161. 弱視の用量反応関係に及ぼす予測因子と遮閉法の影響について

The impact of occlusion therapy and predictors on amblyopia dose-response relationship

White E, Walsh L. Strabismus. 2022 Jun;30(2):78-89. doi: 10.1080/09273972.2022.2046114. Epub 2022 Mar 8. PMID: 35259060.


本研究は、IWKヘルスセンターアイクリニックにおける遮閉療法後の視力(visual acuity:VA)向上の用量反応関係と予測因子を算出し、弱視療法の用量反応関連の文献に追加することを目的とした。2012年から2019年の間にIWKアイクリニックで遮閉療法の転帰を確認できた患者を対象に、レトロスペクティブチャートレビューを実施した。治療アウトカムは、コンプライアンスが報告されているにもかかわらず、3回連続の訪問でVAが等しいもしくは安定と定義された。統計解析には、指示した時間ではなく、保護者の報告による主観的な遮閉時間を使用した。2~11歳の患者134人(女性66人、男性68人)が対象となった。その結果、VAが224時間/0.1logMAR増加するという用量反応関係が示され、フルタイム遮閉では1344時間、パートタイム遮閉では504時間の総投与量が、VAを達成するために必要であることがわかった。最も早くVAが向上したのは、治療開始時の年齢が若いほど、治療開始後4週間、斜視がある重度の弱視患者であった。弱視の分類、年齢、VAチャート、初期遠見VA(弱視眼)、治療の量は、1時間の用量-反応関係を予測した。用量反応関係は、若年者、斜視と重度弱視、遮閉後1か月でより速かった。また、用量反応関係のGLMモデルを作成することで、関係計算を行うことができた。したがって、臨床リソースの割り当てを可能にし、必要な治療期間に対して患者を準備し、治療のコンプライアンスを高める可能性のある推定タイムラインを作成することができる。

※コメント
Conclusions
用量反応率は、若年者、斜視や重度の弱視、遮閉開始後1か月間において、より速かった。よって、コンプライアンスが良好であれば、遮閉法は弱視の治療に有効であることがわかった。したがって、弱視の遮閉療法はできるだけ若い年齢で開始し、特に治療開始後1か月間は良好な治療成績を確保するために、良好なコンプライアンスを重視することが必要である。

弱視の種類は不同視、斜視、mix。
224h/0.1logMAR
視力達成までに、パートタイム遮閉では504時間の総投与量 ≒ 1日6h遮閉とすると84日(約3か月)

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