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"Ever Fallen in Love (With Someone You Shouldn’t’ve?)" - Buzzcocks; 好きになってはいけない人【和訳】

仕事の外回り中、Billy Talentの音源を流してラジオ代わりに。
彼らの2枚目のアルバム『Ⅱ』のボーナストラックとして収録されているこの曲は、もともとはBuzzcocksバズコックスというイギリスのバンドの曲だ。

バズコックスは、70年代のパンクムーヴメントから生まれたバンドで、セックス・ピストルズの公演を見て感動したPete Shellyピート・シェリーHoward Devoteハワード・ディヴォートによって結成された。まさにピストルズ直系のフォロワーで、彼らのデビューステージはピストルズの前座だったという。

バズコックスについてはあまり詳しく知らなくて、大学のレポートで調べて知った上記の知識程度しかなかったけれど、ビリータレントがカヴァーしたこの曲だけは何度も聴いた。

タイトルは「恋に落ちたことはある?(好きになってはいけない人と)」。

映画のセリフからとった一節だというけれど、作詞者ピート本人の苦悩を反映したタイトルでもあることを、最近知った。

わたしは、好きになってはいけない人=単純に恋人やパートナーがいる人とか、身分違いなど立場的にダメな相手とかをふわっと想定しながらこの曲を聴いていたけれど、どうやらピート自身のセクシュアリティに由来する歌詞でもあるようだ。ピートはバイセクシャルだったらしい。

好きになってはいけない人と聞いて、それが同性の相手だというところまで思いが至らなかった自分の視野の狭さにちょっと残念だなぁって思ってしまった。無意識のうちに除外していたんだ。

マイノリティが受け入れられやすい時代にはなってきていて、同性を好きになってはいけないなんて言われることは社会的にはもうないけれど、個人間はまた別だろう。

相手の性的志向が自分と同じでないのなら、思いを打ち明けること、いや好意を示すことすらはばかられてしまうだろう。やっぱり「好きになってはいけない」って心にブレーキをかけざるを得ないかもしれない。

そんな切ない苦悩が秘められた歌詞ではあるけれど、軽快でポップなメロディなのでつい口ずさんでしまいたくなる。

苦しみや悲しみ、憤りなどの負の感情を、明るい音に乗せて発散する。わたしはパンクロックという音楽のそういうところが好きだ。
そんなパンクという音楽のまさに原点のようなバンドなんだなぁ。



Ever Fallen in Love (With Someone You Shouldn’t’ve?)

You spurn my natural emotions
You make me feel I'm dirt, and I'm hurt
And if I start a commotion
I run the risk of losing you, and that's worse

君は僕の自然な感情を拒む
自分が汚いものみたいに思えて傷ついてしまう
もしこの気持ちを見せてしまったら
君を失うリスクに突き進んでしまう
それはもっと嫌だ

Ever fallen in love with someone?
Ever fallen in love, in love with someone
Ever fallen in love, in love with someone
You shouldn't've fallen in love with?

恋に落ちたことはある?
誰かを好きになったことはある?
好きになっちゃいけない人を
好きになったことはある?

I can't see much of a future
Unless we find out what's to blame, what a shame
And we won't be together much longer
Unless we realize that we are the same

未来がよく見えない
原因を見つけない限り
なんとも残念なことだけど
僕らはこれ以上一緒にはいられない
お互いに同じ気持ちだって気付かない限りは

Ever fallen in love with someone?
Ever fallen in love, in love with someone
Ever fallen in love, in love with someone
You shouldn't've fallen in love with?

恋に落ちたことはある?
誰かを好きになったことはある?
好きになっちゃいけない人を
好きになったことはある?

You disturb my natural emotions
You make me feel I'm dirt, and I'm hurt
And if I start a commotion
I'll only end up losing you, and that's worse

君は僕の自然な感情をかき乱す
自分が汚いものみたいに思えて傷ついてしまう
もし行動に移してしまったら
結局君を失うことになるだろう
そんなのはもっと嫌だ

Ever fallen in love with someone?
Ever fallen in love, in love with someone
Ever fallen in love, in love with someone
You shouldn't've fallen in love with?
Ever fallen in love with someone?
Ever fallen in love, in love with someone
Ever fallen in love, in love with someone
You shouldn't've fallen in love with?

恋に落ちたことはある?
誰かを好きになったことはある?
好きになっちゃいけない人を
好きになったことはある?

Ever fallen in love with someone?
Ever fallen in love, in love with someone
Ever fallen in love, in love with someone
You shouldn't've fallen in love with?

-'ve fallen in love with?
Ever fallen in love with someone
You shouldn't've fallen in love with?

好きになっちゃいけない人を
好きになったことはある?

©️ Buzzcocks 1978


ビリータレントのカヴァーを聴くと、ストレートに原曲通りの演奏をしていて、バズコックスを本当にリスペクトしていることがよく分かる。

今は音響や録音技術が発達して綺麗な音が出せるようになってはいるけれど、70年代の粗削りで無骨な音もいいものだ。

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