見出し画像

"Radlands" - Mystery Jets; 地獄まで一緒に【和訳】

2012年に発売されたイギリスのインディーロックバンド・Mystery Jets 4枚目のアルバム『Radlands』は、アメリカはテキサス州オースティンでレコーディングされたアルバムで、旧き良きアメリカのロックの影響を受けた作品。カントリー風の曲もあり、全体的に渋くて趣深い。

このアルバムのリリース直後にベーシストのカイ・フィッシュが脱退。カイが写る最後のアルバムジャケットとなった。さびしい。

その『Radlands』リードトラックにして同タイトルのこの曲を、今回は訳していく。


日本にRADWIMPSというバンドがいるのでradというスラングの意味がわかる人も多いのではないかと思う。

「rad」は「radical」を短縮したスラング英語で、「最高」「素晴らしい」「かっけえ」「ヤバい」などの意味の単語です。 「That's so rad!(それまじ最高だな!)」などの形でよく使います。

WURK「《完全版》スラング英語「rad」と「radical」の意味と使い方」より

イギリス出身のミスジェがアメリカに渡ってレコーディングした作品だというから、アメリカという「rad=ヤバい」国をタイトルにしたものかと思っていたけど、実はそうじゃなくて、元ネタがあるらしい。

アルバムタイトルはテレンス・マリック監督の名作映画『Badlands(邦題:地獄の逃避行)』とキース・リチャーズの住む英サセックスの“Redlands”を掛け合わせて“Radlands(ラッドランズ)”と名付けたとのこと。

「HMV & BOOKS online」より

映画『Badlands』から着想を得たタイトルだということなので、おそらくこの歌詞のテーマも同様かと思われる。

映画『Badlands』は、アメリカで実際に起こった殺人事件を元にした映画だそう。
若い男女の逃避行を描くロードムービーだ。彼女の父親を殺して駆け落ちする2人。行く先々で殺人を重ねながら、アラバマの広大な荒野を逃げていく。
映像がとても美しいらしい。

この内容を踏まえれば、この曲の歌詞の解像度が上がり、奥行きが出てくる。なるほどなるほど。


って話もあるけど、メンバーのインタビューでは、単にこのアルバムを作る時に泊まっていた家の名前であるとのこと。

-作品名はTerrence Malick監督映画の"Badlands"とKeith Richardsの住む英サセックスの"Redlands"を掛けわせた造語だと頂いた資料にあり、大変ユニークだと感じました。この2つの言葉を引き合わせたキッカケは何だったのでしょうか?

よく知ってるじゃ~ん! でも『Radlands』はもともとテキサスで僕らが寝泊まりした家の名前だよ。そこで録音もしたし、たまには風呂にも入った。『Radlands』にはレコーディングに必要だった全ての要素が揃っていたんだ。4人のいい歳した男が寝食を共にするなんて、ある意味とっても新鮮な体験だろ? あそこには特別な思い入れがあるんだ。

「skream!」より

調べれば調べるほどいろんな情報が出てくる。
単純に「よし、この曲を和訳してみよう!」って思い立ったときと、調べて訳し終わった今では曲の聞こえ方も変わってくるものだ。


静かなギターから始まり、徐々に高まっていく期待感。サビの展開はアメリカの荒野の雄大さを感じさせるようだ。
ブリッジ部分は、希望の見えない未来を、切々と、しかしながら淡々と歌う。
「切々と」と「淡々と」って、相反する表現だけど、どっちにも聞こえるのだ。そんなブレインの声が素敵。

美しい一曲です。


Radlands

I've heard there's a place where we go to die
It's a terribly overrated horse-shit shaped hole in the sky
Kick off your heels and come with me tonight
And we'll pack up your car and we'll board up the house
And we'll die for our country though it never loved us
And it didn't need us these wonderful wonderful people
Will read of our love in newspapers and cry

死ににいく場所があると聞いた
酷く過剰評価された馬鹿馬鹿しい穴が空に開いている
踵を蹴り上げて 今夜は僕と一緒に行こう
君の車に荷物を詰め込んで 家に乗り込もうか
この国が僕らを愛してくれなくても僕らは国のために死ぬんだ
素晴らしい素晴らしい人々は 僕らを必要としなかった
彼らは僕らの愛を新聞で読み 涙を流すだろうね

So may the bridges we burn light the way
Out of the darkness of where we have been
Though at times it may feel like a lie
We both know nothing is quite as it seems
When the debris comes falling from the sky
Heaven will still be ours

僕らが燃やした橋が道を照らしますように
僕らがいた暗闇の外側から
時には嘘みたいに感じるかもしれないけど
僕らはふたりとも知っている 見た目ほどじゃないってこと
空からがれきが降ってくるときにも
天国はまだ僕らのものだ

Load up Old Bill's twelve-gauge and meet me by the lake
There's a place I know where nobody goes down by the old interstate
The future gets shorter the longer we wait
So let's step on the gas and if they come to find us
We'll run to the hills they say hills never loved us
But since we were children these wonderful wonderful people
Will read of our love on our tombstones and cry

オールド・ビルの12ゲージを積み込んで 湖のほとりで会おう
古い高速道路から誰も降りてこない場所があるんだ
待てば待つほど未来は短くなる
もし奴らが僕らを見つけに来たら アクセルを踏もう
丘まで走ろう その丘は僕らを愛すことはないというけれど
だけど僕らは子供だったから この素晴らしい素晴らしい人々は
僕らの愛を墓石に見て 涙を流すだろう

And someone will get all the glory
But I'll have yours and you'll have mine, you'll have mine

そして誰かがすべての栄光を手にするだろう
だけど僕は君のものを、君は僕のものを手にする 僕は君のもの

So may the bridges we burn light the way
Out of the darkness of where we have been
Though at times it may feel like a lie
We both know nothing is quite as it seems
And I know when I look into the deep blue of your eyes
Heaven will still be ours

僕らが燃やした橋が道を照らしますように
僕らがいた暗闇の外側から
時には嘘みたいに感じるかもしれないけど
僕らはふたりとも知っている 見た目ほどじゃないってこと
そして僕は知っている 君の瞳の深い青を覗き込むとき
天国はまだ僕らのものだ

We'll be together until hell
Until hell, until hell freezes over
Until hell, until hell
Until hell, freezes over
Together until hell, until hell
Until hell, freezes over
Until hell, until hell
Until hell, freezes over

僕らは地獄まで一緒だよ
地獄まで 地獄が凍りつくまで
地獄まで 地獄まで
地獄が凍りつくまで
地獄まで一緒に居よう 地獄まで
地獄まで 凍りついてしまうまで
地獄まで 地獄まで
地獄まで 凍りつくまで

So may the bridges we burn light the way
Out of the darkness of where we have been
Though at times it may feel like a lie
We both know nothing is quite as it seems
Then when the world is itself about to die
Our story will still play itself on the screens
And all these stars that come falling from the sky
Will always be ours

僕らが燃やした橋が道を照らしますように
僕らがいた暗闇の外側から
時には嘘みたいに感じるかもしれないけど
僕らはふたりとも知っている 見た目ほどじゃないってこと
世界が死にゆくときも
僕たちの物語は上映され続ける
空から落ちてくるすべての星々は
これからも僕らのものだ

©️ Mystery Jets, 2012


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?