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"Baechballs" - Billy Talent; ビーチボールを割って【和訳】

先日、都会の有名カフェのトラックが地元のビーチに来ていたので、妹と行ってきました。

ラテと焼きたてのワッフル、とても美味しかったです!

コーヒーを飲みながら眺めたビーチは、お盆過ぎの平日とはいえ、海水浴客でそこそこの賑わいでありました。

さて、海水浴シーズンのビーチを眺めていると思い浮かぶ曲があります。
Billy Talentの「Beachballs」(Beach Ballsと表記する場合もあり)です。
単にビーチボールという単語から連想してしまうだけですが。単純。

Billy Talentのファーストアルバムに日本盤ボーナストラックとして収録されています。(本国ではEP『Try Honesty』のカップリング曲。)

もともとはBilly Talentの前身バンド・Pezzの曲。
そんなこともあってかなかなかレア曲で、ライブでもあまりやっていないようです。

曲全体の感じがとても好き。軽快なカッティングから始まるイントロ、すこしだけゆるめたヴァースとコーラス部分、思いを振り切るかのように畳み掛けるブリッジに、感情むき出しのアウトロ、といった展開もすてきです。


タイトルから夏の終わりのちょっと物悲しい情景をイメージしていましたが、歌詞をよく読んでみるとあんまり夏は関係なさそうでした。

というわけで「Beachballs」の歌詞を訳してみたいと思います。


"Beach Balls" - Billy Talent

[Verse1]
"Do it again", she said to me
So I nailed my hand to the baseboard floor
Hysterically, laughing at me
She begged the question and I begged for more

「やりなおしましょう」彼女が言った
だから僕は手を釘で床に打ち付けた
彼女はヒステリックに笑って話を逸らし
僕はいっそう懇願した

Now I water the thorn you rammed
Deep into my side, watch it fertilize
Cause you shoved your finger right down my throat
And you made me puke up all of my pride

君が突き刺した棘に水をやろう
僕の内側深くに入り込んで、肥大していく
君は僕の喉に指を突っ込んで
僕のプライドを残らず吐き出させた

[Chorus]
★Pop the Beach Balls
Burn the photos
C-4 your safe
And you'll never grow old
So get out of touch
And become a thought
Cause once you're a thought, hopefully you're forgot

ビーチボールを割って
写真を燃やして
君が無事なことを見届けたら
君はもう変わらない
だからもう関わるのはやめよう
ひとたび君が思念になってしまえば
きっとうまく忘れられるだろう

[Verse2]
If we break up, don’t write a song
That would drag my name through the shit, the mud
Cause I’ve seen some solid swimmers who drowned
When you unleashed the dam and caused the flood

もし僕らが別れたら、曲は書かないで
僕のことをめちゃくちゃに書くんだろ
君がダムを決壊させたせいで
頑丈なスイマーたちが溺れ死ぬのを見てきたんだ

But with free choice there comes free will
And I’m so happy she decided to leave
Cause now I’m alone, the demons come home
And now my plan is rolling up its sleeve

自由な選択には自由な意志が伴うはずさ
だから彼女が去ることを決めてくれて嬉しいよ
ひとりになった今 悪魔が戻ってくる
そして僕の計画が始まるのさ

★x2

[Bridge]
Because my morale’s begun to decay
And all my friends have the same thing to say
They say that good times have faded away
They say that they’re all worried about me
Cause I feed birds in the cemetery
And I rake leaves off the grass in my grave

僕のモラルは崩壊し始めた
友達はみんな同じことを言う
良い時間はもう終わったんだって
僕のことが心配だって
だって僕は墓地で鳥に餌をやっているからな
そして自分の墓から落ち葉を掃いている

Because my memory lane is now paved (Nothing’s wrong)
My memory lane is now paved (There’s nothing wrong)
My memory lane is now paved (Nothing’s wrong)
My memory lane is now paved (There’s nothing wrong)
But now my memory’s back and there’s nothing wrong!

