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沼に溺れる3人の女心

映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』
監督:蜷川実花
主演:小栗旬
出演:宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみ

金曜夜のおうち映画観賞会。
今作2回目の鑑賞。
1度目は劇場で唾を飲み、
2度目は自宅で酒を呑み、
女4人で、キャーキャー言うて観てました。

目を奪われる鮮やかな色彩。
次々と登場する超豪華俳優陣。

そして何より面白いのが、
教科書のごとく見事に描かれる
沼男のしぐさ言動と、それに溺れる女心。
まぁ大抵の女の子は、
スクリーンの小栗旬に見惚れながらも
「あれ?なんかこのセリフ聞き覚えあるな?」
なんて思ってしまうかなと…

劇中には、太宰治を取り巻く
実在した3人の女性が登場しました。

太宰治作『斜陽』のモデルであり愛人の静子。
太宰最後の愛人で共に心中した富栄。
そして、太宰との3人の子を育てた正妻の美知子。

妻がありつつ同時に2名の愛人を持つ太宰治は
なんとまぁ恋多き文豪だったことでしょう。

そんな沼男に溺れた3人の女性たち
それぞれの恋愛観が
なんとも極端に人間的で本能的で
興味深いなぁと思って観てました。

愛人の静子は、まさに「認められたい女」
私は他とは違う、
唯一無二の存在であると感じたい。
だから彼女は、
自身の存在意義を確かめるために恋愛をする。
太宰が死んだ後、
自身の名前で『斜陽日記』を世に発売した。

もう1人の愛人富栄は、まさに「依存する女」
私の闇を理解できるのはあなただけ。
そしてあなたの闇を理解できるのも私だけ。
だから彼女は、
己の最大の理解者を探すために恋愛をする。
心中に怖気づく太宰に、
共に死の道へ行くことを強くせがんだ。

そして正妻美知子は、まさに「尽くす女」
彼は私がいないと生きていけない。
蚊帳に入った蚊の一つだって自分では殺せない。
あなたの傑作のためなら、
私たち家族を壊したってかまわない。
だから彼女は、
母性本能が溢れるままに恋愛をする。
太宰の遺書には、
「お前を誰よりも愛していた」と記されていた。

君は特別だと認められたい。
心の中を理解して欲しい。
最後の最後に求められたい。
人間としてとても自然な欲求ばかり。

どの女性も、太宰という男の沼に溺れつつも
自信の恋愛観を貫いて生きた
たくましく美しい女性達だと感じました。

この3人の恋愛観は、
極端ではあるもののすべての女性が
共感する要素なのかなと思います。

いつの時代も沼男というのは
非常に危険だと重々承知なんですが
それぞれの恋愛観を貫いて
相手のことを好きすぎて
沼っちゃってる女の子って
なんかもうめちゃくちゃ愛おしくて
めちゃくちゃ可愛くないですか?

そんなことを思いながら鑑賞する
楽しい女子会ナイトでした。

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