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カウンセラーはどうやって気持ちを保ってる?

こんにちは。
臨床心理士・公認心理師の塩むすびです。

精神科でカウンセラーをしていると、
「気持ちが滅入ってしまうのでは?」とよく聞かれます。

これは患者さんからも言っていただく言葉で、
「話を聞いてばかりで大変ですよね」とねぎらってもらうこともあるんです。

そこで患者さんにご心配をおかけしないためにも、
私がどのように気持ちを整理しているかお話したいと思います。

カウンセラーの落ち込みについて


「暗い話ばかり聞いていたら、気が滅入らない?」

まずこちらの疑問についてです。


正直なところ、最初は滅入ってしまうことが多くありました。


暗い気持ちが伝染するというよりも、


「相手の方を元気にしてあげられなかったな」
という落ち込みだったり、

クライエントさんからの言葉に傷ついてしまったり、

カウンセリングが中断になりショックを受けたり・・・。

今思えば、自分が未熟なカウンセラーであったために、
その場その場の状況に心が振り回されてしまっていたんだと思います。

もちろん今でも反省することや、
専門家としてもっと自分にやれることがないか悩むことはたくさんあります。


ただ、臨床心理士がなんのためにいるかを考えた時に、「私(カウンセラー)が不安定だと良いことがない」と思うようになりました。 


・・・情緒不安定なカウンセラーに話しにくいですよね(苦笑)。


傷ついたり動揺してしまう時って、
どうしても視点が自分に向いてしまっているんです。


思うようなカウンセリングができなかった

とか、

自分のことをクライエントに認めてもらえなかった

とか、

他のスタッフからどう思われるだろう

とか、

あとで怒られるんじゃないか、
クレームを受けるんじゃないか、

とか・・・。


全部カウンセラー自身が傷つきたくないから、もしくはプライドを守りたいから生まれる気持ちですよね。



ただ感情が不安定な方にあたられてしまうことは仕事上絶対にありますし、人と人の関わりである以上、完璧なカウンセリングは存在しません。


できることは、その場その場を一生懸命取り組むこと反省点を次に活かすことだけです。



カウンセラーが感情的になってしまう時


カウンセラーにも何かしらの弱みはあります。

コンプレックスだったり、個人の悩みだったり、プライベートの出来事だったり…。

これが刺激されると、カウンセリング中でも心がとても動揺してしまう可能性があります。

例えば、いじめられていた経験を持つカウンセラーは、
いじめをした側のカウンセリングをする際、
敵意を相手に向けてしまったり、クライエントのことを怖がったりしてしまう可能性があります。

一般的には起こりうる状況ですが、これでは、
「カウンセラー」という立場では仕事ができません。 


こうした状況では、相手の気持ちを受容したり共感したりすることが難しくなり、なんのためのカウンセリングか分からなくなってしまいます。


このようなことか起こらないよう、多くの臨床心理士は、新人の時に先輩カウンセラーのスーパービジョンを受けています。


簡単に言えば、先輩の臨床心理士に、自分もカウンセリングをお願いするのです。

自分の悩みやコンプレックスはそこで解消して、
カウンセリング場面で動揺しないよう訓練します。

カウンセリングで落ち込んだら、
「どうして落ち込んだのか」と自分の理解を深めます。


自分はどんな性格で、どんな思い込みをしやすいか、
どんな時に冷静じゃなくなるかを知って、
自分の気持ちをコントロールできるようにする


こうした訓練を受けていますので、臨床心理士であれば一般的に傷つくようなことを言われてもそこまで気にせず、

「この人はどうして今こんな言葉を言ったんだろう…?余裕がなかったのかな、それとも何か訴えたいことがあったのかな?」

と、わりと冷静に考えることができるのです。



スイッチを切りかえてカウンセリングをする


経験を積むと、自分の気持ちを冷静に保つスキルや、
気持ちを切り替えるスキルがものすごく身につきます。


私の場合ですと、カウンセリングが始まる時、
「カウンセラー用の自分」のようなものにスイッチが切り替わります。

相手の方の気持ちや考えを感じとるモードになり、
普段の自分は一旦奥にしまわれます。


無理をしているのではなく、

お母さんが子どもの前では自然にお母さんモードになったり、社長さんが会社に行くと社長モードになるように、私もカウンセリングをすると自然とカウンセラーモードになるのです。


そして、カウンセリングが終わればまた通常の仕事モードや素に戻ります。

あまり前の気持ちを引きずることはありません。



他の仕事と同様に、通常モードの時に人と楽しく話したり、プライベートでリフレッシュをすることですっきりしてまた次の仕事に向かえます。



リフレッシュの仕方


カウンセラーを続けていくには、リフレッシュ上手になることも大切なのではないでしょうか。

これについては、人によって色んなやり方があるかと思います。

仕事以外の時間・・・

趣味に没頭したり、ひたすら家でゆっくりしたり、

美味しいものを食べたり、飲んだり、

映画を見たり、本を読んだり、美術を見たり、

たくさん寝たり、運動したり、ドライブしたり、

マッサージへ行ったり、サウナへ行ったり、

カラオケで歌ったり、人と会ったり、自然に触れたり、


自分に合った、その時の気分に合ったやり方をとって自分のご機嫌取りにつとめます。(笑)


みなさんはどのようにリフレッシュをされていますか?



おわりに

カウンセラーは、話を聞き、受容し、一緒に考えるのが仕事です。

気持ちの切りかえ方は訓練を積んで身につけていますので、安心してお話いただいて大丈夫です!

お読みいただき、ありがとうございました。

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