113. オーバーグラスパッチ(布パッチ)は,接着性の皮膚パッチの副作用に悩まされる弱視患者にとって有用な治療法である

Comparison between over-glasses patching and adhesive patching for children with moderate amblyopia: a prospective randomized clinical trial

Kim SJ, Jeon H, Jung JH, Lee KM, Choi HY. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2018 Feb;256(2):429-437. doi: 10.1007/s00417-017-3851-2. Epub 2017 Dec 4. PMID: 29204689.


目的:弱視児に対するオーバーグラスパッチング治療の有効性を,視機能改善と弱視治療指数(Amblyopia Treatment Index:ATI)の変化から検討すること。

方法:多施設共同無作為化比較臨床試験において,中等度の弱視(視力:20/40~20/100の範囲)を持つ3~7歳の子供107人を対象に,接着性の皮膚パッチ(皮膚パッチ)または布製のオーバーグラスパッチ(布パッチ)による治療を実施した。患者は1日あたり2時間の健眼遮閉が指示された。最高矯正視力(Best corrected visual acuity:BCVA)が調査され,治療開始後5週目と17週目に両親からATIアンケートが回収された。ATIは弱視治療に関する障害や問題点を明らかにするものである。弱視眼視力の変化とATIのスコアを2つのグループで比較した。

結果:17週目時点で,スネレンチャートを用いた弱視眼の平均視力は,皮膚パッチ群で3.2 line,布パッチ群で2.7 line改善した(p = 0.345)。また,各群で2 line以上の改善を示した患者の割合はほぼ同じだった(皮膚パッチ群67%,布パッチ群67%,p = 0.372)。ATIで測定した治療負担にも各群で差はなかった。唯一,群間で有意差を示した項目は「治療によって目やまぶたが赤くなる」(17週目の平均値4.0±1.1 vs 3.0±1.0,p=0.001,皮膚パッチ,布パッチ)に関するものであった。

結論:オーバーグラスパッチは,接着性の皮膚パッチの副作用に悩まされる弱視患者にとって有用な治療法である。

※コメント
貼るタイプのパッチと眼鏡に装着する布パッチの結果を比較した報告(臨床比較試験)です。
結果では両群間に視力の差はありませんでしたが,考察では,最終的にグループ間の95%信頼区間が少し広いことから,布パッチが貼るタイプのパッチと同等の改善効果をもたらすという結論を解釈するには注意が必要とのことです。
また,両群間にコンプライアンスの差がなかったことは驚きました。

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