181. 間欠性外斜視に対するBase-inプリズム眼鏡治療の無作為臨床試験

A Pilot Randomized Clinical Trial of Base-in Relieving Prism Spectacle Treatment for Intermittent Exotropia

Pediatric Eye Disease Investigator Group (PEDIG). Optom Vis Sci. 2023 Jul 3. doi: 10.1097/OPX.0000000000002039. Epub ahead of print. PMID: 37399233.


重要性:このパイロット無作為化試験は、小児の間欠性外斜視に対する特定のbase-inプリズム治療戦略を評価した最初の試験であるが、本格的な臨床試験に進むことは支持されなかった。小児の間欠性外斜視におけるプリズム順応の定義と測定は困難であり、さらなる研究が必要である。

目的:間欠性外斜視の小児に対するbase-inプリズム眼鏡 vs. 屈折矯正単独の本格的な臨床試験に進めるかどうかを決定すること。

方法:3歳から13歳未満で、Intermittent Exotropia Office Control Scale1 (0 = phoriaから5 = constant)で2点以上の遠見間欠性外斜視のコントロールスコアを持ち、自発性外斜視のエピソードが1つ以上、APCTで16-35∆、30分間のプリズム順応試験でプリズム順応が不十分であった者を、base-inプリズム眼鏡(遠見・近見外斜偏位の大きい方の40%)または非プリズム眼鏡に8週間無作為に割り付けた。本格的な試験を実施するための先験的基準は、平均遠見コントロールにおける調整後の治療群間差について定義された:「続行」(0.75点以上;プリズムを支持)、「不確実」(0点以上0.75点未満;プリズムを支持)もしくは「続行しない」(0点以上;非プリズムを支持)。

結果:57人の小児(平均年齢6.6±2.2歳、ベースラインの平均遠見コントロール3.5点)が、プリズムあり(28人)またはプリズムなし(29人)の眼鏡を装用した。8週間後の平均コントロールは、プリズムあり群(N=25)とプリズムなし群(N=25)で、それぞれ3.6点と3.3点であった。調整後の差は0.3点(95%信頼区間-0.5~1.1)で、プリズムなし群に有利であった(先験的な「続行しない」基準を満たす)。

結論:間欠性外斜視の3~12歳児に、遠見または近見外斜偏位の大きい方の40%に相当するbase-inプリズム眼鏡を8週間装用しても、屈折矯正単独よりも遠見コントロールが良好になることはなく、信頼区間では0.75ポイント以上の良好な効果が得られる可能性は低いことが示された。本格的な無作為化試験を行うには十分な証拠がなかった。

※コメント
方法論のところで、prism adaptationが不十分な症例を選択したというところがよくわかりませんでした。
今回の報告では、遠見の眼位コントロールにおいて、プリズム眼鏡は屈折矯正のみの眼鏡と差はないという事です。

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