ことばのデザイナー りり〜郷

ボーイ、皿洗い、市場調査や経営助言等に従事し、1999年から作文をリスタート、2006…

ことばのデザイナー りり〜郷

ボーイ、皿洗い、市場調査や経営助言等に従事し、1999年から作文をリスタート、2006年から原稿料を頂き、2013年から名医の生涯「ドクターの肖像」を書き、累計120名の名医を描く。notesでは詩人エミリー•ディキンスン研究を投稿。カンレキからのトランスジェンダー。

マガジン

最近の記事

文を書くポジション

文章を書くには「立ち位置を定める」ことから始まる。 私はブログが全盛期の2000年代半ばからの〝プロブロガー〟である。毎日せっせとビジネスネタを書いては投稿し、それが嵩じて商業サイトに連載を頂いた。PVはその頃が最も高かった。それには理由がある。 私は無意識のうちに「ブロガーのポジション」を獲得していたのだ。「皆と同じ位置から少し賢いことを書く」。読者のひとりの目線で、一般人より的を得たことを書く。共感がダイレクトに得やすい。今日でいえば某掲示板の元主宰者、ポジショントー

    • しいたけ占いはいろいろすごい

      しいたけ占いがあたるという人が多いのはなぜだろう。 人の性格や才能、そして生き方は努力や失意、環境変化や出会いで変わる。だがどうしても変わらない部分もある。死の淵や大事件から生還すれば変化量は大きいのだろうが、基本的な運航路線は変わらない。運、すなわち「めぐりあわせ」がその人に作用していると思う。 しいたけさんは、その星回りの基本特性をしっかりつかみ、運の運航軌道に沿って占いをしている。 しいたけの週間占いを読もう。まず「XXXXXという色が出ていました」で始まる。その次

      • トランスジェンダーの使命

        どうしてLGBTQを分類しようとするんだろう。そもそもどうして人を分類するんだろう。 わたしはMtF(Male to Female=男性で性自認は女性)として生きだしてから、女の服になり、顔を整え、喉を形成し、女性ホルモン投与して「男の自分」から離れてきた。とはいえ背も高く骨格は男だし、声もまだ「男なまり」がある。なにしろ自然の性ではないので限界がある。だから疎外され、干される。めげることも多い。そんな時、性を変える努力で自分を励ます。どこまで到達できただろうか。それを知る

        • 飛べない自分を祝福せよ【エミリ•ディキンスン#507】

          現代の猫は室内で飼われるようになってから、ますます飛べなくなった。それは可哀想だ。 孤独の詩人エミリ•ディキンスンも猫を飼っていたようだが、19世紀のニューイングランドでは、土の上を存分に這い回って、小鳥を見つけたのだろう。お定まりのことが起きる。小鳥を見つけるとじっと見つめて、音を立てずそろりと近づいて、四つ足をばね仕掛けにして襲いかかるー だが小鳥が一瞬先に飛び立つ。鳥には空があるが猫にはないのだ。それは残念なのか。パラパラ漫画のような展開がある次の詩を訳してみよう。

        マガジン

        • ひとりぼっちのエミリ•ディキンスン
          24本

        記事

          レインボ〜職業安定所

          トランスジェンダーの「うまく働けない なじめない でも正直に生きたい」を聞いてみよう、という衝動から始めたプロジェクトです。 トランスジェンダーになっても今まで通り仕事ができるのか?あたしの狭い観察範囲では「手に職」があればできる。例えば医師、看護師、建築家、弁護士ら高資格者たち。タレントなんて一握り。職場から排斥され、仕事にあぶれる人も多い。あたし(ライター)も顧客を失った。トランスはバーや占い師や図書館員や介護をしてひっそり生きている。引きこもりも多い。つらいじゃないで

          わたしは脳で葬儀を感じた【エミリ•ディキンスン#280】

          昨夜のあたしの夢は、小さなキューブの中に閉じこもる芸人が出てきた。カラフルな小さなキューブに自分を押し込めて、両手を穴から出してギターを弾いていた。なんでそんな小さなBoxに入るの?夢は心の鏡、今のあたしの気持ちを反映しているのだろう。だがしょせんは夢は夢だ。忘れるに限る。 なかなか忘れられないのが、孤独の詩人エミリ•ディキンスンの悪夢から生まれたような次の詩である。 I felt a Funeral, in my Brain, And Mourners to and f

          わたしは脳で葬儀を感じた【エミリ•ディキンスン#280】

          希望とは羽をつけたわたし【エミリ•ディキンスン#254】

          昨夜遅く、いや今朝未明に、うちの猫がワオンワオン〜とうるさく鳴いた。台風がくるぞと教えてくれたのだろうか。大雨になると落ちついて寝ていやがる。 台風の日にはあたしも詩を読んで落ち着こう。孤独の詩人エミリ•ディキンスンが希望を謳った詩である。 "Hope" is the thing with feathers — That perches in the soul — And sings the tune without the words — And never stops

