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ウェルビーイングって結局なんだろう?幸せに働くための条件とは?(前編)

少し前から目にする機会が多くなった、「ウェルビーイング」という言葉。
組織開発やチームビルディングなど、ビジネスの場面でも使われる機会が増えてきました。
しかしなんだかふわっとしていて、具体的に何を表す言葉なのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、個人と組織のメンタルヘルスケアをサポートする株式会社cotreeの社員が、「ウェルビーイングとは何?」、「わたしたちがウェルビーイングを実現するには何をしたらよい?」をテーマに、対談形式でお伝えします。

【話者プロフィール】
西岡 恵子(代表取締役)
同志社大学卒業後、森永製菓に入社。その後サイバーエージェント、コネヒトに参画。事業開発やマーケティングに強みを持つ事業家として、大企業からスタートアップまで様々な環境を経験。2022年に株式会社cotree代表取締役に就任。

石髙 志保(法人事業部 リーダー)
早稲田大学人間科学研究科修了。人材サービス、マーケティング支援会社でのマーケティング経験を経て、cotreeに参画。個人向け事業のマーケティングや組織開発に携わった後、法人事業の立ち上げを担う。現在は同事業部のリーダーとして、事業企画や営業等を担当。現在、オランダに在住。


結局、「ウェルビーイング」ってなんだろう?

——まず、おふたりが「ウェルビーイング」という言葉から浮かべるイメージはどんなものでしょうか?

西岡:一時的に満たされるものではなく、持続的な「幸せ」を指す言葉だと思っています。
「幸せ」というと個人的な感情だと思われがちですが、持続的な「幸せ」を指す「ウェルビーイング」は、身近な人間関係や所属する組織・コミュニティと切り離すことはできないでしょう。
例えば、好きなものを食べたり趣味を楽しめば一時的な幸せを感じられるかもしれませんが、職場の人間関係が悪ければ1日のうちの多くが苦しい時間になってしまいます。
つまり「ウェルビーイング」は、一人で達成できるものではなく、身近な人間関係や所属する組織・コミュニティに強く関係するのだと思います。

石高:たしかにそうですね。とはいえ「幸せ」を感じる主体は個人なので、私は個人でコントロールできる事柄に向き合い、自分自身が納得することも重要だと思っています。
私の場合、大切な人と関わる時間を持つことができているか、今の環境で好奇心を満たせているかが重要だと感じています。

——では今、社会で「ウェルビーイング」対策が必要とされている理由はなんでしょうか?

西岡:日本の現状を考えると、「ウェルビーイング」と向き合わざるをえないタイミングになってきたのだと思います。
日本では高齢化が進行し、人手不足によって企業は労働環境を整える必要が出てきました。
また、そのような労働環境の中で、若い世代が子どもを産み育てることに経済的にも肉体・精神的に困難を感じるようになり、今後さらに高齢化や人手不足が深刻化していきそうです。
そんな中で、日本でもやっと「ウェルビーイング」に目が向けられムーブメントが起き始めていますが、現時点で本質的な対策ができているかというと難しいですね。

石高:今日本で行われている「ウェルビーイング」施策は、事業を通じてユーザーのウェルビーイング向上を目指すものから、従業員個人や組織単位のウェルビーイングを目指すものまで多岐にわたる印象です。
一方で、欧米など他国に目を向けると、文化的に日本と異なる背景もあり、メンタルヘルスやマインドフルネスなど個人のあり方をサポートする取り組みも多く行われています。
西岡さんがおっしゃるように、日本でも個人の身近な困りごとにも目を向けたいですよね。

西岡:そうですね。社会を動かすには合理性ももちろん必要ですが、合理的に考えすぎると、本質的な「ウェルビーイング」とは離れてしまう面もありますよね。
個人の「幸せ」とまず向き合い、そこから社会や企業が持続的な「幸せ」に繋がる環境整備をしていけたら、本質的な施策ができるのかなと思います。

——「日本は幸福度が低い」と言われていますが、その理由として何があると思いますか?

