わたしたちの仕事を守ってくれる「下請法」
こんにちは、地域と農業のブランディングデザイナーの株式会社コトリコ江藤です。今回は、わたしたちの利益と情熱を守ってくれる下請法についてまとめました。
「よく聞くけどどんなだっけ?」
「自分も当てはまる?」
「すでに顧客からキビシイ要求を受けててツライ…」
という方は、参考となるかもしれません。
そもそも「下請け」とは?
下請けとは、「請け負った人から、その仕事の全部または一部を更に請け負うこと」です(引用:広辞苑)。
例えば、私のようなデザイナーが広告代理店から仕事を受託した場合、デザイナーが下請けとなります。
下請法とは?
「下請法」は、下請け側が不当な扱いを受けないために守ってくれる、とても大切な日本のルールです。
下請法は「公正取引委員会」という機関が運営しています。ほぼ国の機関と理解して良いと思います(内閣府の外局として位置づけられています。)。
「公正取引委員会」は、独占禁止法や下請法などを扱っていて、監視や調査、違反審査などを行なっています。
「独占禁止法」の中にある「下請法」
「下請法」は、「独占禁止法」を補完する役割があります。
まずは「独占禁止法」をざっくり理解してみます。
「独占禁止法」とは、「公正かつ自由な競争を促進し,事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにする」ための日本のルールです。(引用:取引厚生委員会「独占禁止法の概要」)
事業者は独占禁止法があるお陰で、事業者間に競争する構図が生まれます。その競争によって、お互いに技術や商品力などを上げる努力をしますよね。結果、消費者のニーズに合わせた価値のある商品づくりができます。この循環が、日本の経済を健全に発達できるカギとなっています。
しかし、たとえば「入札談合」など正しくない取引が発生すると、それは消費者の利益に繋がらず、経済にも悪い影響を及ぼしてしまいます。そうなったら日本の経済だけでなく、わたしたちの暮らしが厳しいものとなってしまいます。
ということで、「独占禁止法」を強引にざっくりまとめると…
・大前提として、経済が発展するためには事業間の競争が必要。
・それに違反する企業には罰則等与えて不正を防ぐ。
これが「独占禁止法」です。
「下請法」がわたしたちを守ってくれる
皆様はなにかの「下請け」的な仕事を持たれていますか?
もしその仕事内容と取引先が下請け法に該当していていたら、「下請法」はあなたを守ってくれる盾となってくれます。
まずは自分が下請法に該当するかどうか、以下からチェックしてみましょう。
自分は「下請法」に当てはまる?
下請法は「取引内容」と「事業者の資本金」の2つに分かれます。
自分が当てはまるかどうか、サクッとチェックしてみましょう!
【取引内容をチェックしよう】
皆様は該当しましたでしょうか?
ちなみに私(デザイナー)が「下請事業者」だった場合、AとCに当てはまります。具体的には、
・Aは商品を製造する親事業者のパッケージ等のデザイン制作
・Cはポスターのデザイン、商品・容器のデザイン、コンサルティングレポート、雑誌広告
などが該当します。
ただ…
私がお世話になっている生産者さん方はあてはまらないケースもありそうです。以下を読むと、”「農産物生産」は「製造(A)」ではない”という捉え方のようです。
農林業でもあらゆる事例があるようなので、よろしければ以下のこちらなど、ご参考となるかもしれません。
【資本金をチェックしよう】
ちなみに私(デザイナー)が「下請事業者」だった場合、会社の資本金は300万円なので全てに当てはまります。あとは「親事業者」の資本金次第。親事業者の資本金が1000万円を超えていれば、まずはひとつめクリアです。
また、資本金を持たない以下の場合の法人に対しても、可能な場合があるので覚えておくと良いでしょう。
もし当てはまったら…
以下をチェックしてみましょう。
1.親事業者の義務は果たされていますか?
2.親事業者の禁止事項を守ってくれていますか?
もし自分が「下請事業者」に当てはまり、かつ上記の不当な扱いを受けている場合は法を盾として交渉し、自分を守ることができます。
調査をして「違反をしていた」ことが分かれば、親事業者には50万円以下の罰金かつ各勧告等の措置が入ります。
もし当てはまらなかったら…
「優越的地位の濫用規制」という独立禁止法があります。
デメリットとして証明するのに長期間かかりますが、下請法とは異なり全事業者対象です。内容としてはこんな感じ。
▼こちらのパンフレットもわかりやすいです。
「1分で分かる! 独禁法 - 優越的地位の濫用 編」
自分が親事業者のときは…
これまでの記事を改めて見返して、
1.「取引内容」と「事業者の資本金」の項目で該当するかチェック
2.「親事業者の義務」と「親事業者の禁止事項」をチェック
してみてください。
ちなみに弊社は資本金が1000万円以上ないので該当しません。
でも自分の仕事を支えてくれる方々とは大切に取引できるよう心がけています。
私のアクション!
困ったら決めの一言
もし「あれ、おかしいな?」と思ったときは、
「下請法で禁止されているのですが、ご存知ですか?」。
この一言が盾になってくれます。
「ものづくり」を行なう者にとって、不当な取引状況と出会うと本当にメンタルにキます。デザイン業界では「著作権侵害」と同様に、不当な取引状況に出会ったら膝から崩れ落ち、メンタルが復活するのには一定の時間を要します。それらは自己の情熱を削ぎ、結果、自分のものづくり生命を大きく揺るがすこともあります。
不当な取引を要求されたときに「自分を全否定された!」と感じるのはクリエイターあるあるだと思うのですが(笑)、どうか駆け出しのクリエイターさん、「そんなことはない」ということは知っておいてください。
そして、不当な取引を要求されるのは相手が”悪者”である場合だけではありません。単純に「相手に知識がない」だけな場合も、本当にたくさんあります。だから、わたしたちは教えてあげるんです。「下請法っていうのがあるんですよ」と。それだけの話です。
それでも困ったときは
自分で解決できなかったら、困ったら最寄りの商工会さんか公正取引員会に駆け込み、相談してください。適切な支援のもと、味方になってくれるはずです。
さらに今はインボイス制度や価格高騰により、事業者の不当な取引についての支援が増えています。どんどん頼っちゃいましょう。
地域と農に役立つ情報をシェアしています
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ではまた!
”小さなトリコ”を大切にしたい
地域と農のブランドデザイナー、コトリコ江藤梢でした。