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例文トレ#13 本日のお題「揃える・揃う」

今日は11月11日。1が揃っているではありませんか!今月のMs. Hidari’s Eye、例文トレーニングのお題は「揃う・揃える」です。

先日、『中級へ行こう』で第7課の練習問題に「資料を揃える」ということばが出てきました。このクラスでは初出だったなと思い新たに導入することに。例文を出していくうちに、あらら、いろんな意味があるじゃない・・・と。これは一旦整理したほうがよさそうだと思いましたので、みんなで考える機会をばと、左先生にリクエストしてみました。

それではMs. Hidariの考察、一緒に見ていきましょう!

①同じ

意味:同じ(量・質・長さ・重さなどの属性)にする/なる、一致する/させる

<例>

  • お揃いのくつ(Tシャツ、マグカップetc)を買う

  • 文頭(フォント)を揃える

  • 端を揃える

  • 前髪を揃える

  • 靴(はし、足などペアになるもの)を揃える

『はきものをそろえると心もそろう 心がそろうとはきものもそろう』と日本人は子どものころから言われているので、靴を揃えることは当たり前の習慣です。

この私たちにとって当たり前の「くつを揃える」の意味が学習者にうまく伝わらなかった経験が私には何度かあります。それは「揃える」の意味が伝わらなかったんではなく、「くつを揃える」という文化・習慣の意味が理解できない、言語外の問題によってだったのですが・・・。

あるアメリカ人女性(ご主人は日本人)、「毎日、夫からくつを揃えろ、揃えろ、と口うるさく言われるけど、明日も履くのになんで揃える必要があるの?」と言われたときは、その新しく潔い言説に感動さえ覚えたものです。

もちろん、外国にもカレッジTシャツなどがありますし、インテリアなども統一感を重視している方が欧米には多いので、「同じである」「統一感がある」ことに対する気持ち良さみたいなものは感じていると思います。

ただ、「きれいに&きちんと」の感覚は国によっても違うのでしょう。日本には日本ならではの文化的・慣習的価値観や美意識というものもあります。そういうものに関しては、例文導入の際にはちょっとした説明が必要かもしれませんね。

もう少し詳しい説明と、最近発見し感動したWebサイトの紹介がコトハジメのブログ記事にあります。そちらもあわせてどうぞ。


② 集まる/集める

意味:集まる/集める(派生形:準備する、完璧・完全体にする/なる)

最初にあげた例文「会議の資料を揃えておいてください」とか、「最近、流行りのキャンプ。やってみたいけど、道具を揃えるのが大変そう」のようなケースです。

<例>

  • みんな(家族・クラス・参加者・役者→比喩表現)が揃う

  • 材料(道具・書類)を揃える

  • 全巻揃う

  • 注文したものが揃う

  • 番号順に揃える

必要なものを集める。欠けているところがないようにする。こちらは、一般的に、英語への直訳が難しい(または、訳語が一つではない)ですね。

学習者に導入するときは、「はじめてキャンプをします」とか「うちでケーキを焼きたいです」という場面で、「どんな道具が必要ですか」などと聞き、必要なアイテムをどんどん挙げてもらうと良いです。そうすることで、「揃える」のニュアンスが媒介語がなくてもわかるはずです。

語彙は例文をたくさん出すことで理解させるというやり方がひとつ(以前コトハジメで紹介した「工夫」のような語彙はそのほうがベター)、そしてもう一つは、今回の「揃える・揃う」のように ①同じ、②集める と比較的平易な日本語で説明できそうなものは、大まかな意味を提示してから例文を出してみるというのもありです。


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