西岡:毎年発表されている「世界幸福度報告書」の国別幸福度ランキングで、日本は経済的な指標や健康に関する項目では満たされていますが、人生選択の自由度や寛容さに課題があることが示されています。
これは、身近にも思い当たる場面があるのではないでしょうか。

例えば学校では髪色や服装に関して厳しいルールがあります。これにより規律を守る良さがある反面、誰もが同じであること、他の人と違うことが許されないという価値観が染みついていきます。
そんな環境で育ち、社会人になった途端、「人生を自由に選択しなさい」と言われても、なかなか難しく感じるでしょう。もし自由に選択したとしても、他人と違う道を選んだことに不安を覚えたり、他人から受け入れてもらえず後ろ指をさされることもあるかもしれません。

つまり、「幸せで満たされている」と感じるためには、個人ではなく組織や地域コミュニティ、社会全体で考え方をアップデートする必要があると思います。

石高:そうですね。他者と比較しやすい環境だと、自分自身のメンタルヘルスも過小評価しやすいと思います。「隣の人に比べれば私は辛くない」と考えてしまうこともありますよね。
また、企業でメンタルヘルスに対する取り組みをしようと思っても、業績と直接結びつけづらく、投資対効果の説明ができないから結局対策できない…という悪循環があります。
対して、特にヨーロッパでは職場のメンタルヘルスについて、日本に先行して対策が取られてきました。人種や文化などの違いはあるものの、管理職を中心とした啓発やリスクが高い環境にいる従業員へのサポート等、見習うことができる取り組みは多いと思います。

私が感じる、身近なウェルビーイングとは

——おふたりが、今のご自身の働き方やキャリアにおいてウェルビーイングを感じる場面を教えてください。

石高:cotreeではフルリモート勤務を採用しているため、個人の幸せを選びやすいと思います。毎日の通勤がなく住む場所の自由度も高いため、家族や友人との時間、趣味や自己研鑽の時間などを取りやすいですよね。

一方で、組織を作る難易度は高いと感じます。物理的に離れているので、他のチームの状況が見えづらいほか、同僚の人となりを知る機会はどうしても少なくなります。
特に他のチームと協働する時は、役割や目標、価値観の違いを受け入れ、違いの中で良い着地を見つけることを意識しています。
また、新しく仲間入りした同僚に対しては、コミュニケーションの量を増やして質問の障壁をなくすようにしています。
そして、お互いの働きやすいコミュニケーションや、客観的な強み・弱みを開示しあっています。

西岡:組織においてはそうですよね。コロナ禍から少し時間が経ち、フルリモート勤務だからこそのメリット・デメリットが明確になってきて、対処方法も見出しつつありますよね。

私個人としては、大事にしている「ライフワークハーモニー」が実現できているので、幸せに働けていると感じています。
自分の関心が強いテーマを仕事にできているため、仕事を通じて得た学びを生活や人生に活かすことができています。
働くことによって社会の中での自分の存在意義を感じることも、ウェルビーイングに繋がっています。自分の力で誰かを支えたり、救ったりできているという実感があると、幸せを感じますね。

——これから先の未来の働き方に対して、「ウェルビーイング」を維持・向上するためにはどのようなことが必要でしょうか?

西岡:組織やチームはどこまでも個の集合体だということを意識しています。
過度に厳格なルールを決めるのではなく、目標やゴールを設定しつつも、プロセスは個人で考えられるような仕組みを整えたいと思っています。

フルリモート勤務も、それぞれが働き方を自分で考えて行動する手段の一つだと思っています。
どのような場面でも、それぞれが自分で意思決定ができる状況が「ウェルビーイング」につながるのではないでしょうか。

石高:そうですね。私もこれからライフステージの変化によって重視したいものが変わっていくかもしれません。
生活の優先順位に変化があった時に、自分に裁量権があり、時間や組織への関わり方を柔軟に調整できれば、ウェルビーイングな働き方と言えると思います。


ここまで、社会における「ウェルビーイング」の現状と捉え方についてお話ししていきました。
では企業がウェルビーイングを実現するためには、具体的に何から始めたら良いのでしょうか。
次回は、企業がウェルビーイングに取り組むべき理由や、はじめの一歩として行うべき施策についてお話ししていきます。

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