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遠隔授業の自主研修会 市内教職員有志で 外国語 道徳 小6

 そもそものきっかけは、ある中学校教諭の方から、小規模校同士の小学校外国語授業をオンラインで合同でできるだろうかと相談を受けたことです。初めは、1時間にリスニングもチャンツもリピートも会話も筆記もある、非言語も含めたコミュニケーションや即時フィードバックが重要な外国語科で合同でオンラインとは、相当な難があると感じました。しかしそのうちに、やり方次第だと考えるようになったのです。

 時を同じくして、極小規模校の実態を知る先輩から、「学級2人で道徳の授業が成り立たない」と聞きました。昨年度、道徳教育に没入していた私はハッとしました。指導要領で「主体的・対話的で深い学び」、特に道徳科では「多面的・多角的に考える」と謳われていて、実現するのには工夫が必要だが、児童が2人という時点でハンデがある。

 どの学校でも、どの学校とも気軽にオンラインで繋がり、遠隔授業ができれば、それは児童にとっても、教師にとってもメリットが大きく、それは地方の教育のデメリットを軽減することになるのではないか。そんな思いが私の心に火をともし、有志教職員の自主学習会でT1を引き受けたのです。

 私の勤務校を「拠点校」とし、その他の参加者が拠点校以外の学校の児童役となり、遠隔合同授業を想定して行いました。T1を私が行い、4名を拠点校児童役としました。
 前半は、6年生外国語で、単語と例文を練習した後、夏休みの思い出を伝え合う活動で、Teamsのブレイクアウトルームを利用したペア活動を行いました。多様な人との学び合いでコミュニケーション能力を養うこと、同中学校に進学する児童で仲を深めることがねらいです。うっかりT1を拡大する(スポットライトを当てる)のを忘れていたり、ブレイクアウトを組むのに少し手間取ったりしました。私や私と同室の児童役がヘッドセットを付けておらずハウリングが起きたりもしました。やはり慣れが必要です。
 そして、同室にいると、ヘッドセットをつけていても周りの人の声が入ってしまうことが分かりました。

 小金井小学校の動画ではその辺りはクリアできそうだと思っていたのですが、ヘッドセットが違うのか、何が違うのか、実際には同じようにはいきませんね。


 振り返りで「クラスノートブック」を使用し、T1とそれ以外のTで、評価を円滑に行うことができるように工夫しました。また、児童自身も毎時間の蓄積された振り返りを振り返ることができます。これは好評でした。

 後半は、6年生道徳科(誠実とは?教材文「手品師」)です。
 導入の発問「誠実とは?」について、チャット欄に各自が書き込みました。

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  基本発問「手品師はどんな思いで(大劇場出演への誘いを)断ったのだろう」についても同様にチャットを利用し、グッドマーク等を付け合いました。

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 一番グッドボタンが多かった先生に発表していただきました。(けれど、後から考えると、皆さんはすでに読んでいるので、再度発表でそれをなぞる意味はあまりなかったかもしれません。それよりも「『約束』という言葉が多いけど、約束だから少年のところへ行ったのかな」「仕方ない感じ?」「少年のところへ行かないと後悔するかもしれないけど、大劇場に行かなかったらそれも後悔になるかもしれないのでは?」などと揺さぶるとよかったかと思います。)

 主発問「手品師が大劇場に行くのは『誠実ではない』のか」について、Excelの同時編集機能を使いました。まず、「ポジショニング」タブで、自分の出席番号を動かしました。

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 その後、「理由」タブに記入です。

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 方法としては手応えがありましたが、T1の私のファシリテート力がここでも足りなかったと感じました。まず、ポジショニングでせっかく両者に意見が分かれていたのに、それが生かせなかったです。

 …理由の一覧を見ても、今一歩、頭に入ってこないんです。「こうした方がいい、こうしたら誠実という方法論がいくつかあるな、発問がまずかったな」とは思いましたが… 時間がないな、どう締めくくろうということも頭をよぎり、「友情に応えることも誠実」等の意見を拾ったり、反対の立場の意見を見ての感想を聞いてみたりはできませんでした。

 授業なら、顔が見えて、机上のワークシートの記述を見て回って、25人いてもだいたい誰がどんな意見というのが頭に入って、指名する順序も時には計算して(意図的指名)、児童が発表していけばしっかり頭に残るし他の児童の反応も拾ったり問い返したり自然にできるのですが、
 画面上で、一気に立場と理由が表示され、名前がなかったからでしょうか。
 せめて、番号でなく名前を記入するとか、ポジショニングの下に吹き出しを出すとか、ポジショニングと同じページに理由欄を設けるとか、別ページでも賛成派か反対派かで色分けして意見を表示できるようにするとか、そんな工夫があると、ファシリテートが少しは円滑になると思いました。(いっそチャット欄を使う方がよいかもしれません。しかし、エクセルの方が、まだ書いていない人が誰かが分かりやすいという良さ、ファイルを配付できるよさがあります。)

 ブレイクアウトで3人グループでの協議を予定していましたが、時間不足となりました。

振り返ってみて・・・

 初めは、一般的な遠隔合同授業のように、大型モニターを2つ用意し、 一方に相手校児童、 もう一方にT1と板書 としようと思っていました。 しかし、ブレイクアウトルームの利用で他校とのペア活動による人間関係の構築や、コミュニケーション力の育成、多様な意見に触れることをねらいとすると、 1人1台を常にビデオ会議に参加した状態にする必要があります。 ハウリングを防ぎながら、円滑に、 しかも教師の準備等の負担を少なく、日常的に行うことができるように、と考えると、
「拠点校も他校も、T1もT2も児童も、みんなが1人1台でビデオ会議」というスタイルもありなのではないか
そう思って選んだ今回の方法でした。
(T1には、PCとは別に、提示用の大型モニターや黒板、白板があるとよいと思います。)

 そしてこのノウハウは、登校が不可能になった場合のオンライン授業にも生かせます。教師にとっても、児童にとってもです。

 デメリットの1つは、拠点校ではない学校の児童が狭いPC画面1つの中で板書やT1を見ないといけないことです。しかし、これは、T1の画面の共有機能を使ったり、YouTubeの「中田敦彦のYouTube大学」「とある男が授業をしてみた」等のように、T1の背景を有効に使うことで解決できると思います。

 外国語の授業に関しては、
「教える」部分はT1が画面共有などで。
「ソングやチャンツ」は各学校でT2と。
「友達との交流」はブレイクアウトで。
 このように、目的で場面を区切り、場の設定を変えると、授業時間を最大限に有意義に使えると思います。

 本市を含め、極小規模校の多い地方の学校の課題を減らすことができれば、地方のデメリットを減らすことができ、OECDや学習指導要領に書いてある、「持続可能な社会の実現」「社会や個人のウェルビーイング」につながると考えます。

 私のICT探究は、そのための1つの手立てなのだと、改めて最上位目標、自分の中にある信念に気付いた夏でした。

 一緒に試行錯誤してくださった皆さん、ありがとうございました!ぜひまたご一緒しましょう!

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