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元小学校教師が我が子の勉強に伴走してみた。【vol.2】

前回のお話はこちら。


あれから数年が経ちました。

息子を育てながら教師をやるのは難しく、けっきょく体を壊して退職しました。

しばらくは、息子を育てながらの専業主婦生活。
少しずつ体調も回復してきたところで次男を出産。
4つ違いの兄弟と、日々にぎやかに過ごしていました。


状況が変わったのは、長男が小学校に入学してからです。
毎日、ひらがなを書く宿題が出るようになりました。

幼稚園は自由保育で、一斉に保育を受けることがなかった長男。
ですが、小学校ではそろって座席に座り、一斉にノートを書かなければなりません。


もしかしたら、それがしんどかったのかもしれません。
宿題の時間に、荒れるようになりました。

「一緒にやろう」と言ってもできないと言って泣き叫ぶ彼の姿は、魔の2歳児の頃のようでした。

あのときも、何を言っても耳に入らなかった。
今回も「できない」「やだ」「やりたくない」ばかり。

しゃくりあげるように泣きながら、字を書いては「ああっこうじゃないっ」と乱暴に消すので、ノートはビリビリに。
それを見て、ますます泣く長男。


思い出すのは、学校の先生だった頃の自分です。
子どもに宿題をやる意味をきちんと伝え、その子に合わせて量も調節してきました。保護者の方と相談して、その子に合ったやり方をずっと続けてきたのです。


ですが、出された宿題を「やらせる」保護者は、先生とは立場が違います。
「親だから」という甘えなのか、それとも環境の違いなのか。
優しく言っても、厳しくたしなめても、通用しないことがあるんだと。
母になって、初めてそう思ったんです。

家で宿題をやらせるって、すごく難しい。
その上、先生と親の言うことが一致しないと、子どもはすごく混乱するんです。


書く字の量が多くてしんどいなら、回数を減らしてはどうかと提案しても「先生がやりなさいっていうからやらないとダメだ」と泣く。
「お母さんが先生に手紙をかいてあげるよ」と言っても「それは言っちゃダメ」「怒られる」と言い張る。
やり始めたかと思うと、字を力任せに書くのでノートがぐちゃぐちゃになる。
泣きながら消そうとするけど、消えなくてまた泣く。
しわの寄ったノートだから上手く字が書けなくて、もっと泣く。


完全に袋小路でした。


あの頃は本当にしんどかった。
今の自分だったら、あの頃の自分になんて声をかけるだろう。

ときどき、そんなふうに思うのです。

2歳の次男をあやしながら、泣き叫ぶ長男をぼんやりと見ていたあの頃。
光が見えるのは、もっとずっと先のことなのでした。



こちらは、週に一回火曜日に更新いたします。
6〜7回で完結する予定ですが、子どもの様子で延長するかもしれません。
気長に見守っていただけたら幸いです。


このお話のきっかけはこちら。



自己紹介はこちら。


放課後ライティング倶楽部(AWC)に所属しています。

詳しくはこちらをご覧くださいね。


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