春待つ海辺
君が連れてきてくれた
誰もいない小さな入り江
貝殻が散りばめられた砂浜で
君は手を取り引いてくれる
転ばないようにと
君のとなりで眺める
静かで穏やかな海
凪いでいるようにみえるけれど
冷たい風に煽られて
水面には漣
まるでわたしの心みたいだ
平気なふりをして微笑んでいたけれど
ほんとうはずっと震えていた
気づいてくれたのは君だけだった
あの人じゃなかった
雲の切れ間から差す
もう翳り始めた光
照らされるとすこしあったかい
君のてのひらの温度より
あたたかかった
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