          希望とは羽をつけたわたし【エミリ•ディキンスン#254】

          原動力はマゾヒズム【エミリ•ディキンスン#252】

          人はどんな力をもって生きていくのか?幸せを求めてだろうか。富や名声だろうか。いかに自分の力に転換していくのだろうか? 詩人エミリ•ディキンスンは、孤独のうちに詩を書いて生きながらえた。生前認められることはなく、書き溜めたものを遺して去った。だが孤独だから過酷というのは単純な、世俗的すぎる見方である。たとえば結婚が幸せかと問われてイエスと答える人の割合を数えるまでもなく、幸せは不定形である。原動力もまた人によって異なる。 ではエミリのパワーの源泉は何だったか?「あえて苦の道

          原動力はマゾヒズム【エミリ•ディキンスン#252】

          鉛の活字が降りかかる【エミリー•ディキンスン#311】

          我が身に起きた重大なことがあって1年ぶりの投稿になった。その重大なことというのは、ディキンスンの生涯であり詩作の背景である「孤独」にどこかでつながっている。そもそもディキンスンの詩作の真の姿を読み取って、その孤独の意味を探るのがこのnoteでの書き込みのテーマである。その意味で私がこの1年で得たものは、「孤独であることの強さ」というべきものだろう。それは脱線ゆえにここでは記さないけれども、怠け癖のある自分にムチを打ってディキンスンの詩の研究を続けていきたい。 今回は「鉛の活

          鉛の活字が降りかかる【エミリー•ディキンスン#311】

          ゼロ度で燃えるリン【エミリ•ディキンスン#689】

          冷たさから抜け出すにはどうすればいいのだろう。 The Zeroes — taught us — Phosphorous — We learned to like the Fire By playing Glaciers — when a Boy — And Tinder — guessed — by power Of Opposite — to balance Odd — If White — a Red must be! Paralysis — our Primer d

          ゼロ度で燃えるリン【エミリ•ディキンスン#689】

          嵐の夜よ 嵐の夜よ!【エミリ•ディキンスン#249】

          独りの夜はもやもやする。もやもやどころか、どうしようもなく燃えだす。そこで『Wild nights』を訳してみたい。 Wild nights - Wild nights! Were I with thee Wild nights should be Our luxury! Futile - the winds - To a Heart in port - Done with the Compass- Done with the Chart! Rowing in Eden

          嵐の夜よ 嵐の夜よ!【エミリ•ディキンスン#249】

          そこにニューイングランド風【エミリ•ディキンスン#256】

          生まれ故郷のことをどれだけ知っているだろうか。故郷に何があるか突き詰めて考えたことがあるだろうか。 東京は家を建てては壊し、人は入っては出てと、あらゆるものが移ろう都会だ。しかし移ろいながらも東京にも町の個性がある。都会ほど変化が少ない地方ならなおさら個性的だ。米国ニューイングランドのアマストに生まれた詩人エミリ•ディキンスンは、豊かな自然のなかでたくさん詩を書いた。次の詩もそのうちの一つだが、例によって「ひねり」は入っている。 The Robin's my Criter

          そこにニューイングランド風【エミリ•ディキンスン#256】

          怠けものの家庭婦人を葬れ!【エミリ•ディキンスン#187】

          孤絶の詩人エミリ•ディキンスンが、普通の暮らしを葬り、自然と神と孤独をうたう隠遁へ踏みだすーその覚悟を示した詩である。まず原文を挙げよう。 How many times these low feet staggered — Only the soldered mouth can tell — Try — can you stir the awful rivet — Try — can you lift the hasps of steel! Stroke the cool

          怠けものの家庭婦人を葬れ!【エミリ•ディキンスン#187】

          安息日に教会へ通う人もいますが【エミリ•ディキンスン#324】

          安息日にどこに行き、何をすべきなのだろうか。アメリカ東部から遠く離れ、宗教色薄い日本人の私が、信仰告白をせず孤独を選んだ女性の心をなぜ知りたいか、改めて考えさせられた。 Some keep the Sabbath going to Church — I keep it, staying at Home — With a Bobolink for a Chorister — And an Orchard, for a Dome — Some keep the Sabbath

          安息日に教会へ通う人もいますが【エミリ•ディキンスン#324】

          太陽がどうのぼるか教えよう【エミリ•ディキンスン#318】

          この世には拒んでも絶対にやってくるものが三つある。税金、NHK、そして加齢である。 NHKが税金かどうかはさておき、子どものうちは柔らかくて元気で無垢である。歳を取ると肌のハリがなくなり、シワの数や深さが増し、眼は落ちくぼみ、首にもシワがよってくる。いやなこった。エミリ•ディキンスンの次の詩を謳えば加齢は防げるだろうか?原文を挙げよう。 I'll tell you how the Sun rose — A Ribbon at a time — The Steeples s

          太陽がどうのぼるか教えよう【エミリ•ディキンスン#318】

          内的羅針盤を歩め!【エミリ•ディキンスン#792】

          宗教のない者が宗教的作品をどう解釈するか。これに悩まされることがある。聖書で星はどんな意味があるか、道はどうか、歩みはどうかを調べる。調べても判断がつかないことも多い。そんなとき、ゲーテの言葉が背中を押してくれる。 「芸術と宗教との関係も、人間の関心をかきたてるほかのすべての高尚なものとの関係とまったく同じさ。宗教は、たんなる素材と考えればいいので、人生の他の全ての素材と同等の権利を持っているに過ぎない。信仰の有無も、決して芸術作品の理解を左右する器官ではない」と言っている

          内的羅針盤を歩め!【エミリ•ディキンスン#792】