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花村えい子先生とキモノ 画業60周年記念「花村えい子と漫画」展で

少女漫画界のレジェンド・花村えい子先生は、昨年2020年年末、91歳でお亡くなりになりました。その画業60周年を記念する漫画展が埼玉県川越市の川越市立美術館で開催されています(2021年8月7日〜9月12日まで)。
公式サイトはこちら https://60th.eiko-hanamura.com/

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花村先生は、まだ少女漫画という概念さえない時代、駆け落ち!して住んだ家の近所の貸本屋用に、生活のために少女向けの漫画を描き始めたのが仕事の始まりだそうです。ドラマになった「霧の中の少女」をはじめ母娘物などの情緒的な少女漫画から「花影の女」のような大人の女性を描いた作品、晩年はサスペンス小説のコミカライズを多数手がけられました。2020年開催のはずがコロナ禍で延期になり、先生ご自身が郷里での展示を見ることの叶わなかったことが本当に残念です。

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昭和の高度成長期の少女漫画や少女向けのノートの表紙などに先生はおしゃれな洋服の少女をたくさん描かれましたが、大人の女性を描く作品が多くなってからはやはりキモノです。先生の描く女性たちは、可憐だったり、儚げだったり、逆に強さを見せたり、色々なキャラクターがいますが、キモノがその魅力をさらに引き立てています。キモノは流れるように画面に広がり、ふんわりと背景に溶け込んでゆきます。キモノの女性たちは、キリッとポップな洋服の少女たちと雰囲気がかなり違います。特に凝った画材は使っていないそうですが、色の塗り方も洋服とキモノでは違って見え、表現力の幅広さに感嘆させられます。

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サスペンスものでは、麗しく乱れたキモノ姿のタイトル画も多く描かれました。着乱れ姿なんて資料なんかないですから、モデルを使うか、キモノの構成を知っていないと描けません。そりゃあ戦前のお生まれ、キモノを着ることも多かったはずだしと思うのですが、なぜか「自分では着られない」と仰られる。私がパーティにキモノを着て行くのを、たどたどしい自装なのにとても楽しんでくださって、「作ったけど着てないものだから」と何枚かのキモノをいただきました(むしろ着用済み大歓迎だったのですがっっ)。その中のシックな型染めの小紋は新年会に着て見ていただけたので、次は紬をそのうちパーティじゃないところで…と思っていたのに、コロナ禍で機会が全部流れ、個人的にもこの疫病の最中不用心に会いに行くわけにはいかないと思っているうちにお見せする機会を逃してしまったのでした。先生ごめんなさい。大事に致します。

会場では、なんと写真撮影OK(フラッッシュは禁止)です。宝石のような原画の数々をどうぞ楽しみにお出かけください。

月兎耳庵

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