虫を食べる 〜エビとバッタのあいだ〜
日曜日に農園で昆虫食の会というものを開催しました。
ホントそのまま、昆虫を食べる、というイベントです。
昨年当園の代表が「昆虫食の時代が来るわよ」と言っていたのがきっかけで、日本大学の小島先生にそのことをお話しすると「じゃあやりますか」と話が転がり開催されることに。
そして、そのイベントが終わり、思った以上に楽しいものとなったのと、色々と学ぶことがあったので、少しまとめます。
昆虫食って実際どうなの?どうやって食べるのがいいの?と興味がある方の参考になれば幸いです。
どの虫を食べるのか
まず、一言に虫と言ってもいろんな虫がいます。わかっているだけで、世界で100万種!日本だけでも3万種とのこと!当園でも90種ほどが確認されております。
昆虫の仲間は海を除く地球上のあらゆる場所に住みつき、わかっているだけでも世界から約100万種、日本から約3万種が記録されています。 さらに、毎年世界から3000種くらいが新種として発表され、そのペースは現在もなお衰えを見せていません。このため、未知の種を加えた実際の種類数は500万種とも1000万種とも考えられ、 少なくとも全動物種の8割は昆虫類で占められていると推定されています。
公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会HP
https://www.jataff.jp/konchu/breeding/1_1.html
ただ食べるとなると「毒は大丈夫なのか」など心配な部分もあります。何を食べるか、未知の世界に飛び込みたい人以外は、すでに情報が回っているものを食べるのが無難だと思います。
我々はメジャーどころの、バッタ、セミ、コオロギなどをいただきました。
この虫食べれるのか?と色々と興味を持った方は販売されている本を読むのがいいかと思います。昆虫食の会を開くまでは、こんなに昆虫食の本が出ているとは知らなかったのですが、色々と出回っているので是非ご覧ください。
食べたら危険な虫で、畑によくいるものとしては、「豆ハンミョウ」などがいますので、お気をつけください。
あと、一部の虫自体が人間にとって毒ということもあれば、人間側がアレルギーを持っているということもあるので、ご注意ください。
バッタなどは甲殻類のアレルギーを持った方には危険ですし、特に食物にアレルギーを持ってない方でも初めて食べるものには注意が必要です。
虫の調達、下処理
イベントの初めに、小島先生より説明がありました。虫を食べる上で大事なこととして、どこで虫を捕まえるか、いつ捕まえるか。
(説明する小島先生)
まず場所ですが、できるだけ除草剤など、草に薬剤が使われていない環境が望ましいです。
これは、直接虫に薬剤がかかっているリスクを避けるということもありますが、それ以上にそれらの草を大量にエサとして食べている虫に薬剤の物質が濃縮してしまっているリスクがあるためです。このことを生物濃縮というそうです。
生物が、外界から取り込んだ物質を、環境中あるいは他の生物中の濃度よりも高い濃度で体内に蓄積することを生物濃縮という。特に生物にとって生活にそれほど必要でない元素・物質の濃縮は、生態学的に異常な状態であり、環境問題の一つといえる。
国立環境研究開発法人 国立環境研究所
http://tenbou.nies.go.jp/learning/note/theme2_3.html
ですので、農薬などが使われていない場所で虫を捕まえる方が危険性は低いだろうとのことです。
次にいつ捕まえるか。虫をより美味しくいただくためには、「フン抜き」という作業をするといいとのことです。食べる1日前くらいに虫を捕まえておき、フンを出させておく、ということです。
それらを鑑み、我々は農薬や化学肥料を使用していない農園コトモファームで、イベントの前日にバッタなどを捕まえました。
(本気で虫を捕まえたのは小学生以来)
(必死に外に出ようとするバッタたち)
調理
そしてイベント当日。たくさんの人にご参加いただきました。
今回は虫を食べる前に小島先生がオードブルに「スベリヒユ」という雑草を使って炒め物を作っていただきました。
(saute de suberihiyu)
思った以上に美味しく、スベリヒユは「雑草枠」ではなく「野菜枠」に分別されてもいいのではないかと思ったほどです。
さて、もう次はメインディッシュ。
安全に食べるための「第1条」としてはやはり、ちゃんと火をよく通すことが大事です。今回は基本「素揚げ」にしていただきました。
(よく火を通すと赤っぽい色に)
「さあ初めは誰が食べる?」となった時、まず手を挙げたのは女性のお客様。この方は「あれ、今日のイベントってスイカ割りじゃなかったんですか?」とそちらのイベント目当てでいらっしゃった方なのですが、なんと一番に手を挙げられました。すごい・・・
(後ほどスイカ割りも行いました・・・)
こちらのお客様が食べ、「美味しい!」と言った後はもう「次俺、次私」と次々とみなさん手を挙げられ、虫を素揚げするのが追いつかなくなるほどでした。(特にあまり捕まえられなかったセミは欲しい人に対して数が足りませんでした)
(frit de Cigale)
何より驚いたのが、初め「気持ちわる〜い」「うわ、地獄だ」と言っていた子供達も、「自分も食べる!」と率先して食べ始めたことです。
なんというかそれは衝撃的というか、感動的なシーンでした。
エビとバッタの間
最後に少しだけ感想を。
私は日大の学生さんと一緒に食べる虫を素揚げするという役割を担っていたのですが、初め「ちょっとかわいそうだなぁ」「少し気持ち悪いなぁ」と感じていました。
しかし、揚げれば揚げるほど、虫が、特にバッタが段々と食べ物に見えてきました。脳内にあるカテゴリーの中でバッタが移動しました。図にするとこんな↓感じです。
Bifore
After
私は少年の頃、見た目が嫌でエビが苦手でしたが、いつの間にか食べれるようになっていました。ただ今でもエビの見た目は気持ち悪いなぁと思っています。そんなこともあり「なぜエビが食べれて、バッタが食べられないのか」と疑問でした。
今回のイベントを通じ、その違いは「習慣」だな、と思いました。周りの人が食べていたり、スーパーで売っていたりしているものは、見た目が気持ち悪くても「食べれそう」と思えます。
実際長野県などイナゴを食べている地域もありますし、逆に普段我々が普通に食べるタコを食べない地域もあったりします(フランスだったかな)。
今回のイベントで出た、昆虫や雑草のスベリヒユなど、普段食べないものを食べてみることは、自分の中の「食べ物カテゴリー」を揺さぶる面白い体験だな、と感じました。
しかし!正直な話それ以上に、イベントの途中にお客さんが炊いてくれたお米や、当園の代表が持ってきたお土産の魚(サンマとホッケ)、割って食べたスイカがマジで美味しかったです。思わず「ウマっ」と笑ってしまいました笑
#昆虫食 #バッタ #セミ #食育 #体験 #虫 #エッセイ
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