僕の思い出の道は舗装されたから、何も問題ない
思い出の道は舗装された(何も間違っちゃいない)
思い出の道は舗装された(何も問題ない)
だけど今、記憶が蘇ってくる
それでも何も間違っちゃいないだろ

[Outro]
There’s nothing wrong!
There’s nothing wrong!
There’s nothing wrong!
I said there’s nothing wrong!
There’s nothing wrong!
There’s nothing wrong!
There’s nothing wrong!

何も問題ない
何も間違っちゃいないだろ




和訳、難しかった……!

この曲に限らず、Billy Talentの歌詞は比喩表現がとても多いので、意図を読み取るのに苦労します。
直訳すると何言ってるのかわからないし、自分なりに「こういうこと言いたいのかな」と想像はできますが、実際に正解かどうかもわかりません。
もしかしたら不勉強なわたしの知らない慣用句やスラングかもしれないし。

ただ、痛みを伴う別れの歌だということは間違い無いでしょう。
一緒にいてもつらい。けど離れられない。そんな葛藤が読み取れます。
やっと関係を断った。いつかは忘れられるだろう。
もう大丈夫だと強がってみせるラストがまた辛いなぁ。




それでは、ここからは自分なりの考察を書き留めておこうと思います。

英語の勉強も兼ねまして、知らなかったり忘れていた英単語・成句などもメモ。

お気づきの点がありましたら教えていただけると幸いです。

Verse 1

I nailed my hand to the baseboard floor
(やりなおしたいと彼女に言われたから、)ベースボードに手を釘で打ち付けた。
なんとも痛々しい表現。無理に、痛みを我慢して彼女の元に留まったということかな。

"Do it again." を「やりなおしましょう」と訳しましたがもしかしたら違うかもしれません。
最初はサドな彼女に「もう一度やって(直訳)」と命令されてマゾな僕が自分を痛めつけたのかと想像しましたが……それも違うような。笑

She begged the question and I begged for more
さっそく訳しづらかった部分。
直訳で「彼女は質問を請い、僕はより多くを懇願した」……意味がわからない。

よくよく調べると、beg the questionで「疑問を投げかける; 論点を巧みに避ける」となるようで、彼女と問答しながらはぐらかされている状態なのかしら。

Now I water the thorn you rammed
Deep into my side, watch it fertlize

痛いはずの棘に自ら水を与えて肥大化させてしまっている。
離れたいのに離れられない、忘れたいのに忘れられない、そんなジレンマを感じます。
相手のこと思えば思うほど辛いのに、想うことをやめられないんだよね!
わかる、わかるよその気持ち!!

nail: 釘で打ち付ける
baseboard: ベースボード、幅木(壁の床に接する部分に張る木材)
beg the question: 疑問を投げかける、論点を巧みに避けて質問する
thorn: 棘
ram: 突き刺す
fertilize: 肥やす、肥える
shove: (乱暴に、雑に)押す

Chorus

Pop the beachballs, burn the photos
ビーチボールを割ることも、写真を燃やすことも、もう元には戻せない行為。
関係をきっぱり終わらせようという意志が読み取れます。

C-4 your safe and you'll never grow old
「君」はもう歳を取らない、つまり2度と会わないということでしょう。今のままの姿で記憶に残り続けるということ。
C-4は、see forのスラングかなと思います。

So get out of touch, and become a thought
Cause once you're a thought, hopefully you're forgot

この部分がうまく訳せません……。「thought」は思考・思念・思いという意味かと思います。「思い出」とはちょっと違うような……
become a thoughtは直訳で「思想・思念になる」ですが……どういうことだ。

