steiwayかなぁ。Ultra-Sonic Studiosの写真が殆ど残っていないからわからないけれど、Billy Joelの1971年のLive at Ultra-Sonic Studioというアルバムのジャケットの写真(おそらくスタジオ内で撮られたもの)でBilly Joelは古いNew York Steinwayを弾いているからSteinwayがあったのだろう。次のアルバム”Stranger”はA&Rレコーディングスタジオで録音されているが、スタジオにはこれまたSteinwayが置いてあったので、”Stranger”の録音はSteinwayで行っている(と思う)。

”Turnstiles(ニューヨーク物語)”のB面1曲目のJamesではRhodesも弾いている。このRhodesの音が何とも好きで、このアルバムを繰り返し聴いている。

このアルバムから彼は故郷のNew Yorkに戻り活動するようになる。LAを離れるという決断をした頃彼が書いた曲はどれもどこかノスタルジックなところがある。それは、故郷を思う気持ちからだと思う。
このアルバムのA面の最後のトラックであるNew York State of MindはまさにLAからNew Yorkに思いを馳せるような内容の歌詞だ。オープニングの曲のタイトルもSay Goodbye to Hollywoodなのだから、このアルバムはある意味彼の決断の歌が詰まっている。

Billy Joelのキャリアはこのアルバムを境に変化した。それまではLAやサンフランシスコで文字通りピアノマンをやっていた彼だが、このアルバムを機に彼はCBSのビッグなレコーディングアーティストになっていく。

私自身も今、仕事でターニングポイントに立っていて、前を向いて進むことが不安で仕方がない。毎日、計画書を書いては、ため息をついている。時々(ほぼ毎日)こんなのでは上手く行かない、と感じてしまう。
資金繰表を作ったりすると、半年後にはどうなってしまうのかと不安に押しつぶされそうになる。

しかし、それらは全てペシミスティックなシナリオの上での出来事だ。もちろん仕事にはペシミスティックなシナリオを書いて不安がることも必要なのだが、それでは前に進めない。

大学に入って上京した際に「ノスタルジーを捨てよ」と自分に言い聞かせた。もう、故郷には戻らないと決めて東京に出てきたのだ。Billy Joelのような大成功者を引き合いに出して誠に恐縮だが、彼は故郷に戻ったかもしれないが、私はここで家族と生きていかなければならないのだ。

仕事については、とにかく自分にはこれしかできないのだ、ということがこの歳になってだんだんわかってきた。それは、社会貢献とか出世街道とかそういうものとは随分離れてはいるけれど、その道を手探りで進んでいくしかないのだろう。仕事をするにおいて、自分が何かに秀でているというものははっきりとは見つからなかったけれども、自分にはこの道しかないのかもしれないということは何となくわかった。

今は、覚悟を決めて進むしかない。覚悟は十分に決まっていなくても、とにかく前に進むしかない。

そんな、自分の為に今夜は”Say Goodbye to Hollywood"を聴いてみた。


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