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【勉強帳】「やさしい日本語」で命を守りたい

日本には、
「やさしい日本語」という日本語が存在します。


きっかけは、1995年の阪神・淡路大震災でした。

この時の死傷者の割合は
日本人1%、外国人2%以上だったそうです。
その理由は、日本語が不慣れな外国人が被災時に
素早く的確な情報が得られなかったから
と言われています。

これを改善するために誕生したのが、
この「やさしい日本語」です。

命を守るための日本語

「やさしい日本語」は、普段使っている言葉を
外国人にも分かるように配慮した簡単な日本語のことです。

76%の外国人は「やさしい日本語」で話してほしいと思ってる


日本にいる外国人は、
日本人に話してほしい言語として、
オンライン翻訳された母国語より、
英語や中国語より、

「やさしい日本語」で情報発信してほしい!
と思っています。

なぜなら、
日本に住む82.2%の外国人は
日常生活に困らない程度の会話力を
すでに持っているからです

なぜ高い会話力を持っていたのに
死傷者が多かったのか。

それは、わたしたち多くの日本人が
この事実を知らなかったからでした。

阪神・淡路大震災から20年近く経った
2016年の熊本地震でも、
うまくコミュニケーションや情報を取得できずに
被害にあった外国人がいたとの指摘が挙がったほどでした。

今後の災害時の外国人への対応として、多言語 での災害情報の提供が必要なのは言うまでもないが、 さらに「何か不安なことはありませんか?」と積極的 に尋ねる心構えがあれば、理想的だ。

あの時何が~熊本地震の現場と外国人被災者 熊本日日新聞記事より 9 回シリーズ・後記
https://f-gakkai.net/wp-content/uploads/2020/09/20-1-4.pdf

日本人が「やさしい日本語」をもっと活用できれば、
いざという時に救える命が多くあるかもしれません。

やがて国も具体的に動き出します。



「やさしい日本語」ガイドライン誕生


「共生社会実現に向けて、
”やさしい日本語”をもっとみんなに知ってもらい、
使ってもらおう!」

そんな目的のもと、
2020年2月に出入国在留管理庁と文化庁が
「やさしい日本語」のガイドラインを作成されました。

日本語教育の有識者や外国人を支援する関係者などを集めて、有識者会議を開催。その後、すでに「やさしい日本語」を活用している地方公共団体や、外国人の意見を取り入れて、ついに完成しました。

今では、より多様な使い方で広がっています。

1)災害時の情報提供としての「やさしい日本語」
2)平時の情報提供としての「やさしい日本語」
3)観光のツールとしての「やさしい日本語」
4)報道のツールとしての「やさしい日本語」

参考:東京都オリンピック・パラリンピック準備局”「やさしい日本語」について”
https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/multilingual/references/easyjpn.html



「やさしい日本語」の書き方

書き言葉の3ステップ

以下の3つが挙げられています。

▼ステップ1
 まずは「日本人にわかりやすい文章」をつくる
▼ステップ2
 外国人にもわかりやすい文章にする
ステップ3
 日本語教師や外国人に確認してもらう

詳細は以下の6ページ目から掲載されていますのでご覧ください。

もしよろしければ、
私の主観でざっくりとガイドラインの内容を
まとめてみましたのでご覧ください。

この内容で文章を書けば、外国人だけでなく
日本人にもとても伝わりやすい文章になりますね。

推奨される表現
・「です」「ます」で統一
・簡単な言葉を使う
・一文を短く、伝えるべきことを最小限に絞る
・漢字の量を多すぎないようにして、ふりがなをふる
・年月日や時間はわかりやすくする
 (EX.2020年1月7日午前9時から午後5時まで)
・外来語(カタカナ英語)は使わない
・3つ以上を伝えるときは「箇条書き」
・イラスト、写真、図、記号を活用
・ユニバーサルフォントを使う

避ける表現
・曖昧な表現(EX.0時ごろ)
・回りくどい表現(EX.問題があるということになる)
・二重否定を使わない(EX.必要ありません)
・受身形、使役表現を使わない(EX.課税されます)


「やさしい日本語」の話し方

話し方のポイント

以下の6つが挙げられています。

1)はじめの心得:内容を整理し、相手に配慮する
2)聞き方の心得:相手の話をしっかり聴く
3)話の進め方 :反応を見る、臨機応変に対応する
4)話し方の基本:短くはっきり言い切る
5)適切な言い換え:相手が理解できる言葉に言い換える
6)言葉以外の工夫:ノンバーバルコミュニケーション

詳細は以下の10ページ目から掲載されていますのでご覧ください。

こちらも主観でざっくりとまとめてみました。
”前提が異なる”を前提に、伝えたいことを諦めない姿勢が大切なのですね。

▼話す時の姿勢
・「このくらい話せばわかるだろう」の思い込みを外す
(制度の存在自体や日本社会の一般常識を知らないかもしれないという前提で丁寧に話す、自分の話し方について確認する、など)
・大人の相手に対して「子供扱い」しない
・相手の日本語理解度により臨機応変に対応する(機械翻訳の活用したり日本人と同じように話す、など)

▼話し方
・短く切って話す、はっきり話す、最後まで言い切る
・難しい言葉は言い換える
・抑揚、ジェスチャーをつける
・英語を混ぜない
・資料、写真、図、実物、コミュニケーションボードなどを活用する



自分の日本語難易度をチェックしよう


このページにある空きボックスに、
文章を入れてみてください。

すると下図のように、
あなたの日本語の難易度を一瞬で診断してくれます。

岩田一成、森篤嗣、松下達彦、中島明則(2015)「やさにちチェッカー」URL:http://www4414uj.sakura.ne.jp/Yasanichi1/nsindan/ (2023年4月27日参照)


入力した文章は、確かに使ってる漢字は難しいものがいくつかありますね。これは役立ちそうです。



外国人は日本にどのくらいいる?


そろそろ、
いわゆる「在留外国人」(=90日を越えて日本に滞在する外国人)はどのくらいいるの?と疑問が湧いた方もいらっしゃると思います。
データを見てみましょう。

日本で暮らす外国人は、30年で3倍増!

在留外国人は、2022年6月末時点のデータで
296万1969人
いるそうです。
これは、国内10位の人口のある茨城県より少し多いくらいの数だそうです。

どの国の人が多い?

上位の10位は多い順に、
中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ブラジル、ネパール、インドネシア、アメリカ合衆国、Thailand、台湾となっています。
(2022年6月時点のデータ)
30年前は韓国・朝鮮が72%と最も多かったようです。

外国人の母国語は?

中国語、韓国語、ベトナム語、フィリピン語、英語、ポルトガル語、ネパール語、インドネシア語、中国語、タイ語などが多いようです。
かなりバラバラですね!
(2019年時点のデータ/上位10カ国・地域)



世界中が協力し合って
共存していく社会をつくるための一歩として、
「やさしい日本語」は取り組みやすそうです。

私は英語も他国語も話せませんが
「やさしい日本語」の存在を知ると、
在留外国人に出会ったら
"まずは「やさしい日本語」で会話してみたい!"
とワクワクしてしまいます。


ただ、これを書いているうちに、
日本人・外国人とハッキリ区別してしまうのも
なんだか違和感を感じるようになりました。

どんな国であれ、立場であれ、年代であれ、
"伝わるように心を配る"
"伝えることを諦めない"

という気持ちは持っていたいと思いました。
そのためには「やさしい日本語」の技術や知識が必要なので、
より深入りしてみたいと思います。


みなさまはどのようなアクションを取りますか?



ではまた!
お相手は、小さなトリコを大切にするコトリコの江藤梢でした。


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