その次の文は、「君」が実体を伴わない「thought: 思いや念」のような存在になってしまえば、いつかは忘れられるだろう、ということかなと思いました。

get out of touch: 連絡を断つ
thought: 考え・意向、思考・塾考、思想、意見・見解
hopefully: うまくいけば

Verse 2

That would drag my name through the shit, the mud
thatは、彼女が別れた後に書くであろう曲。the shitやthe mudを通して僕の名前を引きずり出す、つまり自分のことを酷く書くんだろうと言っています。

他の曲で別れた相手について書いているものがあるので(「The Ex」)ブーメランだなぁと思いつつ。実話かどうかはわかりませんが。ソングライターはネタにしてネタにされての宿命なのかしら。

Cause I’ve seen some solid swimmers who drowned
When you unleashed the dam and caused the flood
ここは丸ごと比喩表現。
屈強なスイマーたちが溺れていく姿を見てきた。
君がダムを決壊させて、洪水を引き起こした時に。

彼女に振り回されてダメになってしまった男たちが他にもいっぱいいたのでしょう。というふうに意訳しました。

But with free choice there comes free will
And I’m so happy she decided to leave
彼女が自分の自由意志で別れを決意してくれた。自分から離れることができなかったから、彼女の決断を喜んで(?)受け入れた。
このhappyは強がりや皮肉のような気もしますが。

Cause now I’m alone, the demons come home
恨みつらみなど邪悪な気持ちが蘇ってきたのでしょうね。
And now my plan is rolling up its sleeve
何の計画なのでしょう。直前のthe demonsを受けて考えればやはり復讐とか?
roll up sleeveは直訳すると「腕まくりする」ですが、何かに気合を入れて取り掛かる時に使われる表現。

「計画」が腕まくりしているって表現、面白いなぁと思いました。
planというカタチのないものの擬人法自体が日本語の表現にはあまり見られないですよね。英語の比喩表現って面白い。

drag: 引く、引きずる、引っ張り出す
solid: 個体の、堅実な、堅固な、丈夫な、頑丈、堅牢
drowned: 溺れ死ぬ
unleash: 解き放つ
flood: 洪水
roll up one's sleeve: 腕まくりをする; 気合を入れて・気を引き締めて取り掛かる

Bridge and Outro

恋が終わった後。心がボロボロになってしまっているのがわかります。
つらい恋だったんだね。心配して声をかけてくれる友達がいるのはいいね。

Cause I feed birds in the cemetery
And I rake leaves off the grass in my grave
さて、最後にまたよくわからない表現が出てきました。
お墓で鳥に餌をやってる?自分のお墓のまわりの落ち葉をかき集めてる?
そりゃ友達も心配して声かけるよね!

というのは冗談ですが、おそらく、彼女を失って生きる意味が持てずにいる状態を表しているのではないでしょうか。死んだように生きている、というか。

Because my memory lane is now paved
直訳すると「僕の思い出の道は舗装された」。
ボロボロでガタガタだった思い出はきれいに均された。
何もなかったかのように元通りだよ、だから問題ない。

強がりにしか聞こえないですよね。
最後の1行がBut now my memory's backになっているから結局忘れられていないんです。

だけど問題ない。ここのThere's nothing wrongは「問題ない、自分はもう大丈夫」という意味なのか、「(記憶が蘇ってしまうことも)間違いではない」という意味なのか、はたまた両方の意味をかけているのかわかりませんが、どちらの意味でも素敵だなぁと思います。

decay: 減衰、崩壊、腐敗、衰える、朽ちる
rake: 熊手、〜を探し回る、掃く、かき集める、熊手で平らにする
lane: 狭い道、小道、通路、レーン
pave: 舗装する



洋楽の歌詞の和訳と考察を一緒に書いてみましたが、とんでもない長さになってしまいました。見づらい、読みづらいなぁ。
和訳と考察は分けるべきだったか、でも元の歌詞も一緒に載ってたた方がいいかなぁ。
見やすい記事になるよう今後もいろいろ試行錯誤してみます。

ここまでお付き合いくださった方がもしいらっしゃいましたら、ありがとうございました。




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